前回(初見)でちょっとがっかりしてしまった部分も無きにしも非ずだったので、帰国後チケットが手元にあっても行くのを迷っておりました。しかも、2回目の火曜は友人が行けなくなったのでチケを譲った相手が、何とも最低なマナーの方で、集中できないし、イライラするし、もう終演後の気分まで最悪…という残念な展開。「あんな観客に交じって観るくらいなら、好きな役者さんが出てても二度と行きたくない!」と愚痴っておりました。そうでなくとも気候の差で調子悪くなるわ、明け方のワールドカップ観戦で寝不足(笑)だわ、と踏んだり蹴ったりで千秋楽前日の公演に出かけてきました。
席は2階通路すぐ前中央!第二幕終盤で一番おいしい?席w いや前回のほうがはるかに良い席だったんですけどね。すぐ横を香取くんや山本さんが歌ったり喋ったり歩いたり走ったりしてましたから。それでも観劇後の気分が最悪だっていうくらいなので「お察しください」…それが、今回は何だか不思議なほど気持ちよく観ることができました。
理由1)全体的にカンパニーとしてのこなれ度が上がって、初見ではこっちが舞台の緊張感をモロカブリ→肩がこるほど疲れた、のに比べて、安心して観劇できた。
理由2)この舞台に関してだけは、ピン参戦に耐えられなかった。今回は仲の良い&舞台を観る感覚が近い友人と一緒だったので、たとえ何を思っても後から話して消化できると思っていた。(心のセーフティネットがあるって、本当にありがたい!嫌なことは笑い飛ばせるし、楽しいことや感動は倍返しwこの友人には感謝してもしきれません☆)
理由3)変に期待しすぎずに(苦笑)面白い所だけ都合よく観ておいて、あとはスルーしようと決めた。(人生、割り切りが大事…)
舞台の観方に正解はないし、人それぞれではありますが、過去二回の(値段の割に)あまりに不満足だった評価を「そこそこリカバリー」できたのは良かったです。第二幕で楽しそうに2階席を駆け回るフランク角川さん&ルーベン芋洗坂さんとも「イェーイ!」とハイタッチできたし♪あの変装シーンの大乱闘はみんなカッコ良過ぎでしょ!w フランクがあのシーンでかなり長い間二階席のお客さんを盛り上げて、最後列あたりまで行ってファンサービスしてたのは「エンターティナーだなぁ」とうれしくなりました。
ところで…当日券のためにものすごい人が並んでてびっくりしました。しかも抽選。
当日券が13000円(S席と同じ)、立ち見が5000円って…新感線ですら立ち見は3000円でしたよ。どうなの?!(笑)
≪物販情報≫ NEW!
大阪公演でパンフレット青版が加わりました。お値段は同じく2000円。サイズはAAよりも一回り以上大きい(B4?)です。キャスト変更に伴い、紹介ページの差し替えと、赤版とは別の舞台写真が4P。
なお黒版は稽古場写真4P、赤版は舞台写真4Pです。4Pのために2000円、というのがOKなら買うべし。
オーシャンズ11セットで「手さげ紙袋、ステッカー&クリアファイル(写真なし・シルエットのみ)、パンフ1冊」あり。3000円。
≪7/5公演 面白かったこと&よかったこと≫
・相変わらずラスティ・山本さんは舞台を心の底から楽しんでいらっしゃるwww 主演じゃないけど、その分いろんな立ち回りで盛り上げよう、面白くしよう、と駆け回る姿は、こっちも観ていて嬉しくなります。もちろんダンスや歌も素晴らしいキレ味。申し訳ないけれど、群舞であそこまで「一人動きが違う」とはいえ、やろうと思えばもっとできるはずなのに8割で止めてる感すらあったり…やっぱり勿体ない。歌も、本気で歌えばもっと行けるはずなんですけど、コーラスやハーモニーのトータルを見て、毎日変えてきてるよね?という印象でした。
・日替わりのアドリブ、その1。ジョンソン医師(=山本ラスティの変装)は1日の「やりすぎじゃないの?」もよかったけど(ベネディクト様=橋本さんが、思わず笑いを堪えるのに必死で、口に手を当ててプルプルしているのがキュートだったw)、この日の「ヘリウムガス吸入でドナルド声」は正直不発。だって、山本さんならガス吸わなくてもあれくらいの声色平気で使えるでしょ?ベネディクト様に「あんまり変わってないじゃないか!」とツッコまれ、ガスをさらに吸入するもイマイチ感。「早くはけろ!」と追い払われるはめにw 今日の千秋楽でリベンジしたのかどうか、すっごく気になります。
・日替わりその2。ベネディクト様の執務室での「ベネ様チーム一丸となって頑張ります!」感が倍増。今日は人間扇。懐かしっ!体育祭ですか!w …というか、いいチームですよ、パラディッソ組は!しかしベネ様…無茶振り大好き?!(冷汗)
・日替わりその3。イレブンが揃った場での演技指導。5日の指名は(偶然にも)初見の6/14と同じ真田ライナスくんだったわけなのですが、その成長っぷりに「1か月の公演期間はやっぱり大きいなあ…!」と感動。舞台という「場」の持つエネルギー、パワー、を再確認いたしました。彼一人の変化を見ても、東京公演がどれだけ大きな成長を若い子たちにもたらしたかは明白。6月14日公演ではもう、緊張しているわ、噛みまくるわ、で目も当てられない…というか、高いお金払って「内輪受け」観に来たんじゃないから!と内心で愛のないツッコミをしたくらい気の毒な様子でしたが、5日は終始ブレずに「ありの~ままの~♪」と「アナ雪」に絡めたネタを披露。最初は良かったのに!何故かライナス、自分でどんどん悪い方向にw「ウグイスの物真似」とかは、観客席の反応もかなり微妙で、途中で「どうしよう…」と一瞬迷いが見えたものの、ちゃんと一人でトークを立て直してラスト、香取ダニーに投げ返したのはエライ!
・受けたダニーも「この演技指導でだいぶ強くなったんじゃないか?」(無表情)ライナス「メンタルは鍛えられたよ(苦笑いっぽく)」ダニー「自分を信じるんだ。全然滑ってない(←お、珍しく優しいじゃんw)」と励まして、最後はダニーが「寒くはないわ~♪」とアナ雪締め。場内大受けで、拍手をしながら思わず「ダニー、上手い!」と叫んでしまったほど楽しい一幕になっていたことにも感動しました。ライナスよく頑張ったね~!ホントにエライ。それを言うならカテコ後の挨拶を困って黙っちゃったり噛んだりせずに「台本通り」でも、ちゃんと締められるようになった座長もエライと思いますが!w
・その香取ダニーは、やっぱり私はジョージ・クルーニーと原作映画のファンなので、最初の「これじゃない感」は強~烈~!にありました、正直。彼が上手いとかそうでないとかでは全然ない、もっと別のところです(きっと彼が余りにも有名で、余りにも中の人としての存在感が大きいせい?)…とはいえ、危なっかしさの残っていた序盤と比べてずいぶん歌も声が出る+よく響くようになって、ソロナンバーもカッコよく決まるシーンがいっぱいありましたから、多忙なスケジュールをぬっての1か月の舞台公演に対する彼の努力を感じずにはいられませんでした。そして、そんな彼を皆が周りで支えている(筆頭は山本さんなんでしょうが、他にも絡むキャラの人は全員!)図式も、心温まるようで、ほほえましかったです。ラストの黒服ダンサー従えて踊るシーンは、流石!スーパーアイドル!ですね。私は劇中の群舞やソロよりも、ダニーの見せ場としてはあそこが一番好きです。
・日替わりその3に絡めて、真田ライナスが山本ラスティに指名されたとき「メンタルメンタル強くなれ」と呪文のように唱えていたのも面白かったのですが、それを他のキャストがアドリブにリフレインしていたのが芝居の面白さUPになっていました(=単にネタ場ではないというか、ちゃんと後のシーンに繋がっているよ、というリンクがよりイキイキと表現されていた)。フランクがパラディッソから連行されるシーンや、潜入組の脱出シーンにも「メンタル!」と呟きながら胸を叩くメンバーが。
・もともと個性派で芸達者な方々が脇を固めるお芝居なので、個々のレベルは最初から高かったのですが、ソーン齋藤さん言うところの「若いの」を巻き込んで、カンパニーとして盛り上げていくあったかい空気感は、間違いなく1か月の賜物ですね。この日は何と潜入シーンのクライマックスでイェンの投げた皿分銅(?)が手元が狂ってラスヴェガスシートの観客席に飛び込んでしまうという珍事が。でも坂元さん、動じず「奇跡が起きた!」ダニーもライナスも何事もなかったかのように「すげぇ奇跡だな」「奇跡だ!」とフォローしてたのも、失敗とはいえ「ふふふっ」と笑ってしまうシーンではありました。
・水田リヴィングストンのブレイクダンス、日を追うごとにキレキレでした。意外!ハッカーにしちゃ上手すぎるでしょ?とツッコミしたいところ。
・橋本ベネディクト様に関しては、もう、悪役じゃないでしょ!むしろダークヒーロー!と声を大にして言いたい!です。最初にも書きましたが、もともとの圧倒的な歌唱力や押し出しの強さ、がっちりした舞台映えのする体格、アメリカらしいド派手スーツの似合いっぷり。ソロナンバー「夢を売る男」は毎回とても楽しみに聴いていましたが、今回は双眼鏡でガン見していたら視線がばっちり合ってしまって、ドキドキいたしましたw もうアダムでも蛇でも何でもいいです、ついていきます!v状態だよね、と友人とも大盛り上がりw もともと力のある役者さんとは存じ上げているのですが、機会を逸していたので「次の舞台は絶対観に行く」リストに加えました♪あと、ミュージカルでは往々にして「歌でストーリーを展開」なのでキャラの掘り下げやバックグラウンドは後回しになりがちですが、この作品では唯一ベネディクト様だけが「不幸な生い立ちから這い上がり、野望を実現していく」ストーリーが全て描かれています。それゆえに橋本ベネディクトの深みや色気、怖ろしさ、男のエゴや可愛さなどもグッと胸に迫る部分があるというか…悪役を悪役と思わせない設定とお芝居の勝利かと。正直ベネ様を毎回一番楽しみにしておりました!とここに告白しますw
・各々のソロナンバーは上手くできてるな、と思わずにはいられません。ディーラーのフランク/ラモーン役の角川裕明さんの声は色気があってとても良いし、パンフに載っている写真よりも舞台メイクの色黒で長髪のヒスパニック(たぶんメキシカン)な感じは「あ~、いるいる!こういう色男!」とリアル感満載。ベネ様の声質とも似ていると思いますが、より軽快で、ガム噛んでたりちょっとチャラい感じがイレブンの中でも唯一独特の雰囲気でいいですね。友人とも話していましたが、上手く役と外見を作り上げてきたキャラのひとりだよね、と。
・イレブンに関しては雑技師イェン役の坂元健児さんが怪我なく東京公演を終えられて何よりでした。毎回冷や冷やするようなアクロバットと、見事な歌唱のギャップ(逆立ちして歩きながらあれだけ声が出るって何?!と初見で驚愕!)楽しませていただきました。まさにイレブンの中のほっこり和み役、大阪公演では観られないのが残念でもあります。
・イレブンは個性がそれぞれ出ていて、1ヶ月で本当に随分馴染んだな、と思いました。誰を見ても面白い、それぞれの持ち味を生かした場面がちゃんとあって、初見よりもちゃんと楽しめました。
・ラスベガスの女王こと、ダイアナ様(=霧矢大夢さん)。やっぱり元宝塚トップスターのオーラはハンパない、とウットリ見惚れていました。羽を背負ってるわけでもないのに(笑)後ろから強烈なライトが当たったような華やかさ、色気もありながら、したたかで強い「アネゴ」的な魅力が満載。もちろん歌も身のこなしも申し分なく、一流どころが笑いを取るからこそ面白い、コメディエンヌとしての一面も素敵でした。
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個別に名前は挙げませんが、イレブンの誰もが1ヶ月の間に「上手い人はもちろん、そうでなかった人もそれなりに」確かな進化や成長があって、それがカンパニーの魅力、舞台の面白さになっていたと思います。その成長ぶりが分かったからこそ、とても良い気分で観劇を締めくくることができました。好きな役者云々ではなく、舞台好きとして「だからナマ舞台は面白い!」と思わせられた公演終盤でした!
でも、もう行かなくていいかな…というのも本音です。 ←むしろ、コスパ的な意味で。