勤務中にけがしたのに、いつまで待っても会社が労災保険給付の手続き進めてくれない、進めてもらうにはどうしたらいいかという質問を見かけます。
業務上被災にかかわらず通勤災害もそうですが、給付手続きする義務は勤務先にありません。被災者本人(あるいは遺族)にあります(労災保険法12条の7)。それでもしてくれる会社があるのは、従業員福利の一環、給付さえ受けてもらえれば、労基法上の会社に課せられた補償義務から免れるという理由もあるでしょう。
本来は、被災者本人が立ち回って、労基署に様式を取り寄せ(※)、必要事項を記入し、勤務先や病院に証明をもらい、労基署(療養給付は医療機関薬局)に提出となります。
では勤務先はまったく義務はないかというと、そうではなく先に述べたように、労基法上直接補償する義務があります。そこを被災労働者(あるいは遺族)が労災保険給付を受けることで、事業者は補償義務から免れます。労災保険法上、被災労働者からからまわってきた申請書に、すみやかに会社記入欄に記入証明し、また被災労働者が入院して動けないなら、申請までこぎつけられるよう助力義務があるのです(労災保険法施行規則23条)。
※しっかりした印刷機能環境をもちあわせているなら厚労省サイトにて様式集が掲載されてあり、印刷出力して利用できます。
(2023年5月20日投稿、2024年5月11日編集)