労災保険に一括有期事業というくくりがあります。おもに一定規模未満の建設工事現場、林業伐採の事業を対象とします。一定規模以上の有期工事に対しては単独有期労災となります(下表参照)。これら有期事業に対して、事務所、工場を対象とする継続事業というくくりが別にあります。有期事業は継続事業とことなり、その都度保険関係が成立し事業完成すれば消滅します。だからといって僅少工事まで逐一保険関連手続きするのは面倒なので、元請事業者が同一事業主でなす一定規模未満工事複数を、ひとつの継続事業にみたてて保険関係処理しようというのが一括有期です。
建設工事 | 請負額(税別) | |||
1億8千万円 | ||||
未満 | 以上 | |||
概算保険料 | 160万円 | 以上 | ||
未満 | 一括有期 |
さて閾値近くの一括有期で開始した工事が、期中変更契約で増額して閾値を超えた場合、単独有期として独立させるのか、という質問を見かけました。手引きのどこを見てもその扱いについて触れていません。施工中竣工までに単独有期に該当する規模になったとしても、完工まで一括有期労災で扱います。右表でも単に「保険料額」でなく、「概算保険料」と初期値で判断することがその表れでしょう。増額前の一括有期規模中に保険事故があった場合、その労災保険番号で給付しメリット率計算もからむので、一括規模で開始の有期事業は、単独規模に拡大しても一括有期にて決着させるのだと推測します。逆に単独有期でたてた保険関係は、契約変更で事業縮小したとしても単独のままで終了清算でしょう。
(2024年8月1日投稿)