労働法の散歩道

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随時改定の判断基準

2023-03-02 13:40:09 | 社会保険

社会保険の月額変更届をだす条件として

  1. 固定的賃金の変動
  2. 変動月から3カ月平均(非固定的賃金を含む)からの標準報酬月額と現同月額と2等級差以上
  3. 支払基礎日数が3カ月全月17(11)日以上

すべての条件みたした4か月目に標準報酬月額の改定を届出しその月から保険料が改定されます。 ところで、1の増減の向きと2の向きが一致しての改定となります。向きが一致しない場合は対象としません。そのことを一覧表にしてみました。定時改定に対し随時改定があり、その届け出を月額変更届、略して月変と呼んでいます。変動のあった月(例外翌月)を起算月として3か月平均をとります。

固定的賃金 減少
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × × ×
 
固定的賃金 増加
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × × ×
 
固定的賃金 増加減少あわせて±0
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × × × ×
 
固定的賃金 増加減少不定
等級増減 -2 -1 +1 +2
月変の実施 × × ×

上、4パターン書きましたが、パターンCは、複数の固定的賃金変動を足し合わせてプラマイ0のケースです。一方、パターンDは、複数の固定的賃金変動あるも、そのうち変動が各月一定しないケースを含む場合です。たとえば、通勤手当で単価の増減したが毎月不定の出勤日数倍するケースです。ただし、変動しない方が変動する方を上回っている場合は、AまたはBとなります。

随時改定の対象

  • 昇給、降給
  • 日給から月給へといった給与体制の変更
  • 日給、時給、通勤手当等の基礎単価の変更
  • 請負給、歩合給の単価、率・制度の変更
  • 固定的賃金の支給額の変更
  • 固定、非固定的手当の創出、廃止

年金機構から手引き 事例集のほかに、疑義照会回答(厚年保険 適用)がでています。その回答集の中から随時改定につながるものを抜粋要約しました。適用される場合は、必ず原文にあたってください。

(取得27) 月の中途入社で、月例手当の一部が全額翌月支給となる(日割り支給しない)場合、取得時決定では含めず、翌月支給をもって随時改定の起算月となる。
(月変1) 基本給が毎月変動する場合でも、固定的賃金の変動として扱い、変動したそれぞれの月を起算月として随時改定の可否を判断する。
(月変2) 育休終了後時短開始の契約変更で、通勤手当が2カ月遅れで支給する場合、時短の賃金支給月が随時改定の起算月となり、通勤手当は実支給月に計上する。
(月変3) 翌月以降の各月に改定された通勤費を半年分まとめて支払われる場合、支払月のみをもって起算月とする。
(月変4) 4月からの6カ月定期券代を2月に支給する場合において、期中住所変更に伴う定期券も含め支払われた場合、定期券の開始月でなく、支払い月の2月から6カ月に分割して割り振り起算月となる。
(月変7) 固定的賃金の変更が月ごとに支給額が変動する(例:通勤手当単価の変更×出勤日数で支給(A)するタイプ)、固定的賃金の変更が複数あって、各月の増減が確定しない場合のうち、変動しない固定的賃金の変更(B)>Aなら、Bの変更で比較、B<Aなら3カ月平均の増減で改定をおこなう。
(月変9) 役員から従業員といった身分変更で、基本給がさがり、残業代がつくといった変更がともなう場合、それぞれの固定的賃金変更があったものとして変動が反映された月ごとに起算月とします。
(月変10) 同一月に固定的賃金変動複数生じる場合でも、実際反映する月が異なるなら、それぞれ反映された月ごとに起算月とします。
(月変11) 残業代の締め日変更は、固定的賃金変動とはならない。また固定的賃金の変動による時間外手当の時間単価変更は、固定的賃金の変動にあたらない。
(月変12) すでに支払った手当の遡及的減額は、減額を行った月を起算月とする。遡及部分は控除前を算入する。
(月変13) 固定的賃金変動の平均とる3か月間に、さらに遡及の昇給があった場合、最初の3カ月はそれぞれの月の実支給額で、新たな3カ月でも随時改定にあたるかになります。
(月変16・21) 時給制の1日の所定労働時間の変更、月所定日数の変更も起算月となります。
(月変17) 非固定的賃金の創設廃止であって、当該月(廃止なら前月)に支給がない場合でも、当該月が起算月となる。
(月変22) 担当現場ごとの日給単価が変わったり、異なる日給単価の複数受け持ちが単数受け持ちになれば、起算月となる。
(月変23) 懲戒減給は改定の対象とならず、降給のみ改定対象となる。
(月変26) 固定的賃金の変動が賃金計算期間の途中にあった場合、翌支払い月が起算月となる。
(月変27・31) 複数の固定的賃金の変動は、増減たしあわせた増加、減額の一方での改定となる。増減たしあわせて増加減なしなら、改定とならない。
(月変32) 育児時短、就業規則に規定した理由による時短の場合、改定の対象となる。

問答集のうち、一時帰休、休職、休業のケースは割愛してあります。必要な方は、上の手引き等をお読みになるか、年金事務所にお問い合わせください。

(2023年3月2日投稿、2023年6月7日編集)

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