以前、雇用保険離職票の賃金額AB欄わけてかかせる取扱要領を読んでいたら、労働日数126日以上ある労働者には、時給日給のB欄7掛け(雇用保険は6割でなく7割)計算わざわざする必要なしと切り捨てる記述があり、なぜだろうといかぶってました。
平均賃金求めるとき時給日給者へは6割の最低保証があり、そちらの額に重点ある労働者への保護だとばっかり思っていたのですが、自動で両方一度に表示する計算式を作ってみるとそうでないことに驚きました。
6割保証が採用される条件式を書いてみます。
M:月給、m:日給・時給、D:暦日数、d:労働日数
(M+m)÷D <(M÷D)+(m÷d)×0.6
左辺は賃金全体を暦日数で除した額、右辺は、日給時給を労働日数で除した6掛けで右辺が大きくなる条件は何かを手繰っていきます。左辺展開して
(M÷D)+m÷D <(M÷D)+(m÷d)×0.6
両辺から(M÷D)を引きます。
m÷D <(m÷d)×0.6
両辺にD×dを乗じます。正数なので不等号の向きは変わりません。
m×d < m×D×0.6
両辺をmで割ります(同、m≠0)。
d < D×0.6
仰々しかった式も、なんの変哲もない、労働日数が暦日数の6割未満のとき保証規定のおでましという関係になります。賃金の6割保証が日数の6割に変質してる?
3カ月合計 | 暦日数 | 平均賃金 | 労働日数 | |||
540,000 | 36,000 | 90 | 6,400 | > | 6,360 | 60 |
> | 6,393 | 55 | ||||
= | 6,400 | 54 | ||||
< | 6,408 | 53 | ||||
< | 6,415 | 52 | ||||
36,000 | 600,000 | 90 | 7,067 | > | 6,400 | 60 |
550,000 | 6,511 | > | 6,400 | 55 | ||
540,000 | 6,400 | = | 6,400 | 54 | ||
530,000 | 6,289 | < | 6,400 | 53 | ||
520,000 | 6,178 | < | 6,400 | 52 | ||
600,000 | 0 | 90 | 6,667 | = | 6,667 | 60 |
400,000 | 200,000 | 6,667 | > | 6,444 | ||
300,000 | 300,000 | 6,667 | > | 6,333 | ||
200,000 | 400,000 | 6,667 | > | 6,222 | ||
0 | 600,000 | 6,667 | > | 6,000 |
3カ月の暦日数を90日としてその6割である54日未満の出勤数の日給時給者が保護規定の恩恵にあずかり、労働日数54日以上の日給者時給者は、暦日数割のほうが常に大きい(6割保証額は常に小さい)ということなのです。前述の雇用保険も180日の7割り126日という値で仕切れるわけです。
何の保護規定なのか唖然とするばかりです。これは以前から気になっていたのですが、たとえば週1労働者日給8千円の平均賃金は4800円(単純に8千円の6割り)前後になり、解雇予告30日分は14万4千円と月額平均の4倍にも膨れ上がります。考慮要素の労働日数とあわせて、月額/日時額の比か何かも賃金額に反映する形を導入すべきでしょう。
(2025年2月27日投稿)