月間労働時間のカウント、そのうち法定休日労総時間、時間外労働時間のカウントがむずかしい、36協定の限度時間枠におさまっているかの確認がよくわからない、そして働いた時間分の賃金、とくに60時間超の割増賃金の付け方がわからない、という質問をみかけました。
36協定の限度枠
会社が結んだ36協定内容は、複数の要素が入り組んで複雑にして理解しにくいです。残業を命じる部下のいない従業員は、勤め先に協定があることを把握しておけばいいでしょう。しかし、残業させる部下のいる上司は、36協定の内容をすみからすみまで理解しておかないといけません。はたして今月の限度時間を使い切ったか、常時把握していないことには、月しめてから上限突破がわかってからでは、あとの祭りです。日ごと、月初の累計把握がかかせません。違法残業させた取り調べを受けるのは、経営者の社長でなくまず部下の直接の上司です。ただ単に、月枠だけでなく年枠、そして過去5カ月の勤務状況等から求まる上限のうち、最小値が何時間かが重要です。以下、どの値を把握していなければならないか一覧にしてみました。
時間外 | 法定休日 | ||
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36協定なし | 日8時間、週40時間こえて労働させてはならない | 法定休日に労働させてはならない | |
有効な 36協定あり |
協定枠内でも法定休日労働含む時間外労働が月100時間に達してはならない | ||
一般条項 | 月45時間、年360時間まで(協定時数が短いならその時間まで) | 協定回数まで | |
特別条項 | 一般条項の月枠限度枠を超える手前で月間特別条項の発動は年6回まで 法定休日労働を含め時間外労働は月間協定時数まで |
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週間労働時間のイメージ
月間賃金率のイメージ
時間単価×1.50 |
【休日割増賃金】 時間単価×1.35 |
【時間外割増】 時間単価×1.25 |
【所定賃金】 |
割増賃金計算
最後に月の時間外割増計算例です。時間単価1000円、月間累計が次のとおりだとして、
時間外労働(日) | 49時間 |
時間外労働(週) | 23時間 |
法定休日労働 | 27時間 |
法定休日割増賃金 | 27×1000×1.35=36,450円 |
時間外労働全体 | 49+23=72時間 |
60時間内25% | 60×1000×1.25=75,000 |
60時間超過50% | (72-60)×1000×1.5=18,000 |
時間外割増賃金にはこういう算出方法もあります。
時間外全体25% | 72×1000×1.25=90,000 |
60時間超過25%プラス | (72-60)×1000×0.25=3,000 |
(2023年5月14日投稿)