労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

月間割増賃金計算の積み上げ

2023-05-14 08:47:42 | 賃金

月間労働時間のカウント、そのうち法定休日労総時間、時間外労働時間のカウントがむずかしい、36協定の限度時間枠におさまっているかの確認がよくわからない、そして働いた時間分の賃金、とくに60時間超の割増賃金の付け方がわからない、という質問をみかけました。

36協定の限度枠

会社が結んだ36協定内容は、複数の要素が入り組んで複雑にして理解しにくいです。残業を命じる部下のいない従業員は、勤め先に協定があることを把握しておけばいいでしょう。しかし、残業させる部下のいる上司は、36協定の内容をすみからすみまで理解しておかないといけません。はたして今月の限度時間を使い切ったか、常時把握していないことには、月しめてから上限突破がわかってからでは、あとの祭りです。日ごと、月初の累計把握がかかせません。違法残業させた取り調べを受けるのは、経営者の社長でなくまず部下の直接の上司です。ただ単に、月枠だけでなく年枠、そして過去5カ月の勤務状況等から求まる上限のうち、最小値が何時間かが重要です。以下、どの値を把握していなければならないか一覧にしてみました。

  時間外 法定休日
36協定なし 日8時間、週40時間こえて労働させてはならない 法定休日に労働させてはならない
有効な
36協定あり
協定枠内でも法定休日労働含む時間外労働が月100時間に達してはならない
同じく法定休日労働含む時間外労働が当月含め過去2か月~6か月平均80時間超えてはならない
  一般条項 月45時間、年360時間まで(協定時数が短いならその時間まで) 協定回数まで
  特別条項 一般条項の月枠限度枠を超える手前で月間特別条項の発動は年6回まで
法定休日労働を含め時間外労働は月間協定時数まで
一般条項の年枠時間外時数をこえる手前で特別条項発動しても年間時間外720時間まで(協定時数が短いならその時数まで)  

週間労働時間のイメージ

  時間外労働   法定休日労働
               
     
     
   ↑  
 
 

法定労働時間

 ↓
← 週 4 0 時 間 →

月間賃金率のイメージ

    時間単価×1.50  
    【休日割増賃金】
時間単価×1.35
    【時間外割増】
時間単価×1.25
  【所定賃金】
  ← 所定労働時間 → ← 時間外60時間まで → 60時間超 →  

割増賃金計算

最後に月の時間外割増計算例です。時間単価1000円、月間累計が次のとおりだとして、

時間外労働(日) 49時間
時間外労働(週) 23時間
法定休日労働 27時間
法定休日割増賃金 27×1000×1.35=36,450円
時間外労働全体 49+23=72時間
60時間内25% 60×1000×1.25=75,000
60時間超過50% (72-60)×1000×1.5=18,000

時間外割増賃金にはこういう算出方法もあります。

時間外全体25% 72×1000×1.25=90,000
60時間超過25%プラス (72-60)×1000×0.25=3,000

(2023年5月14日投稿)

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