労基法では「出来高払制その他請負制」によって定められた賃金について規制を設けています。歩合給もその一種ですが、労働者のがんばりにどう報いるかは、導入する企業の各社各様です。ここでの説明では、「歩合給等」で統一します。
平均賃金計算
歩合給等も日給・時給とあわせて、平均賃金計算のうえで、計算期間中の労働日数で除した6割という最低保証の対象とします(労基法12条1項1号)。
時間外等の時間単価
歩合給等の総額を、給与計算期間の総労働時間で除した額をもって時間単価とします(施行規則19条1項6号)。他の日給や月給の賃金手当と違うところは、月間所定労働時間ではなく、歩合給の対象とした総労働時間で除すことです。総労働時間をかけて稼ぎを生み出したとみなし、割増賃金の1.25倍のうち、1.00部分は歩合給本体として支給済みと考えます。なお特定の労働部分に対する歩合給等ですと、総労働時間でなくその労働時間とします。
【時間外割増賃金】 時間単価×1.25 ×時間外労働時間 |
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【所定賃金】 | |
割増部分 0.25 | |
【歩合給】 | |
年次有給休暇
年次有給休暇をとった日の休暇日賃金を、所定労働時間分の賃金とする場合は、歩合給等も計算の対象とします。休暇した日に成果をあげていないのだから支払わないということができません。
歩合給等の総額を、給与計算期間の歩合給の対象とした総労働時間で除した額をもって時間単価とします(施行規則25条1項6号) なお、この期間に出勤がなく歩合給がない場合は、直近の額(最後に支払った額)を採用します。この点が時間外労働等時間単価算出とは異なるでしょう。
保障給
成果に見合う歩合給は無し、賃金を一銭も支払わないということができません。働いた時間に応じた一定額を保障し、賃金支払いをせねばなりません(法27条)。
最低賃金
最低賃金算出においても、歩合給等は算入対象です。その計算期間の歩合給の対象とした総労働時間で除した額になります(最賃法施行規則2条1項5号)。
(2023年4月1日投稿)