毎年4月から6月にかけて受け取る給料が残業等で他の月より多い労働者にとって、年収では同じ層の労働者に比べ割高な社会保険料を通年収めるといった不満がありました。
そこで、平成23年ごろの定時決定から、年平均をベースに保険料設定できる制度が始まりました。一方定時にくらべ複雑な随時改定は、遅れて平成30年10月に年平均が始まりました。
両制度ともたまたま対象期間と業務多忙がかち合ったというだけではだめで、毎年同時期の繁忙期にあたる、といった恒常性が必要です。また労働者が希望するたけでもだめで、使用者がその必要を認める、といった双方性が条件です。
両者は1年かけて平均をとるのですが、対象となる賃金が微妙にことなります。それをイメージで図示してみました。
定時決定の1年平均
単純に3か月平均とのこり9か月を加えた1年平均を求め比較し、諸条件に合致しているとの申請をし、年平均の標準報酬月額として9月からの保険料適用します。
固定的部分 | 非固定的部分 | ||||||||
前年7月 | |||||||||
8月 | |||||||||
9月 | |||||||||
10月 | |||||||||
11月 | |||||||||
12月 | |||||||||
本年1月 | |||||||||
2月 | |||||||||
3月 | |||||||||
4月 | |||||||||
5月 | |||||||||
6月 |
次に説明する随時と異なり、3か月平均と1年平均との差が2等級以上ある場合が該当します。
随時改定の1年平均
定時とは異なり、1年平均は非固定的賃金を対象とし年間の月平均を求め、固定的賃金は変動月以後3か月のみを対象とし月平均をもとめ合算比較します。諸条件に合致しているとの申請をし、年平均の標準報酬月額として第4月からの保険料適用します。
固定的部分 | 非固定的部分 | ||||||||
-9月 | |||||||||
-8月 | |||||||||
-7月 | |||||||||
-6月 | (計算対象外) | ||||||||
-5月 | |||||||||
-4月 | |||||||||
-3月 | |||||||||
-2月 | |||||||||
-1月 | |||||||||
変動月 | |||||||||
第2月 | |||||||||
第3月 |
月変における主要な要件を列挙してみます。
- 現在の標準報酬月額
- 従前の3か月平均
- 1年平均
- AB間に2等級差以上あること(これがないと従前の月変にあたりません)
- BC間に2等級差以上あること(1等級差以下ならさわぐことでもないのでしょうか)
- AC間に1等級差以上あること(1等級でも抑えたいということです)
(2023年10月13日投稿)