湯浅克俊展はいよいよ明日までとなりました。
4月初旬に作品を受け取ってから2か
月くらい展示作品を見つめてきました。
こんなことは過去にありません。
「Quardrichromic /4色印刷」
撮影場所/飯田橋(東京)
水性木版画、4版4色刷り、
水性顔料インク、和紙
91×180cm/2018年制作
『・・・・
それから3年後の2017年秋、再び横浜美術館の学芸員さんから連絡を頂きました。2018 年にモネ とモネ に影響、触発されたアーティストの展覧会を横浜美術館と名古屋市美術 館で行うので参加してくれないかと言うものでした。版画で、それも木版画でモネ との関 連があるのか初めは分かりませんでしたが、学芸員さん曰く、私の4色分解 (CMYK)のカ ラー木版画がモネ の筆触分割というなるだけ絵の具を混ぜ合わせず、原色に近い絵の具の タッチをキャンバスにのせて行くことで画面全体に明度と輝きを保つことができる手法に 近いとのことでした。また、色に対する探究心、水面のモチーフが多いことも選んでくれ たポイントだったようです。私は2008年から2009年にパリのシテデザールで滞在してい る間にジヴェルニーのモネ のアトリエを訪ねたことがありました。もちろんモネ が愛し た睡蓮の池も見て、写真もたくさん撮りました。その後、その時に撮影した写真を元に 「光の庭」を制作しました。学芸員さんからはこの作品の展示をお願いされました。他に もいくつかカラーの作品をと言われたのですが、私はまた頼まれてもいないのに新作を作 りますと提案しました。モネ へのオマージュ作品として4色分解の新作を制作する。これ また時間はあまりありません。締め切りまで3ヶ月ほどです。まずは題材となるイメージ 探しです。私なりの愛する庭を表現したいが、私の庭には池がありません。そこで電車か らよく目にしていた東京の飯田橋、市ヶ谷あたりの外濠の水風景が私にとって季節を感じ る池の代わりなのではないかと思い立ちました。春には桜が咲き、夏は新緑、秋は紅葉、 それぞれの色が水面に映ります。水面が四季を映し、東京を表現しています。外堀を様々 な場所から撮影し、最終的に飯田橋駅のプラットホームの端から撮影したボート置き場の 何気ない風景を作品にすることにしました。そこからは学習塾やレンタカーの看板や自転 車に乗る人、乗用車、そして紅葉した木々が見えます。東京の日常です。水面は少し手を 加えて抽象的に表すことにしました。現実と抽象世界は同じ線で結ばれているように。異 なるように見えるものも、ようく観察すれば同じ構成物で出来ているように。そして色は 4色のみ。最小限の色数で全ての色を再現する試みです。水性木版画サイズが大きくなれ ばなるほど、技術的に難しくなります。和紙や板木は摺りの工程の間、常に湿度を保たな ければいけません。和紙や板木が乾くとうまくすることが出来ません。だからと言って急 ぐこともできません。きちんと手順通りに正確に摺ることが大切です。結局この作品もな かなか困難な挑戦となりました。しかし抽象と具象世界が繋がった意欲的な作品が出来上 がったと思っています。モネ の展覧会はまず名古屋市美術館で始まりました。私は光の 庭、飯田橋の外濠の他にRGBという特注のライトボックスに額装した作品2点も展示しました。光と色を探求し続けたモネへのオマージュです。』
これは、2018年名古屋市美術館の『モネ それからの100年』展に参加した経緯をインタビューしたときの文章です。作家に承諾を得てここに掲載しました。
実は前半があるのですが、きっかけとなった2014年横浜美術館での参加に至る経緯が書かれています。この場では割愛しました。すごく興味深くて面白いのですが。
追記: (こちらは彼の作品集にある文章)
興味のある方は読んで下さい。
私は名古屋市美術館でこの作品に出会い魅了され、湯浅氏とはその後偶然出会うことになりました。
ぜひ彼の作品をみなさんに観て頂きたいとの思いで企画しました。
コロナ禍という時に重なってしまってほんとうに残念でしたが、お越しいただいた方々には心からお礼申し上げます。
展覧会終了後は、ギャラリーのHPの
「過去の展覧会」で展示作品を掲載しますのでご覧ください。
「湯浅克俊 個展
世界を旅する木版画』展、明日まで。
13:00 - 16:00
お問い合わせ
052-836-2058
mail@noivoi.com
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