背筋をぴんと伸ばし、乾いた
靴音を響かせて、歩いていく
わたし。地上は曇りでも、雲の
上にはいつだって、コバルト
ブルーの空が広がっている。
きっと、そんなことを思って
いたはずだ。
もうすぐ、彼に会いに行く。
あの空を飛んで。海を渡って。
時の壁を突き抜けて。
あと四日、四日後の金曜日。
わたしの背中にはすでに、
翼が生えていた。
詩音ちゃんへ
メールありがとう!ビック・
ニュースでした。
朝一番に読んで、思わず
「やったぜ~!」と雄叫びを
あげました。
すぐに返事しなければと思い
つつ、ゆうべはへろへろに
疲れて、学校から戻るとその
ままぶっ倒れてしまい、
気がついたら今朝になって
いたという次第です。
さっそくですが、日程のこと
了解しました。
※ ※ ※
詩音ちゃんへ
僕も大急ぎで返信。
たい。大歓迎です。
うちでよければ好きなだけ、
お泊り下さい
ただし、身の安全は保証しません(笑
※
メールだから、書けた。「停めて下
さい」なんて。
電話とか、面と向かってでは、と
てもそんなこと、言えなかったと
思う。
「声がすごく聞きたいと思った」。
その一行に、ふっと手を取られた
ような気になっていた。
ふっと手を取られて、そのまま海
の深みまで、引き込まれてしまい
たい。本当の恋人同士に、なりた
い。これまでのわたしと、今のわ
たしと、そしてこれからのわたし。
あるがままの女を、あのひとに
明け渡したい。
願っていた。気持ちだけではなく
て躰でも、つながりたいと。
すべてを差し出したいと、わたし
は飢(かつ)えていた。
あのひともそれを望んでくれてい
る。そう確信していた。
二十二歳の夏。信じていた。二十
二歳の確かさと脆さで。
わたしたちはお互いに、求め合って
いると。
靴音を響かせて、歩いていく
わたし。地上は曇りでも、雲の
上にはいつだって、コバルト
ブルーの空が広がっている。
きっと、そんなことを思って
いたはずだ。
もうすぐ、彼に会いに行く。
あの空を飛んで。海を渡って。
時の壁を突き抜けて。
あと四日、四日後の金曜日。
わたしの背中にはすでに、
翼が生えていた。
詩音ちゃんへ
メールありがとう!ビック・
ニュースでした。
朝一番に読んで、思わず
「やったぜ~!」と雄叫びを
あげました。
すぐに返事しなければと思い
つつ、ゆうべはへろへろに
疲れて、学校から戻るとその
ままぶっ倒れてしまい、
気がついたら今朝になって
いたという次第です。
さっそくですが、日程のこと
了解しました。
※ ※ ※
詩音ちゃんへ
僕も大急ぎで返信。
たい。大歓迎です。
うちでよければ好きなだけ、
お泊り下さい
ただし、身の安全は保証しません(笑
※
メールだから、書けた。「停めて下
さい」なんて。
電話とか、面と向かってでは、と
てもそんなこと、言えなかったと
思う。
「声がすごく聞きたいと思った」。
その一行に、ふっと手を取られた
ような気になっていた。
ふっと手を取られて、そのまま海
の深みまで、引き込まれてしまい
たい。本当の恋人同士に、なりた
い。これまでのわたしと、今のわ
たしと、そしてこれからのわたし。
あるがままの女を、あのひとに
明け渡したい。
願っていた。気持ちだけではなく
て躰でも、つながりたいと。
すべてを差し出したいと、わたし
は飢(かつ)えていた。
あのひともそれを望んでくれてい
る。そう確信していた。
二十二歳の夏。信じていた。二十
二歳の確かさと脆さで。
わたしたちはお互いに、求め合って
いると。