佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

『遠 恋』 好きでいさせて ―1―

2017-07-12 19:40:27 | 日記
飛行機の小窓に額をくつけて、
眼下に広がり景色を見つめた。
なんて広大な森。

アメリカに来るのは、初めて
だった。海外旅行は高校生の
時、母とふたりでツアーに参加
したパリとウィーン、大学時代
に友だちと出かけた香港、その
二回きり。

今回も、パケージツアーに申し
込んだ。「ニューヨークシティ
五日間のバカンス」。飛行機
とホテルと、空港・ホテル間の
送迎バスだけがついてくる。

残っていた有給を、まとめて
取った。退職が受理されて、
冬のボーナスをもらったあ
とで、会社を辞めることに
していた。

どうか会えますように。
神さま、あのひとに、会わせて
下さい。

ツアーに申し込む前に、あのひと
の借りている家の一階に住んでいる、
大家さんに電話をかけてみた。
その電話でやっと、わたしはあの
ひとが家を留守にしていること
を知った。

「カイセイは、この町から車で三時間
ほど北へ走ったところにある、
ナチュラル・アグリカルチャー・
プログラムに参加しているのです。
おそらくあと二週間ほどしたら、
戻ってくるでしょう」

「彼の滞在先の電話番号は、わか
りませんか?」

「残念ながら、それは聞いており
ません。もしかしたら、電話も
電気も水道も、ないところかも
しれませよ。あのあたりは山奥
ですから。かまびすしい現代

文明から開放された、聖域みた
いなところなんです」
そう言ってジャネットは笑った。

わたしは彼女に、渡米の予定
――――それもちょうど二週間
のちだった――――を伝え、

「もしもそれまでに彼が戻って
きたら、わたしに直接、電話を
かけてもらえるよう、伝えてく
ださい」と頼んだ。
「わかりました。伝えます。
問題ありません」
と、彼女は約束してくれた。

マンハッタンを出て三十分ほど
過ぎると、電車の窓から見える
景色は一変した。

電車の揺れに身をまかせ、夕闇
を溶かし込むように暮れていく
河を眺めているうちに、緊張と
昂揚のあまり張り詰めていた
気持ちが、ゆるゆると解けて
くるのがわかた。
きっと会える。

必ず会える。
絶対に会える。

胸の中で念じ続けていたそれ
らの言葉が、静かにその輪郭を
失ったあと、澄みきった心の
表に浮かんできたのは、たった
ひとつの想いだった。
あのひとが、好き。

父が逝った夏、八番目の曜日に、
あのひとは言った。
泣いていいよ。泣きたければ、
いつまでだって、好きなだけ
泣いて。俺はずっとそばにいる
から。

あのひとの言葉を、ひとつ残らず
覚えている。

優しい言葉も、熱の籠った言葉も、
さり気なく置かれたひとことも、
ただの相槌でさえも。いいえ、それ
は覚えているのではなくて、突き刺
さっているのだ。

ガラスの破片のように、柔らかい
薔薇の棘のように。だからわたし
の胸は、こんなにも、痛い。

北へ、北へと、あのひとの住む
町に向かって、まるで河面を滑る
ように走る電車の中で、泣き出し
てしまいそうになるくらい、叫び
出してしまいそうになるくらい
・・・・
あなたが、好き。

アイシテイル
トオクハナレテイテモ
ワタシタチハ
ツナガッテイル




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「 ひとカケラ」 佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム

2017-07-12 12:21:54 | 日記
K18金  ¥3250
プラチナPT950 ¥3060
【 7月 12日(水)即買値】

佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
  ~ヤナギダ~
☎0267-62-0220



生きてきることはそれ
だけで素晴らしい。

人はでも、そのことを普段、
意識しない。
あるいは、知らないで生きて
いる

意識しないようにしている
人も、知らないで生きてい
る人も、一緒にごたまぜに、
この世間にいる。

奇跡の中に私たちはいるのだ。

そのことを、いつも思い出し
ていたい。

そのひとカケラでも私はだれか
に手渡したくて、

その素晴らしさの中にいると
いう奇跡を一瞬でも感じさせ
たくて、私は今日も生きて
いる。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お勧めミュージック:サラ・ヴォーン

2017-07-12 06:36:56 | 日記
You Tube :
1.Sarah Vaughan 1988 - 07 So Many Stars
2.So Many Stars





3.Autumn Leaves - Sarah Vaughan

#3 “Autumn Leaves” 「枯葉」、
いわゆるあのサビのメロディーが
聴こえてきません。「フェイク」という
表現手法で、メロディーをくずして
歌っているのです。ハイテンションに
駆け抜けるスキャットは、オリジナリ
ティに溢れ、誰も聴いたことのない
「枯葉」で圧倒します。

最もポピュラーなスタンダードの一つ
「枯葉」。何度も何度も演奏され、
ジャズの無限の可能性を示したサラの名唱。

【解説】
美空ひばりが、米国公演前に徹底的に
勉強したのがサラ。

晩年までジャズの女王の名を縦(ほしいまま)にした。
ソプラノからコントラルトまで幅広いレンジに、
美しいヴィブラートの掛かった、
オペラ歌手にも匹敵する幅広い声域と、
豊かな声量を兼ね備え、大胆なフェイクや
スキャットを取り入れた歌唱力をも持ち味とした。
ジャズ・ボーカル史上ビリー・ホリデイ、
エラ・フィッツジェラルドと並ぶ、
女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家の一人。

You Tube

1.小林桂/枯葉 / Kei Kobayashi/Autumn Leaves

2.小林桂 / フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン kei kobayashi / fly me to the moon

3.小林桂/イパネマの娘 kei kobayashi/the girl from Ipanema

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏のプロローグ

2017-07-12 06:33:37 | 日記

彼は、砂を蹴るように走ってい
った。そのあとを小犬がじゃれ
て、ついていく。

暮れかかった海辺で、そこだけ
スローモション・フィルムのよ
うな絵柄に見えた。

彼はこちらを向いて、手を振っ
た。私も手を振り返し、
・・・水すまし、糸切り歯・・・

と、つぶやき、渚に背を向けて
から、思わずほほえんだ。


ーー ※ ーー


夏のプロローグ 気がつくと
しなやかに心は踊る

その年のまっさらな思いでづ
くり

ワンショットでいい 飾るシー
ンも

それがいつか 大きく季節を
超え たくさんのドラマを

生むかもしれない

揺り返す波の ストップモーシ
ョンのように

出逢いも 心の中で 一時停止
した情景

出来れば 絵葉書のように 
壁のピンで止めたい

胸騒ぎも 予感も 出来れば
凪いだ海のように

おだやかな 包みこむような
恋であってほしい

誘惑ほどに 大げさじゃなく
さざなみほどの

ときめき きらめきの心で・・・

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「告白の目玉焼きのつくり方」

2017-07-12 06:33:15 | 日記

フライパンにバターをうすく
流します。

愛の殻を割って、白身と黄身
をこわしたり混じりあったり
しないように落とします。

小さじ一杯の塩をふりかける前に、
ためいきをそっと一つ。

好きな人の名前をよんでください。
⇒ Mayumi N ちゃん 

素早く愛は焼きあがります。

かたちをこわさないで食べるのが、
愛の上手な食べ方の秘訣です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「母がのこした”壮絶な愛”」

2017-07-12 06:30:30 | 日記
私は幼い頃、母と別れたのですが、
作家の西村滋さんは、母の恩に
ついてこう語っている。

「優しかった母が結核に罹って
隔離された。大人たちは近寄ら
ないようにと言うが、幼時のこ
とで母恋しさに近寄ると、

母は私を見るなりに罵声を浴び
せ、コップやお盆などを手当り
次第にぶつけてくる。

顔は青く、髪を振り乱して荒れ
狂う姿は、鬼としか思えず、次第
に母を憎悪するようになった。

いつか、ぐれて少年院にいた。
そのときに、昔の家政婦さんが
来て告げた。

『私はもっとあの子に憎まれたい。
私はあと一年か二年の命です。
あの子は幼くして母を失うのです。

幼い子が母と別れて悲しがるのは
優しく愛された記憶があるからで、
憎らしい母親なら死んでも悲しま
ないでしょう。

夫もまだ若いから、新しいお母さん
が来るでしょう。

その方に可愛がってもらうためにも、
死んだ母親なんか憎ませておくほ
うが、あの子のためです』と。

それを聞いて、私は立ち直ることが
できた」
なんと壮絶な母の愛ではありませ
んか。

お金とか土地とか家などは、残して
かえってためになりません。

自分のつらさを隠して無償の慈しみと
愛の強さを、心から痛感しました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする