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石川綾子ヴァイオリンコンサートinスクエア荏原

2016-07-02 22:07:05 | バイオリン
今日(7/2)は、観に行く予定はなかったのですが、『石川綾子ヴァイオリンコンサートinスクエア荏原』公演に行ってきました。

余りに良かったので、全曲所感を書くことにした。興味ない人はスルーで。




1曲目、情熱的な彩りで聴かせる、ヤコブ・ゲーゼ『タンゴジェラシー』から始まり、2曲目以降は天然MCと楽曲解説を交えながら、プログラムを進めていった。

2曲目、若き年齢で亡くなったフレデリック・ショパン『ノクターン第20番 嬰ハ短調』は、切なく繊細な響きの音色で、作曲家の心情をよく捉えた演奏であった。

3曲目、カミーユ・サン=サーンス『死の舞踏』は、前奏の鐘の音色を、弓で弦を弾きながら、他の指で弦をはじき弾く技で表現をして、次には重音を重ねていく。原曲のイメージをより強く表現した独自の解釈を加えたと思える演奏で、素晴らしかった。発表会でここまでは弾けないだろう…笑

4曲目、アンドルー・ロイド・ウェバー『オペラ座の怪人+「キャッツ」よりメモリーよりメモリー』は、美しくも荘厳な世界観を、煽情的なヴィヴラートを加えながら、細かな音の響きや揺れを、よく表現していたと思う。

5曲目、ヘンリー・マンシーニ『「ひまわり」よりLoss of Love』は、イタリア映画音楽として有名である。物悲しい刹那さに満ちた雰囲気で包み込むような演奏でした。

6曲目、ジョルジオ・モロダー&ヨハン・パッヘルベル『Never Ending Story Meets Canon』は、2人の作曲家の曲を、バイオリンとピアノで次々と入れ替わるようにアレンジした曲で、不思議な感覚を覚えた。

7曲目、重音を超高速で矢継ぎ早と繰り出す、超絶技巧なテクニックを必要とする、アラム・ハチャトゥリアン『剣の舞』は、まるで竜巻がうねるような腕の動きで弾きこなし、圧巻の一言。





〜 休憩後は、アニソン、バンド、演歌、自作曲に、クラシックを交えた選曲 〜

8曲目、ryo(supercell)『君の知らない物語』は『化物語』のエンディングテーマで初めて聴く曲でしたが、心の琴線に触れるメロディを紡ぎ、うっとりするような心地よさが残った。

9曲目、バイオリンでは弾くことが珍しい、三岳章『川の流れのように』は、日本の古き良き情緒に溢れた、とても落ち着いた音色で嫋やかに弾いて、和やかな気持ちにさせてくれた。

10曲目、恩田快人(ジュディマリ)『そばかす』は、元来バンドの曲をピアノ伴奏とバイオリンの組み合わせで演奏すること自体、異色でもあるが、鮮やかな色彩感覚に溢れた音色で、全力で演奏することで、バンドにも匹敵するノリを充分に出せるのですね。

11曲目、オリジナル曲、石川綾子作曲『PASSION』では、感情の昂りを激しく歌うように弾いて、自身が持つ豊かな表現力をみせてくれた。

12曲目、アストル・ピアソラ『リベルタンゴ』は、流麗で繊細で透明感に溢れた旋律を紡いでいくように、バイオリンを奏でていく。スピード感にも溢れていて、実に気持ちが良かった。

13曲目、本日のプログラムの中では、最も左手を動かして弾く、ヴィットーリオ・モンティ『チャルダッシュ』は、足の先から頭までの身体全体を動かし、全身全霊をバイオリンに注ぎ込んでの演奏は、まさに驚愕の神技炸裂!今まで見た他の演奏家よりも演奏能力は高かった。私は弾けない曲ですね…笑

一応、これまでの楽曲は譜面台を立ててはいたが、おそらくは、ほぼ暗譜に近い状態だったと思う。

アンコールの初音ミク『千本桜』では、既に観客の興奮状態はMAX!
演奏開始からすぐに、ステージ上から降りて、客席の通路を歩きながら演奏を始めた。子供連れの家族の前では、しゃがみ込んで近くで見れる位置で、弾いてみせていた。なんてフレンドリーなバイオリ二ストなのでしょう。





〜 終演後のサイン会 〜

ふと感じたことですが、以前に観に行った中川翔子さん(しょこたん)のようなハスキーな声ともまた違いますが、少し低音の魅力を感じさせるアニメ声で、ファンの一人一人に気さくに話しかけてくれて、しかも話しやすく、ファンからの質問にもよく答えてくれていた。

発表会で演奏予定の「死の舞踏」のことで、死神が鎌を振り下ろす様を表現したとも伝えられる、調弦のことを聞いたら、この日の演奏では、ノーマル・チューニングだったとのこと。

石川綾子さん「えっ、発表会であんなに難しいのを!」と、驚いていた。
自分も弾いていたのに、どういう意味でしょうか…

私は、『死の舞踏』が収録されたCDと、A3ポスターにサインをもらうために、2回も並んでしまった…笑



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