酒田には酒田本港と北港がある。本港は最上川の最終地点で、歴史が深い。本港は内陸と外港との交流の基点であり、文化交流を担う重要な港であった。さらに蒸気機関車の燃料である「黒いダイヤモンド」といわれた石炭の荷役場所でもあり、貯蔵所として大きな役割を果たしていた。
その役割は終わり、一帯は「酒田海鮮市場」「みなと市場」「SAKATANTO」等の施設が集約する観光エリアと変わった。山居倉庫、日和山公園等の名所が隣接し、市街地商店街へは散歩コースでもある。本港へクルーズ船を接岸させたい願望は強いいものだった。港の水深や接岸時の防舷材が不十分なため、入港は見送られていた。
山形県地方港湾審議会は、市街地に近い本港エリアに一万トン前後の豪華客船の受け入れを可能にするための岸壁の改良を盛り込んだ港湾計画を了承した。数億円規模の改良工事になると見込まれているが、早期に接岸出来るよう着工が期待されている。
豪華外国クルーズ船の十万トンクラスは酒田北港に昨年8隻入港している。酒田北港は市街地に遠くバスやタクシー等の送迎が不可欠になる。その対応は酒田市のみでは無理であり乗客への負担も大きい。本港に接岸希望の豪華客船ル・ソレアルは1万トン余りで、昨年北港に入港している。本港への一番乗りを期待している。
むかしむかし100年以上も前の話である。明治14年に漆曽根村は116戸に734人が住み、228町6反の水田を耕していた。戸長村役場時代の大きな村だった。やがて戸長村役場が廃止となり北平田村に統合された。漆曽根は村役場がある中心的な地区で,その漆曽根の南端に舟止(ふなど)の大きな用水門があった。
舟止は、山居倉庫に繋がり新井田川使って、米を運ぶ基地でもあった。大きな水門があり、子供たちの絶好の水遊び場でもあった。大正8年の耕地整理の際、「義家」の梵字のある石が見つかり、「義家稲荷神社」として建立した。その次の年に一尺8寸の大きなナマズを捕まえると、なまずの腹の中から金仏の観音像が出てきて、大騒ぎとなった。とりあえず村の実力者宅に安置し、翌年、義家稲荷神社の傍に「ナマズ観音」を建立して、同じ様に祀ることになった。それが、現在でも8月26日に漆曽根地区では「のぼり」を立て「舟止の祭り」として受け継がれている。
そこで北平田コニュニティーでは歴史を踏まえて、地区のキャラクターをナマズにして「きったん」と名付けた。今、売り込みに励んでいる。そこに、北平田小学校の恩師が詩を書き、曲をつけて「しあわせはこぶきったんたん」としてYOUTYUBEに投函した。軽快なメロディーは引き込まれる感じがする。思わず「きたんたん、きったんたん」と口ずさんでしまいそうになる。
「きったんたん」と検索すると曲が流れ映像で見る事が出来る。
山形県知事選挙が始まった。吉村美栄子知事が続投だろうとの観測は前々からささやかれていた。しかし、知事は大雨の災害復旧を最大の関心事として、自分の進退については慎重姿勢を貫いた。かつての知事選は9月議会頃に議員の質問に答える形で出馬を明らかにしてきた。自分への評価を考える時間を与える機会でもある。
今回、出馬表明をしたのは12月議会、自民党県議の代表質問に答える形で5選出馬への決意を明らかにした。自民党は山形県議会の最大会派でありながら、いつも吉村知事とは対峙した会派である。前回は「滞留した水にはボーフラが湧く」として、自民党県議が対抗馬に出馬した。しかし、完敗の苦い経験がある。及び腰の自民党県連は今回、野党から与党に鞍替えする青天の霹靂の決断をした。公明党を除いた全ての党派が支持を表面した。無投票選挙だろうと大方の県民は感じていた。
ところが、昨年暮れに事情は一変した。福島県の金山屯(83)氏が山形県知事選に出馬すると表明、告示された今、知事選はこの二人の選挙戦となっている。金山氏は「知事になりたくて立候補したのではない。現職知事にもっと県民の事を考えてほしいから」と述べている。真意は分からないが、山形県民の政治に対する警鐘の様に聞こえる。
選挙による切磋琢磨はその地域に活力を与え、地域を強くする作用がある事を忘れてはいけない。
秋田県と山形県境の遊佐沖に、国が公募していた洋上風力発電が、丸紅(東京)、丸高(酒田市の総合建設会社)、関西電力、英石油大手の子会社、東京ガスで構成する「山形遊佐洋上風力合同会社」に決まった。これまで賛否両論の議論を重ねてきたがこれで、遊佐沖洋上風力発電は一歩前に進むことになる。
この合同会社は大型風車30基を建設し45万kWの電力を生み出す計画で、2030年6月の運転開始を予定している。洋上風力発電は日本では新しい概念で、不安視する向きもある。北国の海は強風に悩まされてきた。これがクリーンエネルギーに変える事が出来る技術が進化することは、日本にとってはありがたい事である。裏日本と言われ続けられた北日本海側が表舞台のスポットが当たるような感じがする。
遊佐沖の次は酒田沖が控えている。遊佐沖に続いて実現すれば投資額が一兆円と弾かれている。エネルギーの国産化は日本の安全保障や国力強化に直結する国の形の問題でもある。
暗いイメージの北国日本海側が変わるかもしれない。