山茶花談

さざんかだん

宮沢賢治へのオマージュ展

2024-10-17 | 版画
   


アトリエローゼンホルツさんでの宮沢賢治へのオマージュ展では
銅版画も展示しています。
対の作品になる「戯れ」です。
昔、三木成生さんの「海、呼吸、古代形象」を読んで
イメージが浮かんで仕上げたものです。

ドライポイントは、銅の板を鉄の筆で引っかき
その線にインクを詰めて刷る版画です。
わたしのドライポイントはすこし特殊で
版に鉄筆で細かく線を重ねた線描画を
試し刷りしては引っかいてを10回ほど繰り返します。
すると表面にふわっと柔らかい絵が仕上がって来ます。

イギリスのミニプリント展に出品させて頂いたとき
たぶんその技法の珍しさと仕上がりの美しさから
選抜作家として展示して頂きました。
その時に追加でお送りさせて頂いたのが
この2点です。

この技法では大きなサイズの版画で
完成度の高い仕上がりを保つのは難しく
これがぎりぎりのサイズかな・・と思われます。

銅版画の長い歴史と
熟練の技術を持つ作家が多いヨーロッパ、
そのプリント公募団体の主催は
日本よりも版画の技術に敏感で
2年かけてイギリスのいくつかの島を巡回する
素晴らしい団体でした。


  




    

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六月の雨

2023-06-18 | 版画



お太鼓叩いて 笛吹いて

遊んでゐれば 雨が降る

櫺子(れんじゅ)の外に 雨が降る



中原中也の亡き児が
「六月の雨」の中で
たちあらわれて消えてゆきます。

暦を見れば
もう一週間少しで
梅雨も明けるかという時期なのに
雨は少なく

近くの蓮池は
葉も茂らないうちに
花のつぼみが膨らみ始めています。

今朝は早朝から
鶯が元気に鳴いていました。


※ 「五月雨」 メゾチント






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月明り

2023-05-14 | 版画




昼間は汗をかいて夜になるととても寒く感じる、
気温を見ると20℃は超えているのに
どうしてこんなに寒いんだろう。

夜の間も寝苦しくて
たまたまネットに載っていた
とても素敵な絵の絵本の中の文、

” 見えるもの、音、味、この手がふれているものの手ざわり、
それはなんだろう、と考える心、
それもまた、あっても、やっぱり、ないのと 同じです ”

その時たまたま枕元に置いていた本は
「龍樹 ”あるように見えても空という”」


夫が図書館から借りてきた、ゴリラの研究をされている方の本は
京大出身で、その方の先生は河合雅雄さんでした。
昔読んだ雑誌 Mother nature で
立花隆さんと対談されていたのを思い出しました。 

そのゴリラについての本の、対談相手だった小説家の方は
以前、河合隼雄さんに小説を読み解いて頂いたときのことを
本の中で書かれていました。
無意識で書いた小説の文の中に
偶然意味合いがつながっていた箇所について。


私たちの思考の枠からぐっと離れた外側で
たくさんの出来事があって
それらにふっと気づかされた時の楽しさ。





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カタツムリ

2021-07-04 | 版画


7月に入って続く雨の季節。


もう何年も前のことですが
ある雨の日、こんな梅雨時期だったと思います。

曇り空の下、家の前の川に向かう道路を
夥しい数の小さなカタツムリたちが
川に向かって横断しようとしていました。
細い道路は小さなカタツムリでいっぱいでした。

それを機に、めっきり
庭でも外でもカタツムリの姿が見られなくなりました。
逆に、ごくたまに
年に一度くらい見かけると珍しい!と思うように。

小学生のころ、傘をさして下校途中
アジサイの葉やの原っぱに
大きなカタツムリをよく見かけませんでしたか?

原因はわかりませんが
長い時間わたしたちが都合で環境に手を加えてきたせいか
と思えたり。

2~3年ぐらい前から、急に女性の間で
日常生活で使うものなどに関心が大きくなってきているのを
数字で知りました。

大きなカタツムリが庭にたくさん来てほしいなぁ・・
戻ってきてくれるように
ほんとうにささやかな事ですができるかな・・と
カタツムリを思い出す季節に。



※「波音」  銅版画・Dripoint





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新しい人

2021-01-26 | 版画


昨年読んで、深く感動した鶴見和子さんの南方熊楠に続いて
水俣・アニミズム・エコロジーを読んでいます。

読み進めるほどに、これはすごい内容だと
30代に石牟礼道子さんの本を読んだ時と同じように
また、印象はすこし違うのですが
ページを反芻しながら読んでいる感じです。

自然破壊は人の外側にあるような印象をなぜか受けるのですが
自然の人が破壊されながら
新しく刻々と創造されて独創的な人に変化していく、
その途上に無農薬栽培があったり
大江健三郎さんの「新しい人よ、目覚めよ」を述べてみえましたが
ブレイクのとても美しい象徴的な表紙ですよね。
自己の扉を新しい人が開けているようでした。

未曽有の経験を、ひとりひとりが創造的に乗り越える方法をみつける・・のは
いまのコロナ下での生活にとてもつながるように思えました。


※ 「戯れ」 銅版画





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