山茶花談

さざんかだん

ウイリアム・モリス

2018-07-30 | 日誌


先日美術館で、ウイリアム・モリスと英国の壁紙展を見て来ました。
大きな額に入った壁紙のデザイン画の中に
皮にエンボスをして銅や金が塗られた
細密画のレリーフのような重厚感のある
贅が尽くされた壁紙もありました。

わたしたちの生活で壁紙というと
機械でプリントされたものが思い浮かびますが
厚い木の版で、職人の手で一版一版刷られた壁紙は
家の中が宝石箱のようです。

昔、わたしの版画を買ってくださった方が
モリスの本を和訳(共訳)されていて
ギャラリーのオーナーがいただいたその本を
譲っていただいたことがありました。

一人の王子が、世界の果ての泉を求めて
途中女性と出会い、二人でその泉にたどり着き
泉の水を飲んだ二人は祖国の城に戻ります。


この世の果てに、不死の
永遠を求めて泉にたどりついた後
もとの生活に戻るところに惹かれました。
世界の果てで、人の自我の枠を超えてしまうと
なかなかもとの生活に戻りにくいようなのですが
苦労しながらもとの世界(国)に戻り
自分の生活を再び送る・・という最後が好きです。

モリスの植物画を見ていると
日本の千代紙や着物の小紋が浮かんできて
どの国の人も意匠が好きですね。



にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナショナルジオグラフィック

2018-07-16 | ペン画


先日、図書館で、ナショナルジオグラフィックを見かけて
懐かしくなって手に取りました。
昔勤めていた会社の本棚に、仕事の資料も兼ねて
毎月たくさんの雑誌がならんでいたのですが
その中にこの本もありました。
図書館のバックナンバーの中に、ジェーン・グドールさんの特集が入っていて
つい吸い込まれるように、彼女の写真に見入ってしまいました。

タンザニアのゴンベ国立公園で(当時はゴンベ・ストリーム猟銃保護区)
チンパンジーの研究をされている彼女の昔の写真は
初めて見たときに感じたのと変わらず
なにか独特の静逸感が写真の彼女から感じられて
心ひかれる人も多いような気がします。

以前テレビで短い時間、
ジェーン・グドールさんの対談インタビューを見て
彼女の出した声に衝撃を受けました。
写真のように静かで細く美しい女性が
スタジオ内でチンパンジーの鳴き声を出したとき、
スタジオ内に響き渡った
わたしたち人間が喉から出す叫び声でも、歌のようにお腹から出す声でもない
野生の動物がお腹の底から出す、森中に響き渡る叫び声。

雑誌を読んで、ナショナルジオグラフィックとの深い関わり、
ナショナルジオグラフィックが撮影した
彼女の研究と彼女の森での生活の撮影内容に
具体的な指示があったことや
放映された映像の説明に
事実と反する内容もあったことなどを知りました。


世間はそのつくられたイメージを抱いている限り
私の言うことに耳を傾けてくれる・・・・
そしてそのことがチンパンジーの保護をはじめ、
私がやりたいことを実現する上で役に立つと思った、
というグドールさんの言葉。

事実から離れて動いていく、人間の世界と
まず何より、チンパンジーの森での暮らしが保護されることと。

現在は野生の個体にさわるのは適切でないと記されていた
グドールさんがチンパンジーに触れ、
また、触れられている写真は
人の言葉が入れないような、静かな世界でした。


※ 「ゆりかご」 ペン




にほんブログ村 美術ブログ ペン画へ
にほんブログ村














  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする