2012年。
遂に、僕の愛する『らーめん和屋』が創業10周年を迎えることになりました!!
おめでとうございます!!!
10年ですよ!!!
創業当時から通っている僕としては、本当に嬉しいです。
浮き沈みの激しいこの業界で、10年続けられたというのは、本当に凄いことです。
思えば、この10年、本当に激動だったと思います。10年前の千葉ラーメン界は、今とは全然違いますからね。
それから、僕自身、ここで「ラーメン探究」の道が拓かれました。食べ歩きの原点は間違いなくこのお店でした。思えば、「和屋を超えるつけ麺に出会ってみたい」という思いで、食べ歩きを本格的に開始しました。それまでは、ただ大好きなお店にひたすら通うヘビーリピーターでした。千葉だと総豊、都内だとがんこ。それだけで満足していました。石神本を見て、たまに新しいお店にいって、感動できればそれでよかった、というか。
そして、2005年。ブログを始めて、ラーメン食べ歩きがますます本格化するようになりました。
でも、僕の原点は、総豊と和屋、それは変わらないし、またやはりこの二店は僕にとって欠かすことのできないお店でした。総豊は今はもうありませんが、市原で今も別名で活躍しています。和屋は、10年前と変わらず、今も営業しています。消えていくお店が多い中、僕に「初期衝動」を与えてくれた店主さんは、今も活躍し続けています。もう、それだけで嬉しいというかなんというか。(総豊→塞翁もすっかりご無沙汰ですが、、、)
その後、一度だけですが、ラーメン評論家の大崎さんをお誘いして、一緒に来たこともありましたねー。僕の担当講義でゲストティーチャーでお話頂いたこともありました。学生たちを連れて、何度もこのお店に行きました。僕にとって和屋は、原点というだけでなく、自分のラーメン人生の礎になっています。和屋があるから僕がある、と言っても過言じゃないです。今は(僕が引っ越したために)なかなか行けませんが、いつでも食べたいお店なんです。
いずれにしても、和屋は10年間、千葉のラーメン店として、活躍し続けているお店です。ホント、凄いと思います!
さて、メニュー。
10年前は、今ほどメニューは揃っていませんでしたね。徐々に増えていきました。
そして、まだ都内でも「濃厚魚介豚骨」がそれほど広まっていない時期に、「新味」として、濃厚な魚介+豚骨のラーメンとつけ麺を完成させました。でも、その辺にはびこる「またお前もか系」とは一線を画する味の魚とんで、定番ながら、どこにもない味のラーメン、つけ麺になっています。僕は、和屋のつけ麺を心底愛しています。今、食べても、十分に美味しいですから。
それに、当時としてはまだ珍しい「限定ラーメン」も、積極的に提供していました。魚(身)を使ったラーメン、貝を使ったラーメン、フルーツを使ったラーメン、いろんなラーメンを作っていました。今考えれば、本当に当時から斬新なことをやっていたんだなぁって思います。「先を行きすぎるお店」だったかもしれません。そのつどの限定麺は僕のブログの過去ログにありますので、よろしければ探してみてください。
そんな限定麺の中でひときわ目立っていた「ハマショー」こと、「浜汐ラーメン」=「地はまぐりの塩ラーメン」が、この11月~12月の限定で再び登場しています。和屋10年を記念するメモリアルな限定麺です!!
その当時、店主の伊藤さんが、「ハマショー(浜田省吾)が好きだから、浜汐ラーメン作っちゃいました」と笑って話していたことを思い出します。蛤のダシなんて、当時、想像さえできませんでした。貝を思いっきりヒューチャリングしたラーメンっていうのも、ほとんど聞いたことがありませんでした(ごく少数、やっているお店はありましたが・・・)。
ジャーン。
こちらが、千葉の地はまぐりを使った塩ラーメンです。見てください、このビジュアル。美しいですよね。和屋は昔から、味の追求のみならず、ヴィジュアル面でもこだわりをもったお店でした。何度もビックリさせられましたからね。
スープを飲んで、さらにビックリしました。蛤のダシがじわ~っと口の中に広がるんです。しかも下品じゃなくて、ほんのりと磯の香りがするスープというか。和屋自慢の魚介スープと蛤スープをブレンドしたスープになっていて、優しく、かつじわ~っと広がる美味しさのスープでした。海の中を泳いでいる気分になりました。品が良すぎて、今のラーメンに慣れた人には、ちょっと弱く感じられるかもしれませんが、蛤のダシを感じるなら、これくらいがいいと伊藤さんは断言していました。
いやー、こういう限定麺こそが、本当の限定麺なんだよなーって思いました。このラーメンは、一般の人というよりはむしろ、ラーメン店主さんに食べてもらいたい一杯ですね。美味しいかどうかは別として、伊藤さんはこのスープに自信をもっています。今風にアレンジすることもできるかもしれませんが、彼の中の「美味しい基準」に従ったあっさりラーメンになっています。
麺は意外にも結構な太麺で、このアンバランスさも面白いですね。
トッピングは蛤の他に、千葉を代表する菜の花。僕的には、もっとジャンクなトッピングが欲しい気がする。スープが淡白なので、トッピングで「満腹感」を引き出せたらもっといいなぁって思いました。その辺は、伊藤さんともいっぱい議論しました☆
いずれにしても、和屋らしい限定麺だったと思います。海を感じるラーメンでした!
***
でも、和屋に来たら、どうしても、、、、
僕が死ぬほど愛したつけ麺です。
ここのつけ麺は、魔力があるんです。吸い込まれるような美味しさ。
それこそ何百、何千というラーメンやつけ麺を食べてきましたが、ここのつけ麺ほどの「魔力」を感じるつけ麺はありませんでした。今日、今一度こちらのつけ麺を食べて、確信しましたね。間違いなくものすごいつけ麺なんだ、と。
濃度?粘度?で言えば、他店よりも濃厚ではないです。でも、味としてはどこよりもシャープで、キレがあって、甘みがあって、ひきつける力をもっていると僕は思います。このつけ麺も、やはりラーメン店主さんに食べてもらいたい、と思う一杯です。
このつけ麺、伊藤さんが心底美味しいと思うつけ麺なんです。つまり、店主さんが苦心して作り上げ、自分が心底美味しいと思うつけ麺を提供しているのです。今の若い店主さんは、そういう「強い思い」をもって、自分のラーメンやら、つけ麺やらを提供しているのでしょうか。それこそ、「他有化」されていないでしょうか。最近のお店では、すぐに店主さんに、「この味どうですか」、「どう変えたらいいと思いますか」、と聴かれます。お客さんの声を大事にするのは、聞こえはいいですが、違うんじゃないかな、と。自分が美味しいと思ったものを提供してこそ、プロでしょう。
万人に受ける味なんていうのは、所詮その程度だってことです。自分が美味しいと思うものは、食べる人によっては「ダメ」ってなると思います。自分を出す、ということは、他者に否定される、ということでもありますから。でも、そういう味であってこそ、個人店だと思うんですよね。個人店が万人受けを狙いすぎるというのは、やはり僕は受け入れがたいです。
このスープは、本当に媚薬的です。
ダメな人にはダメでしょう。でも、僕はこのスープに心底惚れています。
チャーシュー丼も、他店とは違います。黒豚を使ったやわやわのチャーシュー。これもまた、ダメな人にはダメでしょう。
でも、僕は、ここのチャーシュー丼に惹かれます。他にないチャーシュー丼ですからね。
餃子の味が変わったということで、餃子もいただきました。…が、餃子については何も語れないので(汗)。。。
カリカリっとした餃子ではなくて、しっとりとした餃子になっています。なんか変な名前の餃子でしたが、失念しました
和屋、10周年、本当におめでとうございます。
和屋の歩みは、僕の歩みでもあります。だから、僕の願いは、ずっと和屋が在り続けることです。今回じっくりと和屋の味に触れてみて、やっぱり凄いお店なんだなって思いました。考えれば、「先を行きすぎたお店」だと本当に思います。
千葉市のお店としては、元祖ニューウェイブ系の中堅店、と言えると思います。濃厚系のお店が跋扈する中、和屋はニューウェイブ系の王道をまっすぐ進んでいます。こういうお店のラーメン、つけ麺も、やはり食べておきたいものです。
ラーメンブームが過ぎ去っただけでなく、飲食業界全体が底冷えする中、和屋のような中堅店はますます厳しい状況に立たされているようにも思います。だからこそ、こういう千葉のラーメンムーブメントを牽引してきたお店をもっと大切にしたいですし、応援したいと思います。
っていうか、もう本能的に、応援しています。
和屋の味に触れていない人がいたら、あるいは、ご無沙汰している人がいましたら、是非和屋の味世界に触れてほしいと思います。
ハマショー、素敵過ぎです