世界には色々な音楽があり、また、世界には色々な形のロックがあります。
日本発の音楽である「VISUAL系」も、世界の様々なロックの影響を受けながら、ゆっくりと育ってきました。というより、世界のあらゆる音楽を貪欲に取り入れ、日本的な「泣き」の要素を取り入れたのが、VISUAL系だったのかな、とも思います。
今では、逆にVISUAL系に触発された世界のバンドも登場しつつあります。
が、それでも、まだ海外から学ぶべきロックのスタイル・サウンドはあります。というか、やはり、(古い考えかもしれませんが)海外のサウンドから触発を受けながら、自分たちのVISUAL系サウンドを新たに作る必要があります。
今の若いVISUAL系バンドのミュージシャンたちは、どれほど海外の音楽に触れているんでしょうかね(VISUAL系に限らず、ですが)。若いロックキッズたちに好きな音楽を聴くと、これが結構偏っていたりするわけです。ありきたりというか、定番というか、同時代的というか、そういう音楽しか聴いていない子たちが実に多いわけです。しかも、洋楽ロックではなく、邦楽ばっかり。
僕は洋楽かぶれでもなんでもないですが、洋楽は意識していつも聴くようにしています。日本にはないサウンドが確実にあるからです。
それは、僕が大好きなBUCK-TICKの今井寿さんの影響です。今井さんは常に最新の洋楽ロックを聴き、それを吸収しているお方だと思っています。LUNA SEAのSUGIZOさんも、相当の洋楽マニアですよね。洋楽かぶれになる必要はないけど、VISUAL系バンドをやるなら、洋楽は聴いた方がいい。これは、もう鉄則とも言えることだと思います。
で、「今」、聴かねばならない一枚がこのAMARANTHEというバンドの「アマランス」というアルバムです!(、と思います)。今のVISUAL系世界の住人たち全てにおススメしたいです。また、VISUAL系サウンドが好きな人にはホントおススメしたいです。
http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/amaranthe/index.html
このバンドは、スウェーデンのバンドで、ボーカル三人+楽器隊という不思議な編成。従来のバンド構成に縛られない自由な感じが素敵です。
まずは、聴いてみてもらいたいですね。このアルバムの一曲目のイケイケなナンバーです。
Amaranthe - Leave Everything Behind
イントロのギターリフがなんともVISUAL系ライクであります。
デスヴォイス、リードボーカル(男性)、リードボーカル(女性)が、うまく、バランスよく振り分けられています。そこが最大の魅力でしょうかね。バービーボーイズの比ではありません(苦笑)。
このバンドが他のシンフォニック系と違うのは、女性ボーカルがクラシカルじゃないところです。純粋にロックボーカリストとして、完成されているところが素晴らしいです。
01) Leave Everything Behind/リーヴ・エヴリシング・ビハンド
出だしのイントロ1からイントロ2に映る際の一瞬の間が最高に気持ちいいです(マニアック?!)。デスヴォイスもありますが、基本的にはとても聴きやすいポップなハードロックだと思います。サビなんかは、ちょっとボンジョビを感じる大陸的なハードロックのテイストを感じますね。サビ後のギターのピッキングがとっても素敵。控えめなツーバスも心地よいです。ヘヴィーロックとポップスが見事に調和されたサウンドです。
02) Hunger/ハンガー
このバンドは、シンセをかなり多用しています。そのフレーズはヨーロピアンな物悲しさをもっていて、ダークロックを愛する僕には気持ちいいんです。これは、もう、一度是非聴いてみてほしいです。
何気に、ドラムとかすごい激しいですからね。ダークでクールでヘヴィーなんですが、何気にドラムのパターンは超高速という。スピード感とヘヴィー感がうまく重なりあっていて、気持ちいいんです。本当に。歌メロは、80年代を感じさせながらも、イマドキのデスヴォイスが入っていて、新しさも感じられます。
03) 1.000.000 Lightyears/1,000,000ライトイヤーズ
こちらも、シンセの音が印象的なヘヴィーロックです。これもまた、ヨーロッパ人じゃないと出せないサウンドじゃないかなー。ヨーロッパのポップスとラウドロックがうまく重なりあっています。タイトルもすごい欧風チックだし。これもまた、YouTubeで聴けますので、是非☆
http://www.youtube.com/watch?v=_wHrxI5axoE
04) Automatic/オートマティック
どこぞのなんとかヒカルの曲を思いださせますが、全然別物です。いわゆる80年代ハードロックの影響が色濃く出ている一曲かな、と。サビの裏で鳴っているキーボードの音がたまらないです。ギターはゴリゴリなのに、Aメロは超ハードなのに、サビはホントキャッチーなんですよね。ホントうまいですよ。
05) My Transition/マイ・トランション
この曲こそ、VISUAL系バンドマンに聴いてもらいたい。自分たちの音作りに色々といかさせそうなポイントがいくつも入っていると思いますね。特にリズム隊には。そして、この何とも言えない絶妙なメロディー&ハーモニー。素晴らしいの一言ですよ。ホント。2分目くらいのところのサビのツーバスはやばくカッコいいです。リフはちょっと物足りないかなー。。。そこは残念。このバンド、ギターソロが結構短いっぽいんだけど、この曲では結構弾きまくっています☆
06) Amaranthine/アマランシン
ここに来て、ようやくバラード曲です。これもまた、非常にヨーロッパ的です。ボーカルさんの声がホントいいですねー。惚れましたわ。僕の好きなタイプの女性ボーカルです(ルックスじゃなくて、歌、声で)。エヴァネッセンスっぽさが結構出ているかなー。売れそうですわ。
07) All About Me/オール・アバウト・ミー
イントロのリフがめちゃめちゃカッコいい。で、Aメロのキーボードリフがとっても気持ちいいです。いやー、このバンド、このアルバムは外しませんねー。サウンドがポップなら、十分にヨーロッパのポップスで大成功しそうですね。それにしても、この曲のギターのリフがうねっていてカッコいいです。
08) Call out my Name/コール・アウト・マイ・ネーム
出だしのキーボードだけを聴くと、完璧にヨーロッパビート=ユーロビートですよ。それがAメロで急変して、ゴリゴリになります。で、Bメロは欧州ビートの定番的哀愁メロ(マイアヒみたい?!)。そして、サビで、はじけた16分の四つ打ちビートに変化します。この変容ぶりがたまりません。この曲は、超オススメです!!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16984313
(なに、このボーカロイドみたいな画像は…)
09) Enter the Maze/エンター・ザ・メイズ
これまた、シンセ炸裂のゴリゴリヘヴィーロックです。たたみかけますねー。。。 こちらは、かなりポップで、キャッチーかな。裏のドラムなんかはめちゃめちゃ激しいんですけどね。ギターはそれなりにポップ寄りかな。ギターソロのタ~ラララタ~ラララってところがカッコいいです☆
10) Director's Cut/デイレクターズ・カット
これもまた彼ららしいアンヴィバレントなサウンドになっています(が、ちょっとこの辺で、同じパターンだなぁ、と思い始めてきます、、、)
11) Act of Desperation/アクト・オブ・ディスパレーション
いよいよクライマックス。激しいイントロが印象的。壮大で、広がりのある激しい楽曲になっています。この曲のギターソロが一番いいかな、と。サビの緊張感も半端ないです!
12) Serendipity/セレンデイプティ
最後の最後に、こういう曲をもってくるか、とちょっと思いました。イントロのシンセが気持ちいいです。このバンドはとにかくシンセとギター、そして、デスヴォイスとメロディー、このコントラストが刺激的ですね。
ただ、途中で、「またこのパターンか?!」とも思わなくもないですね。もう少し音楽のバリエーションがあるといいかな、というのが率直なところです。
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