D'ERLANGERの新作が遂にリリースされました♪
D'ERLANGERですよ…。まさか、2015年にデランジェについて書くことになるとは、しかも、彼らの新作について語ることになるとは…。さらに、かつての名曲「DARLIN'」について書くことになるとは…
僕が中学生の時に、ZI:KILLと同じくらい無我夢中になったバンド。それこそ25年以上前の話になるわけで…。今でもはっきり覚えているのは、かつての雑誌「ロッキンf」で、D'ERLANGERの写真を見かけて、鳥肌が立って、震えあがったこと。当時のKyoとCIPHERのツーショットを見て、「なんだ、この人たちは?!」って思って、ひっくり返りました(苦笑)。多分、僕と同じような経験をしている人は多いと思われて。Dir en greyのメンバーも、CHPHER大好きだし、きっと同じ時代に同じライブハウスで、暴れてたんだろうなぁ、って。D'ERLANGERでバンドに憧れたっていう人は、本当に多い。それに、Kyoも、後の「ヴィジュアル系バンド」のモデルになった。Kyoは、実はV系の「お手本」。黒夢の清春も、Dirの京も、またメリーのガラも、Kyoの痕跡を見ることができた。
でも、彼らは、ZI:KILLほどじゃないにしても、実に「短命」だった。本当に短命だった。デビューアルバムを出して、シングルを出して、さぁ、いよいよっていう時に、突然の解散発表。打ち上げ花火の如くに、あっという間に消えていってしまった。その後、Kyoは、現ラルクのYukihiroと新バンドを結成して、かなりの成果を出し、その後のヴィジュアル系ブームを牽引する。TETSUも、すぐにYukihiroの後任としてZI:KILLに加入する(でも、その後すぐに脱退…)。CIPHERはしばらく沈黙した後に、ZI:KILLを脱退したTETSUとBODYというバンドを結成。でも、このBODYも、華々しく武道館デビューをしたものの、すぐに崩壊。BODYはかなりBOOWYを意識したバンドで、ちょっと何かが違えば、GLAY以上の人気を博していたかもしれない。本当に惜しまれる解散だった。あと、SEELAは、何気に実はすごいバンドをやっていて、あのLUNA SEAのSUGIZOの親友と言われる斎藤哲也(Tetsuya)とFIXというバンドを結成しています。FIXのデビューアルバム『Windows』(1995)は、本当に傑作で、今なお味わうように聴いているほどです。FIXを知らないヴィジュアル系マニアは真のマニアじゃないな、と(苦笑)。
…と語ればきりがないほどに、僕はD'ERLANGERを愛してて、D'ERLANGERのメンバーと(心理的に)共に生きてきました。今も、D'ERLANGERとZI:KILLは『神様』みたいなもので、僕の心の本当の支えになっているように思います。なんせ、25年以上の付き合いですからね(苦笑)。深淵で哲学的なZI:KILLと、いやらしくて狂気的なD'ERLANGER、自分のメンタリティーになっています(苦笑)
さて。
新作について、語ります。
その名も…
Spectaclar Nite-狂おしい夜について-
【全曲解説】
01. SEX ON THE CARPET
いきなりいやらしいタイトル(苦笑)。わずか37秒のSE的一曲。デランジェの作品の一曲目は決まってSE。現実世界とデランジェ世界をつなぐひとつの架け橋。元SOPHIAの都さんとCIPHERによる作品。もはやアートの世界。
02. 狂おしい夜について
そして、ガツンと一発!…っていうのではなく、これまたねっとりとした復活後のデランジェを彷彿とさせる大人のデカダントなロック。Darker than Darkness時代のBUCK-TICK並みにどよ~んとしています。でも、CIPHERのギターがクリアな音で、清涼感も若干あったり。でも、ガキ向けの清涼飲料水というよりは、大人向けのいやらしい清涼飲料水。最後のドラムのフレーズがすごくカッコいい。
03. Cherry
続けて、どこかねっとりとしたいやらしいイントロ… …かと思いきや、パンキッシュなAメロ~サビ。これまでの彼らのキャリアからすると、ちょっと珍しい曲かも?! デランジェ風パンクというか…。っていうか、まさにSadistical Pank…(苦笑)。Kyoのボーカリストとしての魅力がたっぷりつまった一曲と言っていいかも?! 歌詞は相変わらずのアレで…。とにかく、デランジェ風パンクロックを楽しむのみかな、と。なんか、新鮮だなぁ。
04. Dance with me
で、ちょっとメロウなロックンロール。今のデランジェっぽさ(復帰後のデランジェ)が存分に反映されている一曲。若干、「柘榴」に似てる気も…(汗)。オトナになったデランジェを堪能しましょう。そう、僕らファンも、すっかり大人になっちゃっているわけで…。でも、こういう曲ばっか聴いていると、「オトナの恋」がしたくなっちゃうぞ。かつての女性ファンは、きっとデランジェと(心理的な)不義の恋を楽しんでいることでしょう。男のファンは、どうすりゃいいんだ?! こう言ったらあれだけど、ちょっと「演歌っぽい曲」でもあって、日本人の情緒に訴えかけるV系的演歌ソングと捉えることもできるように思う。高齢化したファンにとっても、嬉しいライブ曲かな。
05. SWEET EMOTION
ここまでねっとりとしたデランジェだったけど、ここに来て、パワフル&ガツンとした一曲が登場。休ませてくれません…。ちょっとCRAZEっぽさを感じさせてくれる曲。ギターの音とベースの奏者が違うから、「似てる」とは言えないけど、曲の雰囲気としては、CRAZE時代を彷彿とさせる一曲になっています。出だしはLA VIE EN ROSE時代のデランジェっぽいけど。でも、全体的には、まさに「今」のデランジェそのもの。勢いもあって、激しいのに、どこかすごく落ち着いていて。最後のBaby it's alright~ってところが、僕的にはドキュンでした。
06. DARLIN'-2015-
そして、勢いそのままに、彼らのデビューシングルのリバイバルバージョン。アメリカLAでのレコーディングで作られた音。某サイトのインタビューで言われていたけど、テンポが若干落ちた以外は、ほぼ当時のままのアレンジになっています。このやり方はとても正しいと思います。原曲のアレンジがやっぱり一番なんですよね。色んなバンドが「かつての神曲」をリ・レコーディングして頑張っているんですけど、どれだけ技量が上がっても、原曲を超えないんですよね。単純に「技術」としては上達しているのに、それを聴いたリスナーにとっては、「原曲がよかった」、となる。この「仕組み」を理解したデランジェはやっぱり凄いなぁって思う。音楽って、単なる技術じゃないんだよな… もちろん、細かいところを聴けば、当時とは全然違うものになっているんだけど、それをあえて大幅に変えない「ストイックさ」に、僕は感動しました。
07. BABY
二曲飛ばした後は、これまたデランジェとしては結構珍しい、しっとりとしたメジャーなミディアムテンポの楽曲。一曲目から「おらおら~」って迫ってきて、ここに来て、優しい言葉をかけてくるってところがなんともいやらしい(苦笑)。コード的にも、デランジェっぽい王道さがあって気持ちよいです。基本、メジャーなんだけど、最後にマイナーコードで落とすところが、デランジェかな、と。この曲は、このアルバムでもっとも清涼感たっぷりの一曲です!
08. LULLABY-2015-
デランジェといえば、ララバイ。問答無用の彼らの「代表曲」。ファンのみんなは、もう「キャーキャー」じゃないかなぁ。エロくてやらしい曲ばっかりのデランジェの中で、最も「若々しい曲」。サビ前の「ハートをつかまえて」のところのアレンジが今回の聴きどころかな?! グルーブ感はかつてのララバイとは比べものにならないくらいにあって、キレも半端ない。あと、サビのハモりが半端なく気持ちよくなっている。DARLIN'以上に、今回のリバイバルの意義のある一曲になっていると思いました。
09. Candy In The Shape Of You -2015-(通常盤のみ収録)
(初回盤を買ってしまったので、この曲は聴けてません。通常盤も買うか…汗 うーん、、、)
10. Skelton Queen
何気に、かなり好きかも?! かなりっていうか、超好きかも?! 復活後のデランジェサウンドと言えばそうなんだけど、それだけじゃなくて、歌詞が(あんまり)いやらしくない…。ふと思ったんだけど、デランジェって、あんまり「別れ」や「孤独」ってテーマになってないなぁ…。どっちかというと、モテる男女の歌ばっかりのような…。まぁ、デランジェだからそれでいいんだけど…。(ただ、解釈によっては、夜の世界(夜の経済活動)の歌とも言えなくもなく、なんとも言えないかな…)。個人的には、こういうしっとりとしてるけど、ガツンとしているドラムが叩きたいなぁ、と。やっぱりTETSUのドラムは、僕の「お手本」なんです。最後のドラムがやっぱりカッコいい♪
11. CRAZY4YOU
そして、ラスト! LULLABYを彷彿とさせる、いや、LULLABY以上にキラキラとした一曲です。久々に、「これぞ、ラスト曲!」っていいたくなる、突き抜けた一曲です。これはもう、聴いてもらうしか… 既に、PVがYouTubeに公開されているので、そちらをご覧ください。僕的には、サビで、どこかDIE IN CRIESのKyoが浮かんできました。「愛し合おうよ」ってところとか。あと、Aメロの「純潔の月がふしだらに歌う」ってところが、The Slut BanksのFire upの「あでやかな連想を繰り返しおくれよ Lady」ってところと被って仕方ない(苦笑)。なにかと共通点の多いメンバーたちなので、被っても不思議ではないんだけど…。ここのメロディーはホント僕ら世代の「ツボ」かもしれないなぁ。
【総評】
復活後一作目(三枚目のアルバム)となる『LAZZARO』は、17年ぶりの復活とあって気合たっぷり、イケイケでキャッチーで突き抜けた一枚になっていました。そして、2008年~2009年、復活後二作目(四枚目のアルバム)と三作目(五枚目のアルバム)は、どちらというと「今のデランジェ」を構築するために、色々と試した作品となっていました。その後、しばらく沈黙し、昨年、重量感たっぷりの『♯Sixx』をリリースしました。復活後のデランジェをある意味で総括する作品となっていて、唯一無二のデランジェサウンドを本当の意味で確立したことを示すアルバムになっていました。ゆえに、この作品そのものをライブで再現し、それをライブアルバムとしてもリリースしました。
ある意味で、復活後のデランジェに一区切りがついたんだと思います。本作『Spectaclar Nite』は、肩の力を抜いたメンバーが、僕らファンのことを考えて作った「プレゼント」のような一枚になっているように僕は思いました。だから、すごくキャッチーだし、聴いていて楽しくなるし、元気になる。もともとそんなに深いことを考えないで聴いて楽しめるバンドではあるけど、さらに聴いていて気持ちよくなるアルバムになっています。とにかく、「気持ちよい」というのが、このアルバム全体の印象になっています。この気持ちよさは、LAZZARO以来かな、と(苦笑)。LAZZAROももう8年前のアルバムなんですよね…(怖い)。あっという間に時間が流れ過ぎていることを感じずにはいられない…。
いずれにしても、古巣のファンも、また今の時代を生きる若いリスナー(新規ファン)も、どちらも喜べる作品になっているんじゃないかな? もちろん25年以上のキャリアを誇るベテランのロックミュージシャンです。紆余曲折という点では、どのバンドよりも苦労しているバンドだし、少し何かが違えば、日本を代表するスーパーバンドになっていたはずのバンド。けど、「売れること」だけがすべてじゃない、ということも教えてくれるバンド。そして、なんといっても、「技術」と「感性」が見事に一体となったバンド。巧いだけでも、感性だけでもない。もしかしたら、どちらでもないのかも。「世界観の構築」に徹底的にこだわったバンド?! そういう意味では、「アーチスト」なんだろうな、と。彼らは、決して「プロの職業ミュージシャン」にはなれないだろう、というか。誰でもない誰かではなく、かけがえのない「俺」が四人集まったバンド。
音楽シーンがますます枯渇する中、デランジェには、この世界の後輩たちに「カツ」を入れる役割も背負わされている。「おめーら、何やってんだよ!」って。「音楽って、ロックって、そんなんじゃねーだろ?!」っていう。「器用でずる賢い人間じゃダメなんだよ」、って。
僕もこれからも愚直に、信念をもって、我が道を徹底的に突き進んでいきたいなぁって思った。で、やっぱり「世界観」を大事にして。「頭」だけでもダメだし、「感情」だけでもダメで。こだわるところはこだわって。
いつになっても、デランジェは僕の羅針盤なんですね。
I LOVE D'ERLANGER FOREVER!