一昨年あたりから、空前の『家系ラーメンブーム』が続いています。
僕の住んでいる千葉は、もう過去にない程の「家系ブーム」になっています。
今回の家系ラーメンブームの火付け役(仕掛け人)が、千葉の柏王道家の清水さんなので、もうちょっと身を引いてしまうくらいに「家系ラーメン店」が怒涛の勢いで増殖していっています。
もともと千葉には、「末広家」「千葉家」「武蔵家」「杉田家」と、本格的な家系ラーメンのお店があって、どのお店もず~っと人気のお店でした。
特に末広家と千葉家は、千葉の家系ラーメンのレジェンド店になっているし、杉田家は、もう本家そのものですし、今回のブームの前から、すごく愛されているラーメンだったんです(そこが東京都や埼玉との大きな違い?!)。
また、もともと千葉のラーメン界を牽引してきたのが、家系大好きを公言している山路力也さんだったということもあり、2000年頃から、家系ラーメンの店主さんが雑誌やメディア(千葉テレビ!)とかに出ていたこともあって、20年前のラーメンブームの只中で「家系ラーメン店」は最も輝く存在でした。
…
あれから20年。
この数年で、千葉に限らず、ものすごい勢いで、家系ラーメン店が増えています。
まさに、「家系ラーメン革命」。
しかも、これまで幅をきかせてきた「亜流系」「なんちゃって系」「モノマネ・パクリ系」ではなく、ちゃんとしっかりとした「おいしい家系ラーメン」のお店が増えてきたんです。
清水さん自身、「ニセモノをすべてぶっ潰す」という意気込みでやっているので、亜流系やパクリ系やなんちゃって系の勢いはかなり弱まったんじゃないかな?って思っています。
ただ、その一方で、本流系の家系ラーメン店自体も乱立するようになってしまいました。
(横浜家系ラーメンの定義は、僕の中では、「(公認・非公認問わず)吉村家の流れを汲みつつ、圧倒的に美味しい<あの>豚骨醤油ラーメン」としています。言葉では定義不可能で、スープを飲んで、身体でホンモノとニセモノを区別するしかないかな、っていうのが、今の僕の答えです。家系といえば、「あのスープの味」なんです。
今回のブームでは、これまで「本物だ」と思ってきたような「あの味」のラーメンを出すお店が一気に増えたわけです。全国津々浦々に、そういう本物の(むちゃくちゃおいしい)家系ラーメンを出すお店がホント増えたんです。
…
では、、、
今、家系ラーメンのお店を開業するのは、得策と言えるのでしょうか?!
これが、今回のこの記事の中心テーマです。
まず、言えることは、、、
今、家系ラーメンのお店を出せば、ほぼほぼ儲かることでしょう。
ブームですからね👆
でも、ふと思ったんです。
「今のこの時代、家系ラーメンをやるのは、とってもしんどいな…」って。
「この大ブームの最中、家系ラーメンのお店をやっても、目立てないんじゃないかな?」って。
ブームは必ず終わるから、というのとは別の意味で、今、家系ラーメンをやるのは、結構辛いんじゃないかな、って思ったので、この記事を書いてみたくなりました。
…
このことを、ヴィジュアル系の世界と比較しながら、考えていきましょう。
まず、吉村家。
吉村家は、ヴィジュアル系界で言えば、もう紛れもなく「X JAPAN」でしょう。V系界のレジェンドバンドです。
X JAPANなくして、ヴィジュアル系がないように、、、
吉村家なくしては、家系ラーメンはありません。
なので、吉村家に睨まれたり、嫌われたりしたら、大変だし、面倒くさそうです。また、その関係者や関係団体も多くて、X JAPANさながらの規模を誇っているように思います。だから、とても気をつかいます。(かつてのエクスタシーレコードもイケイケでしたからね…)
…
そこに、杉田家や本牧家などが続きます。
この二つは、ヴィジュアル系で言えば、GLAYとLA'rc~en~cielかな、と。。。
大ヒットして、大ブームを引き起こした実力派のバンド&ラーメン店。
この二店舗で修業して独立していった人も多数いると思うし、直系店もあったりします。
この杉田家や本牧家を超えるのは、極めて難しい、というか、無理だと思います。そう、今のヴィジュアル系バンドマンがGLAYやラルクになろうと思っても無理、、、って。
…
そして、柏王道家。
この柏王道家は、DIR EN GREYって言っていいと思います(苦笑)。
これまでの伝統を踏まえつつも、全く新しい客層のゲットを実現しました。
もともとのDIR EN GREYは、COLORのトミーちゃんやX JAPANのリーダーのYOSHIKIのサポートや支援を受けていたバンドで、まさに当時の吉村家直系の柏王道家そのものと言ってよかったと思います。
吉村さんも、清水さんのことをとてもよくかわいがっていることが分かるインタビューも残っていたりもします。
でも、清水さんは、己の道を築く道を選びました。
そして、守破離でいうところの「離」の道を歩むことになりました。
吉村さんから離れた清水さんは、もうその存在の仕方としては、かつての吉村さんそのもの。いや、吉村さん以上に魅力的な「頑固なラーメン店主」のカリスマとして、ネット界全体で有名になっていきます。
かつて、ヴィジュアル系界の貴公子たちだったDIR EN GREYもまた、00年代頃に、ヴィジュアル系の世界から離れ、そして、己の道を歩み、唯一無二のモンスターバンドになっていきました。
清水さんは、その後どんどん「弟子」を増やしていき、次から次に「王道家のあの味」を出せるお店を開業していきました。都内にも進出しています。全国津々浦々に、清水さんをリスペクトする家系ラーメンのお店が誕生しつつあるんです。
…
そんな中で、新たに「家系ラーメン」で勝負することに、今メリットはあるのか?
もう、これだけ大きな勢力になって、スターもいっぱい誕生している今、「家系ラーメンの代表的存在」になるのは、恐ろしく難しいと思うんです。
吉村さんや清水さんのような立ち位置に立つことも難しいし、また、他の優れた(ホントに頑張っている)家系ラーメンのお店を超えるのも難しいし、また、常にそういう凄いお店と比較され続けるのも辛いです…。
どんなに頑張っても、お客さんからすれば、「家系ラーメンだ~」だし、常に先輩たちと比べられるし、「○○家の方がうまい」ってネットで書かれるし、ちょっと調子にのれば、「○○家は調子にのっている」と叩かれるし、結局は、「吉村家が元祖だからね」で終わってしまう。
もちろん、「それでいいっす」っていう人は、家系ラーメン店を新たに始めてもいいと思います。
が、「ラーメン業界で輝きたいんだ❕」っていう人は、家系ラーメンから始めない方がいいんじゃないかな?って思うんですね。
言い方はあれですけど、今、家系ラーメンをやっても、時代を創ることも、時代を動かすこともできません。家系ラーメン(あの味)を出せれば、売れるだろうし、喰ってもいけますが、ラーメン業界で注目されることも、台風の目になることもないと思います。
それって、同じことがヴィジュアル系界にも言えて…。
今、ヴィジュアル系をやっても、結局レジェンドたちにはなれないんです。だから、ちゃんと心あるバンドマンたちは、ヴィジュアル系じゃない世界に行って、そこで成果を上げて、人気バンドになっているわけですね👆
レジェンドが多すぎる業界だと、その先、その未来がなかなか創れないんです。
…
というわけで、、、
これからラーメン屋さんを始めようかなっていう人向けに、書いてみました。
僕個人的には、「家系だけはやめておいて…」って言いたくなりますね💦。
あまりにも過酷過ぎる世界だから。そして、あまりにも有名なレジェンド店主が居すぎるから。
お客さんの目も厳し過ぎるくらいに厳しいし、気を抜く暇もなさそうだし、油断すれば、あっという間に攻撃対象になりそうだし、ず~っと常にどこかの○○家と比較され続けるわけだし、、、
なんか、楽しくないだろうなぁって、、、、(人にもよりますが・・・)
それより、もっと違った未来型のラーメンを創造する努力をしてみては?、と思うのです。
家系ラーメンはきっとこれからも「伝統芸能」のように生き残っていくと思います。おそらく、白い服を着て、白いハチマキ(タオル)を巻いて、いかつい声で「ぅらっしゃいせぇぇぇ~」って叫ぶような店主さんもずっと居続けると思います。それはそれでよいとして、、、
これからの時代を創る新たなラーメン店主さん(あるいは、そういう未来型のラーメン店主さんに憧れている若手さん)は、家系ラーメンには手を出さず、また、家系ラーメンを否定して、新たなラーメンの味を探求してほしいなぁって思うんですね。
世の中、家系ラーメンじゃないラーメンって、いっぱいありますからね。ホントに。
ラーメンって、全国・全世界にい~っぱい色んなお店があって、色んな味のラーメンが数えきれないくらいにあるんです。家系ラーメンとは全然違うけど、同じくらい魅力的な「豚骨醤油ラーメン」だって、全国にいっぱいあります。(和歌山にも、岡山にも、徳島にも、広島にも、他にも色々!)
なんか、心配になるのは、「家系ラーメン」しか知らないで、ラーメン屋さんになろうとしてしまう人、ですね。家系ラーメンでラーメンに目覚めることは良いことだと思います。家系ラーメンを食べて、ラーメンに開眼した人はい~っぱいいます。けれど、ラーメンに目覚めた後、やっぱりやっぱり、「食べ歩き」をして、家系ラーメンを相対化してほしい。
相対化するというのは、「家系ラーメン」を絶対視しないということ、「家系ラーメン」がすべてだと思わなくなること、「家系ラーメン」以外にも素敵なラーメンがいっぱいあることに気づくこと、などです。
そうでない人が、家系ラーメンだけしか作れないまま、家系ラーメンをやることが、やっぱり一番怖いことだろうなって思うんです。(何らかの理由で「あの味」を作れなくなった時に、それとは違う味のラーメンを作ることができない、っていう弱さというか)
これもまた、かつてのヴィジュアル系界隈で言われていたことです。「ヴィジュアル系の音楽しか聴いてない」といっぱい批判されたものでした。僕は、ヴィジュアル系以外の音楽をもともとガンガン聞いていたので、あまり言われませんでしたが、まわりのV系バンドマンたちは、かなり色々言われてましたね(苦笑)。
…
芹沢さんは、「家系をやればいい」と語っています。
僕は、そうは思いません。
今は、「家系ラーメンだけはやめておいて」と語りたいです。
特に将来有望な若きラーメン店主希望者には、「どうか…」、と。
どっちがいいかは分かりません。もしかしたら、吉村さんや清水さんを圧倒的に超えるカリスマ的存在(あるいは時代の開拓者)になれるかもしれません。その可能性はゼロではないでしょうからね。
ただ、ヴィジュアル系界では、やっぱりX JAPANやGLAYやラルクやディルを超えるバンドは、その後、出てきていません。どんなに頑張っても、時代の先駆者たちを超えるのはとてつもなく難しいんですね。
さぁ、どうなる家系ラーメン?!?!
…
こんな本もあるんだ、、、
これも本なのか?!?!
僕のラーメン教育哲学の本です(苦笑) 若い人に読んでもらいたいなぁ…😂