Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

フリーズする現代の若者たち

最近の若者たちに接していて、強く思うことがある。

何かピンチなことがあると、最近の若者たちは、フリーズしてしまう、ということだ。

freeze=氷結、凍結。

コンピュータ界では、「プログラムの作動がピタッと止まってしまうこと」。


僕は、講義中に、私語やふざけた態度をしていると、「出ていって」、と言う。

最近は、怒らずに、にこやかに、「そこの君、しゃべってるなら出て行っていいよ。カフェテリアでしゃべってきな」、と言う。

数年前だと、明らかに不満な顔をして抵抗を示す若者や、本当に出ていく若者が結構いた。

ところが、最近は、注意をすると、「無表情」になって、「フリーズ」してしまう学生が多い。

「出て行ってよ」、と再度言っても、「無表情」になり、うんともすんとも言わなくなる。

文字通り、動きがピタッと止まって、人形みたいになってしまうのだ。

この前も、ひそひそとしゃべっていた学生を注意したんだけど、同じだった。

「ねえ、僕の声、聴こえてる?」、と声をかけても、一切何も答えない。フリーズしているから。


僕は、教員や保育士の養成系の教員(しかも実習も担当)なので、「実習」から逃げられない。

実習では、「外部の機関」との交渉が多くなるので、トラブルを引き起こす学生も毎年いる。

トラブルが起こると、まずは、僕や他の教員に連絡するようになっているんだけど、、、

昔の学生は、ちょっとしたトラブルでも、電話をかけてきて、「先生、どうしましょう!?」と言ってきた。

「おいおい、そんなことで、いちいち電話してくんなよー」、と思いつつも、対応していた。

ところが、今の学生は、逆に、大きなトラブルであっても、連絡してこないのだ。

で、こちらから電話をすると、「すみません。どうしていいか分からなかったので、何もしませんでした」、と。

「トラブルなんだから、ちゃんと連絡してよね」、と言うと、「そうですか…」、と。

「どうしていいか分からなかったので、困っていました」、とも。

いや、困るのはいいけど、自分から、トラブル解決のために動こうよ、と。

そう言っても、ピンと来ないご様子で、、、


こんな感じで、イマドキの若者は、何か問題やトラブルがあると、フリーズしてしまうのだ。

これは、ある意味で、新鮮な驚きだった。

身体的な抵抗もしないし、言語的な抵抗もしない

ただ、フリーズして、事が治まるのを待っている。

「問題解決能力」的に言うと、全くのゼロ状態。

(ある意味では、究極の問題解決方法かもしれないけど・・・)

きっと、若者を叱ることの多い人なら、共感してくれると思う。

「イマドキの若者に、どう叱ればいいのか」、と。

言い訳もしない、抵抗もしない、弁明もしないし、泣きつきもしない。

ただただフリーズする。

このフリーズがうまくいかないと、別の仕方で、別の症状を引き起こす場合もある。

そのひとつの現れが、「過呼吸」や「パニック障害」という言葉ではないか、と推測する。

僕らの若い頃には、こんな言葉は「日常語」ではなかった。(「ヒステリー」という言葉はあった)

フリーズという言葉にならっていえば、「バグ」、か。

最近は、「こうした過呼吸やパニック障害が怖くて、怒れない」、という大人の話も聞く。

もちろん、過呼吸やパニック障害が悪いという意味ではありません。悪しからず

現代の若者は、抵抗や拒絶や号泣といったエモーショナルな対応を好まない。

そうではなく、フリーズ、ないしは、バグという対応を選択する。

これを、僕ら大人はどう考え、どう対応していけばよいのか。

新しい課題を突き付けられているように思えてならない。


スマホやPCに依存する現代社会。

その影響は、多分にあるんだと思う。

フリーズもバグも、ネット社会ならではの言語表現である。

リアルな現実での生々しい人間の触れ合いよりも、デジタルな世界での無機的な関係の方が身近な時代。

ますますface to faceの付き合いが苦手になってきているようにも思う。

僕もまた、ネット依存体質の人間だけど、リアルな現実での人間関係には不自由していない。

でも、それは僕が、イマドキの若者ではないからだろう。。。

今の若者たちは、これからどうやって生きていくのだろうか、と思うと、心配になる。

これからもフリーズしてしまうのだろうか?!

困ったことや問題が生じた時に、いったいどうするんだろうか?!

バグってしまうのだろうか?!

話を聞く限り、本人たちも困っている感じはする(切迫感はないけど)。

せめて、問題が起こった時は、フリーズせずに、言葉でしっかりと説明できるようにしてもらいたい。

言葉をもつ人間であってほしい。

せめて、慌てたり、戸惑ったりして、人に頼ってもらいたい。

「他力」は、高度な意味ではいい概念だけど、それは「自力」で頑張り抜いた人間がなんとか辿りつく境地。

まずは、(若者であれば)「自力」で、やれるところまではやってほしい。動いてほしい。叫んでほしい。

どうにもならないというところまでは、自力で突き進んでほしい。

このままだと、本当に、人間がロボットになっちゃうぞ、、、、と。

そんな危機感を最近抱いています。

 

フリーズするな!

Do not freeze!

行動せよ!!

Just Do It!!

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