最近の若者たちに接していて、強く思うことがある。
何かピンチなことがあると、最近の若者たちは、フリーズしてしまう、ということだ。
freeze=氷結、凍結。
コンピュータ界では、「プログラムの作動がピタッと止まってしまうこと」。
僕は、講義中に、私語やふざけた態度をしていると、「出ていって」、と言う。
最近は、怒らずに、にこやかに、「そこの君、しゃべってるなら出て行っていいよ。カフェテリアでしゃべってきな」、と言う。
数年前だと、明らかに不満な顔をして抵抗を示す若者や、本当に出ていく若者が結構いた。
ところが、最近は、注意をすると、「無表情」になって、「フリーズ」してしまう学生が多い。
「出て行ってよ」、と再度言っても、「無表情」になり、うんともすんとも言わなくなる。
文字通り、動きがピタッと止まって、人形みたいになってしまうのだ。
この前も、ひそひそとしゃべっていた学生を注意したんだけど、同じだった。
「ねえ、僕の声、聴こえてる?」、と声をかけても、一切何も答えない。フリーズしているから。
僕は、教員や保育士の養成系の教員(しかも実習も担当)なので、「実習」から逃げられない。
実習では、「外部の機関」との交渉が多くなるので、トラブルを引き起こす学生も毎年いる。
トラブルが起こると、まずは、僕や他の教員に連絡するようになっているんだけど、、、
昔の学生は、ちょっとしたトラブルでも、電話をかけてきて、「先生、どうしましょう!?」と言ってきた。
「おいおい、そんなことで、いちいち電話してくんなよー」、と思いつつも、対応していた。
ところが、今の学生は、逆に、大きなトラブルであっても、連絡してこないのだ。
で、こちらから電話をすると、「すみません。どうしていいか分からなかったので、何もしませんでした」、と。
「トラブルなんだから、ちゃんと連絡してよね」、と言うと、「そうですか…」、と。
「どうしていいか分からなかったので、困っていました」、とも。
いや、困るのはいいけど、自分から、トラブル解決のために動こうよ、と。
そう言っても、ピンと来ないご様子で、、、
こんな感じで、イマドキの若者は、何か問題やトラブルがあると、フリーズしてしまうのだ。
これは、ある意味で、新鮮な驚きだった。
身体的な抵抗もしないし、言語的な抵抗もしない。
ただ、フリーズして、事が治まるのを待っている。
「問題解決能力」的に言うと、全くのゼロ状態。
(ある意味では、究極の問題解決方法かもしれないけど・・・)
きっと、若者を叱ることの多い人なら、共感してくれると思う。
「イマドキの若者に、どう叱ればいいのか」、と。
言い訳もしない、抵抗もしない、弁明もしないし、泣きつきもしない。
ただただフリーズする。
このフリーズがうまくいかないと、別の仕方で、別の症状を引き起こす場合もある。
そのひとつの現れが、「過呼吸」や「パニック障害」という言葉ではないか、と推測する。
僕らの若い頃には、こんな言葉は「日常語」ではなかった。(「ヒステリー」という言葉はあった)
フリーズという言葉にならっていえば、「バグ」、か。
最近は、「こうした過呼吸やパニック障害が怖くて、怒れない」、という大人の話も聞く。
(もちろん、過呼吸やパニック障害が悪いという意味ではありません。悪しからず)
現代の若者は、抵抗や拒絶や号泣といったエモーショナルな対応を好まない。
そうではなく、フリーズ、ないしは、バグという対応を選択する。
これを、僕ら大人はどう考え、どう対応していけばよいのか。
新しい課題を突き付けられているように思えてならない。
スマホやPCに依存する現代社会。
その影響は、多分にあるんだと思う。
フリーズもバグも、ネット社会ならではの言語表現である。
リアルな現実での生々しい人間の触れ合いよりも、デジタルな世界での無機的な関係の方が身近な時代。
ますますface to faceの付き合いが苦手になってきているようにも思う。
僕もまた、ネット依存体質の人間だけど、リアルな現実での人間関係には不自由していない。
でも、それは僕が、イマドキの若者ではないからだろう。。。
今の若者たちは、これからどうやって生きていくのだろうか、と思うと、心配になる。
これからもフリーズしてしまうのだろうか?!
困ったことや問題が生じた時に、いったいどうするんだろうか?!
バグってしまうのだろうか?!
話を聞く限り、本人たちも困っている感じはする(切迫感はないけど)。
せめて、問題が起こった時は、フリーズせずに、言葉でしっかりと説明できるようにしてもらいたい。
言葉をもつ人間であってほしい。
せめて、慌てたり、戸惑ったりして、人に頼ってもらいたい。
「他力」は、高度な意味ではいい概念だけど、それは「自力」で頑張り抜いた人間がなんとか辿りつく境地。
まずは、(若者であれば)「自力」で、やれるところまではやってほしい。動いてほしい。叫んでほしい。
どうにもならないというところまでは、自力で突き進んでほしい。
このままだと、本当に、人間がロボットになっちゃうぞ、、、、と。
そんな危機感を最近抱いています。
フリーズするな!
Do not freeze!
行動せよ!!
Just Do It!!