この写真を見て、僕がどこにいるか分かる人は、かなりの「通」の人かな。
僕がとても好きな場所なんです。
丘の上に立つ教会。
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4年ぶりに、熊本にやってきました。
あれから4年が過ぎたんだ、、、
BABY BOXの国際会議から…。
その後、コロナ・パンデミックが発生して、ずっと行けなくて…。
その間に、蓮田太二先生が他界されて…。
自分にとっての「師」であり、「パートナー」であり、「同志」であり…。
今回は、僕的には太二先生にお別れを言いたくてやってきたつもりです。
この本を出せたことは、僕の人生の最大の成果だと思っています。
日本初の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を作った太二先生と僕の共著です。
この本を完成させるために、何度、熊本にきたことか…。
太二先生にもうお会いできないのか…と思うと、やっぱりとても寂しい気持ちになります。
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今回の熊本訪問は、一つ「講演」をするためでもありました。
講演…というよりは、「内密出産の原理」を語る場を設けてもらったって感じかな。
2022年になって、本格的に動き始めた内密出産。
ドイツ語では、「Vertrauliche Geburt」と表記される法的に認められ得る出産方法のこと。
この内密出産の基礎・基本を、熊本で日々この問題に向き合う記者や支援員さんたちの前で話す、というのが、今回の僕のミッション。
ここではその内容には触れませんが、90分の講話と1時間に及ぶ記者さんたちとのやり取り。
すごく刺激的な時間になりました。
今回は、人数をぐっと絞って、そして、丁寧な議論をすることができました。
講演用のレジュメは、1万字くらいの生原稿になっていました。
僕の内密出産の(現時点での)原理的な内容の「資料編」って感じで…。
聴きに来てくださったみなさんに、ドイツの内密出産のことを分かってもらえたら、嬉しいな、と。
内密出産は、「キリスト教に基づく救済事業」に留まるものではなく、「近代的理性」(ないしはその理性に対する反理性)による人道的支援の挑戦だ、と。
そして、この内密出産を制度的に認めさせるためには、政治的文脈での議論がどうしても必要となる、と。
簡単にシンプルな形式で言えば、「現与党レジーム」では、内密出産の立法化は困難である、と。
そして最後に、この数年で議論されつつある「内密出産の問題点」について解説しました。
この話は、各新聞やテレビで報じられるとか、報じられないとか…。
報じられてました(苦笑)
今回もまた、「こうのとりのゆりかご」にも訪れました。
ここは、やっぱり僕の原点。
ドイツ・ハンブルクのゲーテ通り幼稚園のBabyklappeとここは、僕にとっての原点の場所。
太二先生が築いた「匿名での母子支援」の源流となる場所。
ここに来ると、自分の心と頭がリセットされる気分になります。
ここに来る「お母さん」こそ、僕がずっと見つめ続けてきた人間存在。
ここに「藁をもすがる思い」でたどり着いた女性たち。
その女性たちの気持ちを一番に考えて、そして、どうすればよいかを一緒に考える。
それこそが、この問題の始まりであり、終わりであるんだろうな、と。
そう強く思います。
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赤ちゃんの遺棄も殺害も虐待もなくなっていない。
絶望的な状況下にいる妊婦さんもホントにたくさんいる。
未来しかない赤ちゃんとそのお母さんのことをもっとしっかり考えないと。
彼女たちが「声」を上げられない状況にいる中、誰かが叫ばないと。
赤ちゃんにもお母さんにも冷たい社会を、人は「先進国」とは呼ばない。
そのことをもっと強く意識していきたいな、と。