シュトゥットガルトでラーメンが食べられるお店を探していたら、まだありました。
創業25年というシュトゥットガルトの老舗和食専門店「喜長」です。このお店は、いわゆるポストモダン型のお店ではなく、グローバル化される前の「伝統」を保持する日本レストランです。それこそ、僕が98年にドイツに留学していた時にも、営業していたわけで、20世紀型の和食店となります。00年以降のグローバル化によるJAPAN POP CULTUREの浸透以前、SUSHIブーム以前のお店です。
http://www.kicho.de/soup_jp.html
このお店は、シュトゥットガルト中央駅からUバーンで三つほど行った場所にあります。中心から少し離れる位置になります。もちろん建物ばかりの立地ですが、ツアーリスト向けではなく、現地に住む日本人やドイツ人たち向けのお店と言えるでしょう。事実、このお店のお客さんのほとんどがドイツ人でした。それくらい、地元に浸透している「和食店」なのです。
このお店は、言いきっていいかどうかは分かりませんが、「高級レストラン」です。本格的な極東の小国の本格レストラン。ゆえに、価格もわりと高めに設定されています。今は、それこそ10ユーロ未満(1000円未満)のジャンクでカジュアルな日本レストランも増えましたが、90年代以前の日本レストランはだいたいどこも高額なレストランばかりだったと思います。
ラーメンも、なので、一杯1200円台。それこそラーメン専門店ならあり得ない価格設定です。が、海外の日本レストランでラーメンを食べようと思えば、昔はこれくらい当たり前だったと思います。時代が変わったわけです。
さて、ラーメン。お昼に引き続き、あっさりとした和風の醤油ラーメンでした。わかめがたっぷりの甘みのある醤油ベースのラーメンでした。本当にあっさりしています。ドイツで食べたどのラーメンよりも甘いです。イメージ的には、駅の構内のラーメンという感じかな。魚介の味がふわ~っとするような和風ラーメンではなく、庶民的でかつての食堂のラーメンという感じかな。きっと、長年こちらに暮らしている人のために存在しているラーメンなんだろうな、と。こういうラーメンが食べたい、というようなお味でした。
先鋭さや斬新さはありません。でも、それはこのお店では求められていません。そうではなく、遠く祖国から離れた異国の地で、どうしてもラーメンが食べたいと思うこちらの人、あるいは、日本の料理としてのラーメンを知るきっかけとなる現地のドイツ人のために存在するラーメンなんですね。こういうラーメンもまた、ラーメンであるし、こういうお店で、ラーメンが出されていることに喜びを覚えるとともに、「ありがとうございます」と言いたい気分になります。日本レストランでラーメンを出すお店は、まだまだ決して多いとは言えません。でも、日本料理店が出すべきものなのかも分かりません。ここに、(日本の)ラーメンという存在の両義性、つまり、伝統的な中華料理でもなく、伝統的な日本料理でもない、という「出生不在性」が示されているように思いました。
いずれにしても、ラーメンを提供していることに、心から感謝したくなりました。ホント、こっちの和食店、日本レストランでは、まだまだラーメンが提供されていませんから。当然、まだまだまだまだラーメン専門店は稀有中の稀有な存在です。
それから、から揚げも♪
から揚げって、やはりわれわれ日本人にはなくてはならない必須の食べ物ですね。それを強く実感しました。から揚げなくして、日本人なし!っていうくらいに。から揚げは、われわれ日本人の「心」です。