昨日、突然の知らせがありました。
その知らせは、千葉寺にある人気ラーメン店『和屋』の店主の伊藤さんからでした。
「和屋はあと二日で閉店します。長い間、ありがとうございました」、というものでした。
正直に言うと、「あ、いよいよか…」、と直感的に思いました。薄らとした予感みたいなものはありました。
でも、いざ、「閉店」という言葉を聞くと、胸が痛みます。
思えば、2002年以来、和屋のラーメン・つけ麺と出会ってから、本格的な「食べ歩き」を開始しました。同じく自分の原点となる『総豊』に通っていた頃は、外のラーメンにはほとんど関心がなく、ただ総豊のラーメンが大好きでした。和屋は、そうではなくて、僕の目を『外』に向けさせてくれました。店主の伊藤さんとも「呼吸」が合うせいか、ことある毎に、いろんな話を聴かせてもらいました。
以来11年、ずっと和屋のラーメン・つけ麺を食べ続けてきました。2006年に地元を離れ、引越しをしたので、なかなか食べに来る機会は増えませんでしたが、それでも、年に数回、必ず食べに行っていました。
思えば、かつて勤務校のとある講義に来てもらい、「創作ラーメンと創造性」というテーマでお話もしてもらいました。和屋は、創作ラーメンのある種の先駆者でもありました。「どのようにして、創作ラーメンが生み出されるのか」ということについても、お話してくれました。今でもその内容は頭の中に入っています。
学生たちとも何度も何度も行きました。僕が専任になってからの数年は、本当によく学生たちとラーメンを食べに行っていました。バスや電車、またあるときは蘇我からみんなで歩いて和屋に行ったりもしました。懐かしいなぁ… (今は、学生たちからラーメンに誘われることもなく、また誘っても断られることも多々。時代が変わったのか、学生が変わったのか、はたまた僕が変わってしまったのか…)
和屋の思い出話になると、もう止まらなくなってしまうので、とにかくも!!!
明日、12月23日(月)までは、スープが終わるまで、営業するとのことです。
是非とも和屋の味にもう一度触れておきたい、という人は明日、できればお昼の部に行っていただければ、と思います。
夜の部は、スープ次第だそうです。
なお、僕が日本・世界の中のつけ麺で一番愛した和屋のつけ麺は、本日をもって提供を終了しています(´;ω;`)。。。
さて。
最後のレポとなります。が、もう語ることはできない、というか、なんというか。。。
ただ、味わいたいと思い、「これで最後か…」と悲しみながら食べました。
もちろん、僕は、和屋のつけ麺を死ぬほど愛しているので、つけ麺は食べるとして。
改めて、伊藤さんに、和屋の原点の味はいったいどれですか?と尋ねてみました。
そうしたら、「和風麺(かつおだし)」という返答をもらいました。
ずっと、とんこつめんが伊藤さんの「お気に入り」なのかと思いきや、、、
…でも、そうですよね。和屋ですもの。和風ラーメンこそ、こちらの看板メニューなんですよね、、、
最後の、和屋のつけ麺(チャーシュー盛)です。
これが最後か…と思うと、もう、何も言えません。
正直に言えば、「なぜこれほどのつけ麺が評価されないのか」、と憂いました。
何度食べても、どれだけ経験値を積んでも、やっぱりここのつけ麺が一番です。
濃厚だけど、食べやすく、ヘビーではないけれど、物足りなさは全くない、、、
動物系のコクと甘み、そして魚介系の旨みがうまく重なり合って、見事な統一感を出しています。
そこに、太すぎず、細すぎないちょうどよい太さの麺が入ります。この麺もまた和屋の味を引き出してくれていました。
チャーシューも、さすがは和屋!という上品で、他にないタイプのチャーシューになっていました。
なんていうか、他にないほどのトロトロ感、、、というか。
散々、このブログでも語ってきたけれど、やっぱり「媚薬的」なつけ麺なんだと思います。
この場所で、この味を、もう二度と経験できないなんて、、、
やっぱ、ちょっと、まだ受け入れがたい…(;_;)
こちらが、和風麺です。
しっかり味わってみると、あっさりとしているけど、そこにありったけの旨みが凝縮されています。
「しみじみ旨い」
これだけのかつおぶしがふりかけられているのも、珍しいですよね。
和屋の正真正銘の看板ラーメン、しっかりと堪能させてもらいました。
今の時代では、もしかしたら、「時代を感じる少し古い味」に思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
今、巷で流行りの「淡麗醤油系」とは違う魅力が、このラーメンにはあります。
なんていうか、「わかりやすい味」なんですよね。シンプルといえばシンプル。
他で似ている味というと、それこそまるわの外房風ラーメンに似ているといえば似ているかな、と。
最後の最後なので、福セットのチャーシュー丼です。
最後なので、サービスしてもらえたっぽいです(苦笑)。
このお肉、本当に格別だと思います。
こちらももしかしたら、明日の昼なら食べられるかもしれません、、、
ジャズが流れる店内。
シンプルな卓上トッピング、、、
この空間に、いったい何度来て、何人の人と一緒に来たことでしょう。
懐かしいです。。。
もう、この和屋のこの空間には、二度と現れないのでしょうね。。。
寂しい限りです。。。
我が愛しの父親とも何度もよく来ました。
学生時代から、今の勤務校に勤め出し、そして、10年…。
本当に、和屋がなくなってしまうのかと思うと、、、
僕は、和屋を絶対に忘れません。
そして、僕にとっても、何らかの一つの区切りとなりそうな気がします。
なんていうのかな。
今年も石山さんの本にちらっと僕も記事を書かせてもらいましたが、正直、ラーメンの世界で僕はもうあまり必要とされていないのかな、と少し思っています。昔から必要とされてはいないと思いますが…(^_^;)。
ある種の「潮時」なのかな、とも。
これからも細々と記事は書いて行くと思いますが、僕も、あの頃のような情熱はありません。何もかもが輝いて見えた11年前。この11年で、本当にいろんなお店と出会い、いろんな感動を得てきました。が、あの頃の「キラキラ感」はもうないんです。。。
もちろん、素敵なお店と出逢えば、感動もするし、ワクワクもします。が、あの頃のようなキラキラ感はないっていうか、、、
そのキラキラの世界の中のど真ん中にいたのが、和屋だったんだ、と今確信しています。
この地に落ち立つことももうないんだろうな、と思うと、、、
さよなら、和屋。。。
明日、本当に最後の営業日です。
終わったら、我が学兄である伊藤さんとゆっくりとお話したいなぁ、と思っています。
11年、本当に本当にお疲れ様でした。
それしか言えません、、、