2019年1月。
母子にかかわる悲しい事件が、千葉と埼玉で続けて起こった。
2019年1月10日、千葉県船橋市
心中か 母と乳児、電車にはねられ死亡 船橋・新京成
千葉日報2019年01月12日11時00分
千葉県船橋市前原東4の新京成電鉄の踏切で、10日午後11時半ごろ、松戸発京成津田沼行き下り電車(6両編成)に20代女性と生後間もない男児がはねられ死亡した。船橋東署は、女性が自分の子どもを連れて自殺を図ったとみて身元や状況を詳しく調べている。
同署によると、女性が踏切内で男児を抱いた状態ではねられた。警報器や遮断機は正常に作動していた。女性は電車の進行方向先の線路内で見つかったが死亡しており、男児は搬送先の病院で死亡が確認された。
運転士は「人がいるのに気付いて、急ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているという。乗客や乗員にけがはなかった。
この事件があった時、「電車が止まった」という情報は得ていた。
が、それが、まさかこんな事件だったとは思いもしなかった。
船橋や津田沼にもし「赤ちゃんポスト」があったら、どちらの命も救えていたかもしれない。
20代の女性と生後間もない赤ちゃんのいのちが、消えてなくなった。
きっと、千葉人は誰もこのニュースを見ても、動かないんだろう。
千葉は好きだけど、このテーマとなると、誰も何もしないし、動かない。
僕自身、とてももどかしい。お金と土地があれば、すぐにでも色々と動きたい。
でも、残念ながら、今の僕にそんな力もお金も土地もマンパワーも持ち合わせていない。
(それに、この問題の「研究」に今は尽力すべき時… まだまだ…)
そして、先日は埼玉で…
2019年1月24日、埼玉県新座市
コンビニ便器に新生児、埼玉
国内社会ニュース(共同通信)2019年1月24日 / 19:13 / 共同通信
24日午後1時20分ごろ、埼玉県新座市のコンビニ「セブン―イレブン新座大和田3丁目店」の男性店長から、「生後間もない赤ちゃんが便器の中にいる」と110番があった。新座署によると、へその緒がついた状態の女児が病院に搬送されたが、目立った外傷はなく命に別条はない。
直前に、1人で来店した女性がトイレに数十分間閉じこもっており、産み落とされた可能性がある。同署は保護責任者遺棄の疑いもあるとみて女性の行方を捜している。
女児は裸で、便器の中に横たわっていた。
昨年も似たような事件が埼玉でもあった。
千葉同様、埼玉でも「赤ちゃんポスト」の話はほとんど出てこない。
この事件では、赤ちゃんの命は救われた、、、
が、しばらくしたら、「母親」が「逮捕」されるだろう。
これに何も思わなかったり、母親を責めたりする人は、この問題の本質を分かっていない人だ。
母親には、頼る場所も人もいなかったのだ。
児童相談所に行けばいい? そんな簡単な話じゃない。
育てられないのになんでセックスした? なら、なぜ男性は逮捕されない?
それより、こういう妊娠~自宅出産~児童遺棄というのは、昔からあることで、
それに対して、「中絶」以外の選択肢を出してこなかった日本の国家行政に問題があるのだ。
今、「逮捕されるかも」と怯えている母親の心に寄り添える人はどれだけいるのか?
その母親が自殺しないとも限りない。
日本の男性は、女性の性には群がるものの、その女性の妊娠や出産にはどこまでも疎い。
子育てとなると、もう日本の男性はほとんど役に立たない。
*ドイツの赤ちゃんポストに預けられて保護された赤ちゃん
熊本に「こうのとりのゆりかご」が設置されてから、11年。
こうのとりのゆりかご自体は世に広まったけど、それ以降の動きはほとんどない。
「マナ助産院」が新たな試みを始めた以外に、この問題に真正面から向き合う人はいない。
日本人のヒューマニズムが問われていると思う。
戦後ずっと「拝金主義(経営学的アメリカ経済学)」でやってきて、バブル期を迎え…
その後も、その拝金主義を背負ったまま、人間のひとつのいのちを大事にしない国であり続けてきた。
ひとりの人間のいのちを大事にできないこの国…。
最近、僕のまわりで「中絶を決めた」という若い女性の話をたくさん聞く。
一方で、政治家たちは「少子高齢化」を嘆く。
なら、少子化を防ぐために、「中絶しないための社会づくり」に動いてほしい。
基本的に、「人工妊娠中絶」は「条件付き」だ。が、うやむやだ。
医者たちも、もっとこの問題に関与すべきなのに、やっているのは中絶だ。
政治家も官僚も、この問題にホンキで向き合おうとしていない。
この国を真に愛するのであれば、その国民が苦しんでいる否定的な現実に目を向けるべきだろう。
僕は、教育学や保育学や児童福祉を学び続ける人間として、この問題に向き合い続けたい。
赤ちゃんの死も見たくないし、女性の涙も死も見たくない。
逮捕される母親も出したくないし、母と子のつながりを断ちたくもない。
母親だけじゃなくて、父親とのつながりも断ちたくない。もちろん子どものために。
言うのは簡単。だけど、それを実現するのは、とてもとても難しい。
…
妊娠葛藤のことも、ほとんど誰も知ってくれていない。
相談支援における「匿名性」の意義も、ちゃんと理解されていない。
児童相談所が「相談機関」以上の役割を担わされ、現場が混沌としていることも理解されていない。
熊本にしか「ゆりかご」がなく、他県の妊婦さんにはハードルが高いことも理解されていない。
特別養子縁組の制度はあっても、色々複雑で、世間的な偏見もあって、使いづらい。
相も変わらず、望まない妊娠に対しては「産むな、おろせ」の大合唱…。
(そして、おろしたらおろしたで非難囂々…)
24時間ホットラインもほとんどないし、あっても、迅速性が弱い(シュテルニパルクと比べて)
内密出産も匿名出産も報道はされているのに、それを議論する政治家はどこにもおらず…
法学者もこの問題にはほとんど誰もコミットせず、、、
なんだ、この国は、、、
そして、誰もそれに対して怒らないし、叫ばないし、見て見ぬふり。
社会正義も社会的責任もなく、ただただ「拝金主義」でのたうち回るだけ、、、
NEIN!!!
PS
今、妊娠~出産~子育てで危機的な状況のある親御さん・妊婦さんへ
昔書いたものですが、この記事を読んでみてください!
『赤ちゃんを死なせてしまうかもしれないお父さん・お母さんへ』
【追記】
こういう記事を書くと、内容を深く理解せずに、誹謗中傷するだけのコメントを寄せてくる人がいる。
そういうコメントは、機械的に削除させて頂きます。
(内容を理解し、建設的な批判であれば、もちろん削除はいたしません)
理解できない人がいるのは分かっているし、その人に分かってもらおうとも思ってません。
最近、SNSの普及で、コミュニケーションの幅は広がっているけど、最低限のマナーはある。
見ず知らずの人間に、内容も理解せずに、ただ「うさばらし」で誹謗中傷するのは、明らかなマナー違反。
「日本から出ていけ」というコメントもありますが、それは「ナチス的思考」で、マナー違反以上に酷いです。
今後も、そういうコメントは、機械的に削除いたします。悪しからず。
最近、残念ながら、特にそういうコメントが多くなっている気がします。
2005年からずっとブログを書いていて、実感してます。
(こんなことを書かなきゃいけない時代になったんだなぁ…(;;))
【追記2】
2019年1月24日、千葉県野田市
さらには、10歳の女の子が父親に殺害された。
千葉県野田市の小学4年生の女児(10)が自宅で死亡し、父親の自称会社員栗原勇一郎容疑者(41)が傷害容疑で逮捕された事件で、女児が2017年、同容疑者からの「いじめ」を訴え、児童相談所で一時保護されていたことが26日、県警への取材で分かった。県警は、栗原容疑者が日常的に女児に暴行を繰り返した疑いもあるとみて捜査。同容疑者を送検し、死亡と暴行の因果関係を詳しく調べる。
県警によると、死亡したのは栗原容疑者の長女で、市立二ツ塚小4年の心愛さん。24日夜、同容疑者自身が「娘を風呂場に連れて行ってもみ合いになり、意識や呼吸がない」などと110番し、駆け付けた救急隊員が浴室で倒れている心愛さんを見つけた。
事件後、県警野田署が野田市に心愛さんに関する情報を問い合わせたところ、17年に県柏児童相談所で一時保護されていたことが判明した。当時通っていた別の同市立小学校でのいじめに関するアンケート調査に、心愛さんが「父親からいじめられている」と回答。学校側が市に「虐待の疑いがある」と連絡し、保護につながったという。
心愛さんの体には多数の古いあざがあり、虐待の疑いがある児童らの情報を共有するための地元協議会のリストにも名前が掲載されていた。県警は児童相談所の職員からも事情を聴き、保護されたいきさつや、自宅に戻した経緯の確認を急ぐ。
親に殺害される子どもがいる。
千葉や埼玉にいる。
どこにでもいる。
世界中で、親によって子どもが殺害されている。
かつて、ゲーテも、ペスタロッチも、それを嘆いた。
そして、「子どもの権利条約」が世界に広まった。
けれど、まだ、こうして2019年1月の時点で、親による子の殺害や遺棄は起こっている。
日本は、千葉は、埼玉は、それでもまだ、何も動かないのか?
この国は、子どものいのちにどこまで本気で向き合おうとしているのか。
いつまで、この国は、母と子を見殺しにするのか。
男はいつまで、この問題から目をそらし続けるのか。
【追記3】
さらに、少しさかのぼること、
2019年1月18日、宮城県仙台市
28歳の母親の生後1カ月の乳児がネグレクトにより死亡した。
生後2カ月弱の次男を栄養失調などで死なせる 宮城県警、容疑の女逮捕
2019.1.18 22:18社会事件・疑惑
保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された千葉侑容疑者の自宅
=18日午後10時20分ごろ、仙台市青葉区
生後2カ月弱の次男に十分な食事や飲み物を与えず栄養失調などで死亡させたとして宮城県警仙台北署は18日、保護責任者遺棄致死の疑いで、仙台市青葉区の無職の母親、千葉侑(ゆう)容疑者(28)を逮捕した。「10日ぐらい前からミルクを買うお金がなくなった。早く病院に連れて行けばよかった」と供述している。
逮捕容疑は、千葉容疑者は次男の楓翔(ふうと)ちゃんにわずかな飲食物を与えるだけで放置、衰弱しているにもかかわらず、医師の診察などを受けさせなかった。楓翔ちゃんは17日午後7時ごろ病院に運ばれたが、18日午前6時45分ごろ脱水や栄養失調で死亡したとしている。
同署によると、楓翔ちゃんは昨年11月19日生まれ。双子の兄で、弟も衰弱して病院に運ばれたが、命に別条はなかった。千葉容疑者の母親(51)が衰弱している2人を見つけ、病院に運んだという。
千葉容疑者は父親(58)と楓翔ちゃん、その弟との4人暮らし。このほか2人の子供がいるが、児童相談所に保護されていた。
野田市の事件は、男性が「加害者」として逮捕されたが、
それ以外の事件では、「男性」はでてこない。
男性は、「暴力行為で殺害する」か、あるいは「逃走するか」だ。
千葉侑さんは、紛れもなく「緊急下の女性」だった。
児童相談所との接触があったにもかかわらず、彼女は救われなかった。
【追記4】
いったいどうなっているんだ??
2019年1月XX日、群馬県伊勢崎市
今度は、群馬県で25歳の母親が新生児遺棄…
自宅に“乳児遺棄”、25歳の母親を逮捕
1/26(土) 13:07配信 TBS News i
赤ちゃんの遺体を自宅の押し入れに遺棄したとして、25歳の女が逮捕されました。
死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、群馬県伊勢崎市のアルバイト・源島ゆみ子容疑者(25)です。
源島容疑者は今月中旬ごろ、出産した女の子の遺体を自宅に放置した疑いがもたれています。
児童相談所の職員と市役所の職員が25日に警察署を訪れ、「今月2日に出産予定だった女性の出産が確認できず、子どもの安否も分からない」と相談し、警察が源島容疑者の自宅を調べたところ、押し入れの段ボール箱の中から遺体が見つかりました。
調べに対し、「子どもが死んだという認識はありません」と容疑を否認しているということです。(26日10:06)
なぜ、2019年1月に、これほどまで、、、
自宅に放置、ということは、リスクの高い「自宅出産」か。
自宅出産を防ぐために、世界で実施されているのが「匿名出産」および「内密出産」。
これらの議論がもう一度、真剣に交わされますように(切望)。
…
【追記5】
2019年1月29日、神奈川県川崎市
1月最後の最後に、これもまた「赤ちゃんポスト」が必要となるような事件が起こり、
22歳の「技能実習生」の母親が「逮捕」された。
(「逮捕」されるということ自体、おかしいことだと、いつになったら考えてくれるようになるか)
当然ながら、父親は「逮捕」されることもないし、おそらく「苦しむ」こともないだろう。
異国の地でどれだけ心細かっただろうか、、、。
22歳の女性が異国の地で一人孤独出産…(か?)
新生児置き去り疑いで中国人実習生逮捕
2019/1/29 12:50
出産直後の男児を他人の住宅の敷地内に置き去りにしたとして、神奈川県警川崎署は29日、保護責任者遺棄の疑いで、中国籍の技能実習生の女(22)を逮捕した。「日本人の家に置けば育ててくれると思った」と話しているという。
海外では、こういう「命の危険の少ない場所」での遺棄の場合、刑が軽くなることもある。
日本では、そういう細かい規定がないので、「逮捕」となり、、、、
…
【追記6】
若干のコメントを受けて…
下さったコメントの中に、データを!という声がありました。
おそらく「それは違うデータだ」と言われそうですが、僕が念頭に置いているデータがあります。
上の記事で、次のような文章がありました。
>日本は、2015年が101位、2016年が111、2017年が114位とどんどん順位を落としている。日本の評価は、項目ごとに優劣がはっきりしている。読み書き能力、初等教育、中等教育(中学校・高校)、平均余命の分野では、男女間に不平等は見られないという評価で昨年同様世界1位のランク。一方、労働賃金、政治家・経営管理職、教授・専門職、高等教育(大学・大学院)、国会議員数では、男女間に差が大きいとの評価で世界ランクがいずれも100位以下。その中でも、最も低いのが国会議員数で世界129位。その他の項目でも50位を超えるランクは一つもない。全体順位114位という結果は、G7諸国とロシアを含む先進8ヶ国の中で断トツの最下位。中国も男女差別がある国のように見えるが、高等教育と教授・専門職では男女平等と評価され世界ランク1位を取得。一方で中等教育、出生率、平均余命では男女差があると評価されており日本とは全く逆の傾向。ちなみに中国の国家議員数ランクは61位と日本よりもかなり高い。
女性の政治参画や女性の社会的地位に関しては、世界の中でもワーストレベルなんです。これは、データだけでなく、実際に海外に行けば、すぐに分かります。男性が(仕事を理由に)家事や育児から逃げる一方で、女性は政治や社会から疎外されているんです。
また、直近のコメントで「なぜ男性ヘイトを繰り返すのか?」といったご意見もありましたが、それは、男性がこの国の政策や制度的な意思決定を行っているからです。決めているのはいつでも男性側です。これまで女性の地位向上を本気で考える議員がいれば、もうとっくに変わっています。たしかに、若干、僕は、男性側に対して厳しく書いているかもしれませんが、上の事件を考えたら、男性を擁護することは(ここでは)できません。こういう記事に、否定的なコメントが多く集まること自体、この国のリアルを感じます。そして、そのことはもうずっと前から分かっていることです。
それと、この(マイナーな)ブログで何を書くかについては、僕が決めます。内容まで突っ込んでこないでください。このブログはネット界の末端の末端に位置するブログです。見たくなければ、見なくてよいのです。ラーメン情報なら、僕よりも優れたブロガーさんがいっぱいいます。どうぞ、そういうブログを愛読してください。何を書くかは僕が決めます。それに、ラーメンの記事よりも、こっちのテーマの記事の方が閲覧数多いんですよね。誰も見ていないわけでもないんです。ご理解よろしくお願いしますm(__)m