名古屋市の中区で、2人の新生児の遺体が発見されたという。
12日夕方、名古屋市中区のマンションの一室で、段ボールの中から、生後間もない2人の赤ちゃんの遺体が見つかり、警察は、38歳の女を死体遺棄の疑いで逮捕しました。遺体は、ビニール袋で何重にも包まれていたということです。
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13日朝、中区栄。複数の警察官が入っていった先は、規制線がはられブルーシートがかけられたマンション。
警察によりますと12日夕方、中区栄のマンションの一室で、部屋の清掃をしていた男性から、「室内から悪臭のする箱を発見した」などと110番通報がありました。
中京テレビNEWS
警察が駆け付けると、台所の流し台の下の収納スペースから段ボールを発見。箱を開けると、中からはそれぞれ何重にもビニール袋に包まれた生後間もない赤ちゃん2人の遺体が見つかりました。いずれも死後、1年以上経過しているとみられ性別もわからない状態だったということです。
近所の住人:「静かなところですよ。びっくりしました。こんなところであるのかなと思って」
遺体が発見されてから一夜あけた、13日朝。警察は、住居不定・風俗店アルバイトの自称・入村恵容疑者(38)から、事情を聴いていましたが、その後死体遺棄の疑いで逮捕したのです。
知人の男性が契約する中区栄のマンションの部屋に最近まで住んでいたとみられる入村容疑者。
2019年ごろから、12日までの間に、2人の赤ちゃんの遺体を段ボールに入れて放置し、遺棄した疑いがもたれていています。調べに対し、容疑を認めているといいます。
捜査関係者によりますと、2人の赤ちゃんの母親とみられていて遺体の状況などから、2人を別々の時期に遺棄したとみられています。
きっかけとなった清掃は引っ越し準備のために知人の男性から依頼されていたことが発覚、遺体を残したまま部屋を後にしようとしていたのでしょうか。
警察によりますと、入村容疑者は調べに対し、「2人の子どもは私が出産し、2人の子どもの死体を隠していました」と供述しているということが分かりました。
また、13日午後、司法解剖の結果が発表され2人の赤ちゃんは、いずれも死後1年以上が経過しているとみられることがわかりました。
死因は、わからなかったということです。
今回、逮捕されたのは、「住居不定・風俗店アルバイト」の38歳の女性だった。
住所不定で、風俗店アルバイトということから、彼女がどのような状況だったか、ある程度は想像できる。
お金がある人ではなく、深い意味での愛情もなく、住む場所さえギリギリの状況だったのだろう、と。
物理的な貧困状態にあったのと同時に、精神的(知的)な意味でも貧しい状態にあった(と、河上肇は言うと思う)。
その彼女は、きっと生きることそれ自体が困難であり、絶望していたのだとも思う(と、ゲーテやペスタロッチは言うと思う)。
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きっと、この事件もまた、数週間後には忘れ去られるだろう。
死んだ赤ちゃんの写真や映像があるわけではないので、TVでも「事実」だけが報じられ、僕らはそれに驚きはするだろうが、記憶の外に消えていくだけだ。
けれど、赤ちゃんがもし保護され、生きているなら、この二人は、何十年、それこそ80年、90年の人生を歩むことができた。たとえ、実親に育てられなかったとしても、養父母や保育士の庇護の下で、ゆっくりと成長し、やがて大人になり、恋をして、結婚をして、子どもを授かって、、、という長い人生を歩むことはできたはずだ。
そんな長い長い人生が可能だったはずなのに、生まれて数日で(身体的には生きられたはずの)新生児が、実親によって殺されたのだ。
それを防ぐために、赤ちゃんポストや匿名出産・内密出産等が世界で考案され、実践してきた。
日本でも、こうした問題に向き合おうとする人たちは確実に増えた。
愛知県では、まさにこういう問題に向き合い続けてきた(県の児童相談所は特に)。
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でも、まだ、熊本でしか、本格的な実践は行われていない。
構想レベルでは、他県でも公表されたりしつつあるけれど、まだまだ足りない。
法整備も、まったく変わろうとしていないし、変わっていない。
深刻過ぎる少子化問題に直面しているのに、一人の赤ちゃんを救う意志や覚悟がない。
一人の赤ちゃんを守れない国家に、安心できる子育て社会など作れるものだろうか。
きっと今回のこの事件も、「風俗やってる変な女が…」という話で終わると思う。
でも、それで終わらせたら、また、次の事件が起こるだけだ。
実際、ずっとそれが繰り返されてきた。本当にずっと昔から、、、
80年~90年の長い長い人生を生きられるはずの赤ちゃんの命を守りたいと改めて思う。
80年生きられるって、すごいことだから。
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僕ももうすぐ50年生きることになるわけだけど、50年って長いよ、、、
50年前の日本のことを思うと、もう「世界」が完全に違うんだもん。
きっと50年後のこの世界は、今とは全くもって違うものになっているはず。
そんな50年後の世界を、この上の2人の赤ちゃんは見ることができたはずなんだ。
僕が悲しいのは、その点なんだ。
「無事に保護されていれば、50年後の世界が見られたのに…」って。
僕は、まず50年後の世界を見ることはない(死んでるはず)。
でも、赤ちゃんだったら、22世紀の世界だって見れるかもしれないんだ。
そんな未来の可能性しかない赤ちゃんが亡くなるっていうのは、本当に自分事のように辛い。
これからも地道にこの問題に取り組んでいこうと思った。