1993年(平成5年)に西陣から登場したCRデジパチ「CR花満開」
言わずと知れた、初期CR機(の中では遅い登場だが…)を代表する爆裂連チャン機。
最高設定の大当り確率が1/269で、2回ループの確変付きで、確変中に再び確変で当る確率が40%もあって、保留玉連チャンまで付いてきて…今思えば、何と打ち手思いの台であったことか。ツボにはまれば、ワンチャンスでの「ドル箱タワー」も夢ではなかった。
しかし、そこは波の荒いCR機、いくら最低確率が1/300程度とはいっても、理不尽な展開に翻弄される事もあった。連日の爆勝ちで「プチバブル」を体感した人、ハマりにハマって蓄えを一気に溶かした人、大負けから逆転して窮地を凌いだ人…本機にまつわる思い出は十人十色であろう。
(スペック)
★賞球…5&10&15
★最高16ラウンド継続
★平均出玉…約2400個
★大当り確率(3段階設定付)…設定1:1/269 設定2:1/289 設定3:1/308
★大当り絵柄…0~9の数字、桜、花、宝、月、光(15種類)
⇒花びらを模したデジタルが特徴。現金機「サイタサイタ」「花百景」にも採用。
★確変絵柄…3,7(以後プラス2回ループ。確変突入率=2/15、確変継続率=6/15)
3,7揃い…花満開で最も興奮する瞬間。周囲から「舌打ち」が聞こえる気もしたが…(笑)
⇒左・中デジタルに3、7が出る時は、「舞い散る花びらが寄せ集まる」ようにして止まる(3、7出現予告)。また、この「花びら」演出は、通常絵柄の中デジタルがテンパイする瞬間にも発生する(リーチ予告)。保留ランプの花にもセンスを感じる。なお、保3、保4点灯時はデジタルの回転時間が短縮されるので、釘さえアイていれば回転数を稼げる台でもあった。
★確変時の平均連チャン回数…5.44回
★電チュー開放確率(小デジタル当選率)…通常時:1/20、確変時:1/2
★リーチアクション
ノーマル1種、スーパー1種(シンプルだが、十分アツかった)
⇒ノーマルリーチ…右デジタルが上から下にスクロールを開始。大当り手前2コマから「コマ送りアクション」になる。最大で2周目の大当り絵柄プラス1コマで停止する。信頼度が低いとはいえ、本機はノーマルからでも大当りは期待できた。
⇒スーパーリーチ…リーチ直後に「サクラサクラ」のメロディが鳴り響き、右デジタルがスクロールを開始。大当り2コマ手前から「花びらが寄せ集まって数字が出現⇒花びらが散って数字が崩れる」アクションへと変わる。いったん大当り絵柄を超えてから2周目に入り同じ動きを繰り返して、最終的に大当り絵柄か1つ手前で必ず停止する。2周目の大当り絵柄を超える事は絶対ないので、1つ手前の絵柄が散った時点で大当たり確定となる。信頼度約50%という激アツの「丁半」リーチであり、花満で最もアツい瞬間の1つといえる。
⇒ノーマル・スーパーのリーチ判別…リーチの瞬間の右デジタルを読む事で可能。中出目プラス2コマでリーチが始まればノーマル、中出目プラス1コマでリーチ開始ならスーパー。但し判別のチャンスは一瞬。
★確変中は、大当り確率が約1/8(設定差あり)にアップ。
⇒登場当初、確変中の大当り確率は「通常時の5倍アップ」といわれていた。しかし、実際には、確変時は保1の格納エリアに上書き処理が毎回入るようになり、通常時の33~38倍も大当り確率がアップしたのだ(設定1=1/8.15、設定2=1/8.03、設定3=1/8.11)。この数値には僅かながらも設定差があり、「設定2」の確率が最も高かった。
⇒但し、上記のように確率が大幅アップするのは、確変時の「連続回転中」(少なくとも保1点灯している時)に限られる。したがって、たとえ確変中であっても、保留ランプが一つも点いていない状態(単発打ち等)では、大当り確率は単に「5倍」しかアップしない。
★確変に入ると、再び確変で大当りする確率が、2/15(13.3%)から6/15(2/5=40%)にアップ。
⇒本機には確変or通常を決定する為の乱数カウンターがあり、カウンター値は0~44までの45コマとなっている。通常時、確変に対応するカウンター値は6つしかないが(突入率⇒6/45=2/15)、確変時は3倍の18個に増える(継続率⇒18/45=6/15=2/5)。これが、花満における確変継続率40%の「カラクリ」である。
★大当り後は、保留玉1個目での強力な連チャン性アリ…保1で連チャンする確率は約1/8(確率アップの仕組みは、確変時と同じ)。
⇒本機のプログラム内には、確変中の上書き処理以外にも、「盤面ランプが電力を過剰消費した時、保1エリアを上書きする(確率を通常時の33~38倍アップさせる)」処理が存在した。つまり、「大当り発生=必ず上書き処理」となり、これが保1連チャンの発生要因だった。なお、特定の配線を断線すると、上書き処理が常に行われるようになり、通常時も約1/8で大当りする「超高確率バージョン」に変貌する。店が意図的にこれを仕込めば「見せ台」の完成だが、中には店員とグルになって配線ゴトを行い、出玉を不正に抜く輩もいたようだ。
★モーニング疑惑…本機には、天国状態スタートなど仕込まれた朝イチの特典機能はない。しかし、一部のホールでは、開店直後から花満がなぜか大当りし易い状態になっており、モーニングからの爆裂目当ての客で朝一から満席となる店も存在した(特に94年春頃からこの手の店が増加)。その為、開直から高確率状態になる「モーニング基板」の存在が話題となった。
★花満開・140連チャンの噂…94年当時の「必勝G」誌によれば、船橋市の某店で「花満開が140連チャンした」との読者情報が寄せられた。早速、同誌の人気ライターU氏が現地調査に赴いたが、店の責任者は「『140連チャン』は店員が勘違いして情報提供したもので、実際には「数十連チャン」程度だった」と説明した。だが、U氏はこの発言に納得していない様子であった。いずれにしても、この船橋某店での爆連の原因が、気になる所である(例の「配線切り」が原因なのか?)。
★「リーチ目」存在説…某・オ〇ルト系(失礼!)パチンコ漫画家氏によれば、花満には確変の大当りが近い出目(「3・宝・3」「7・宝・7」)や、単発大当りが近い出目(「1・桜・1」「2・花・2」「4・月・4」「5・光・5」)など、「リーチ目」が存在するとの事であった。ただ、これは完全確率主義の考え方からは肯定し難いものであり、否定的な意見が多かった。ただ、この漫画家氏は、この立ち回りで約9ヶ月の間に「プラス400万オーバー」の成績をたたき出したといい、リーチ目説を支持する氏のファンも少なからずいた。
★社会的不適合機リスト入り…本機は、その連チャン性の高さゆえ、1996年10月の「社会的不適合機・第一次撤去対象機種」に挙げられた。この撤去策は、CR機主導を目論む当局の方針に業界が従ったものであり、リストに載ったほとんどの機種が連チャン性を持つ現金機だったが、花満はCR機でありながら槍玉に上げられた格好だ。このような名機に「不適合」の烙印を押す事に、一般ファンと業界との「乖離」を感じずにはいられなかった。
ここまで読み切って疲れていない方は、以下の駄文もご覧あれ。
(花満との出会い)
本機は都内・神奈川の設置が非常に多く、当時の実戦店を全て上げたらキリがない。ただ、その中でも「初見」の記憶は、今も強烈に心に残っている。
花満との初遭遇は、実は都内ではなく、’93年秋にプチ遠征で訪れた埼玉・大宮駅東口のパチ屋だった南銀通りにあった「リオ」というパチ屋である。
何となしに出向いた大宮駅界隈だったが、はじめは東口にある別の古臭い店(セントラルホール)で、ニューギンのドラム機「エキサイトグランパス2」を打っていた。が、あまり思わしい結果が出ないので、店を出てすぐに目についたパチ屋(リオ)にフラッと寄ったところ、花満が並んでいたのだ。まだ、新台時期からそれほど経っていない頃だったと思う。
そこで目にした花満のシマは、まさに「鉄火場」を思わせる熱気が漂っていた。さっきまでのE・グランパスの閑散とした雰囲気とは、雲泥の差である。客付きはほぼ満席で、ほとんどの客が足下にドル箱をガンガン積み重ねていた。
それは、かつての一発台の新装や、エキサイト・アレジンなど、爆裂アレパチのシマを彷彿とさせた。自分もこの連チャンの恩恵に与りたかったが、空き台がなかなか出ない上、財布の中身も心許なかったので、シマの様子を眺めるだけに終わった。
この大宮での光景が鮮烈な記憶として残り、地元に近い馴染みのZ店に花満が導入されると、授業をサボって足繁く通うようになった。当然、すぐに店一番の人気台となり、シマは一日中老若男女で賑わった。
打っていてスーパーリーチが掛かり、「♪ポンポンポーン~」というサクラサクラのメロディがシマに響くと、一斉に周りの客から注目を浴びる。これが7(3)のリーチだった日には、全身全霊で願いを込めて、「6(2)を超えろ~!」と、手に汗握ってデジタルを睨みつけたものだ。
同じ頃、地元から二駅隣りのM遊園駅の「ニューギンザ」「スター」という二つの店にも花満が導入され、やはりZ店に負けず劣らずの人気ぶりだった。当時、大学で落せない大事な講義が多く入っていたが、花満のせいで学校までたどり着けず……ということも多かった。
なんとか都内に行き着いても、せいぜい新宿あたりで足止めを喰らい、歌舞伎町・横浜銀行ビル(ジューキビル)脇の「日拓3号店」で、等価&渋釘の花満開に無謀な勝負を挑んだりもした。
そういえば、「店で確変を引くのが大変なら、家で思う存分体感すればいいや」と、花満が収録されたスーパーファミコンのゲームソフト(「西陣パチンコ物語」だったか…)を買った事も思い出した。なんだかんだで結構ハマったのだが、あのテのゲームは、一気に10万発とか出して遊び終えた後、何とも言えぬ「虚しさ」がこみ上げてきた。所詮、ゲームはゲームである…。