1991年(平成3年)に平和から登場した新要件ハネモノ「ボイジャー2号」
★賞球7&13
★最高15ラウンド継続(10カウント)
★ハネ開放時間…オトシ0.3秒、ヘソ0.4秒×2
★兄弟機…ボイジャー1号(1991年登場、賞球8&15、最高15ラウンド継続)
(兄弟機「ボイジャー1号」…DENDO蕨店にて撮影)
「ボイジャー」と聞くと、やはり「パンク」を連想してしまう。これは、ボイジャーシリーズを打った事がある人ならば、皆同じであろう。それだけ、V継続に苦しめられた機種という事だ。
平和が、91年の「平成新基準機ハネモノ第1弾」として送り込んだ「ボイジャー1号」。賞球が「8&15」と多く最高15ラウンド継続、しかも大当り時は最大6個貯留という事で、登場直後は「継続率も良く、大量出玉がのぞめる」と期待された。
だが、実際に打ち込んでみると、ヤクモノのクセが非常に悪く、早いラウンドでのパンクが多発した。完走すれば2000発の大量出玉だが、安定して最終ラウンドまでたどり着くのは至難の技であった。
で、この「1号」よりも賞球を抑え(7&13)、ヤクモノの動きも変更したのが、今回紹介する「ボイジャー2号」である。
1号についてはネット資料も豊富だが、2号についての情報は非常に少ない。ヘソ曲がりの当ブログが扱うべきは、やはりマイナーな「2号」の方だろう(笑)。
「1号」に比べて知名度イマイチとはいえ、現役時は「2号」を設置するホールも多くみられた。惜しむらくは、1号よりも早く入れ替えを行う店が多く、寿命が短かった事である。
自分の地元店でも、91年の大規模リニューアル時、「ボイジャー2号」「ブンブン丸」「ニュートキオ」「サーカスIII」「ニューモンロー」がハネモノコーナーに設置されたが、真っ先に外されたのがボイジャー2号であった。
それでも、一部ホールではしぶとく設置を続け、土浦市の「荒川沖センター」などは本機を長く置く名物ホールとしても知られた。「荒川沖」は、レトロ台マニアにとって「聖地」ともいえる場所であり、思い入れの深い方も多いだろう。その他、北海道・羽幌町の「ホームラン会館」にも90年代後半まで設置されていた、という事である。
さて、ボイジャー2号は、賞球数が1号と異なるのみならず、通常時や大当り時のヤクモノの動きも、1号とは違っていた。1号のイメージで以下のゲーム性を読むと、かなりの違和感があるはずだ。
(「ボイジャー2号」のゲーム性)
ハネに拾われた玉は、上段ステージを通って、回転盤のある下段ステージに落下する。
宇宙探査機「ボイジャー」を模したメタリックな回転盤は、絶えず時計方向に回っている。始動チャッカーに入賞すると、回転盤の外周にストッパー(ガード)が出現し、ヤクモノ内の玉をいったん貯留する格好になる(「1号」の場合、通常時にストッパーは出ない)。
回転盤には6つの突起があり、回転盤に落下した玉は、突起とストッパーの力で回転盤の外周を左方向に転がっていく。
また、回転盤には傾斜が付いていて手前側が低くなっている。その為、ストッパーが解除されると、回転盤に乗っていた玉は手前のVゾーン方向に転がる。
この時、大抵はVゾーン左側のアウト穴に落ちて外れるが、回転盤の左奥にある玉が、傾斜の力で右下に戻るような動きになると、ストッパー解除時にV入賞し易い。
また、ヤクモノ内に複数の玉がある場合、玉突きで一方の玉が中央に押し出され、そのままV入賞するケースもあった。
いずれにしても、V入賞率は総じて低かったといえる。但し、各台の「ネカセ」或いはヤクモノ毎の「クセ」によって、V入賞率及び継続率は大きく異なった事も重要だ。中には、「ヤクの名機」(←田山プロ流にいうと)ともいえる、継続率バツグンのクセ良台もあったのだから…。
さて、大当りになると、再び回転盤の周りにストッパーが出現して、玉を3個まで貯留する。4カウントで即・貯留解除となり、貯留玉は手前のV方向に一気に転がる。ただ、貯留玉が少ない上に、玉には左向きの力が加わっている為、この時点でのV入賞率は低い。
最初の貯留解除が終わると、再び回転盤にストッパーが現れて、今度は玉を6個まで貯留するようになる。これは、継続率重視の「2段階貯留システム」なのだが、実際は玉が6個貯留されても、V継続はおぼつかなかった(もちろん、ネカセやクセにもよるが)。
これは、ヤクモノの特性上、(1)貯留時も回転盤が動き続けた為、玉の貯留バランスが非常に悪かったこと(回転盤の左側に偏って貯留される)、(2)回転盤上の突起が貯留玉の動きを不安定にしていたこと、などが挙げられる。なお、(1)については、大当り時はストロークを弱めにして、玉を左の羽根からのみ拾わせれば、多少はバランスの良い貯留に出来た。
さて、ここまで読んで、大当り時の「2号」と「1号」の違いが、お分かりになっただろうか。1号をご存じない方の為に、両者の違いを簡単に比較する。
「1号」の場合、大当り時4カウントまではストッパーが出現せず、貯留は行わない。そして、5カウント以降はストッパーが出現して、最大6個の貯留を行う。つまり、前半の4個はハズレ入賞が多く、実質的な継続チャンスは貯留開始後(5カウント後)となる。しかも、貯留機会はその1回のみである。
これに対して、「2号」の貯留機会は前半(3個)・後半(6個)の計2回ある。これが、先程も触れた継続重視の「2段階貯留システム」であり、1号との最大の違いといえる。
ただ、「2号」の前半(3個貯留時)のV入賞率は、ハッキリ言って良くなかった。「1号」の無貯留時(4カウントまで)のV入賞率に毛の生えた程度、といっても良い。
一方、後半の6個貯留は条件が一緒だが、1号、2号とも貯留玉がVを外すケースが目立った。やはり、ボイジャーシリーズは「パンク」なしには語れない台、という事になろう。
それでも、好調時には嘘のようにポンポンと継続して、一気に最終ラウンドまで届いてしまう事もあったのだから、アナログなハネモノの「妙」としか言う他はない。
なお、2号の3個貯留時における「弱点」を補うための攻略法も、一応存在したので紹介する。
それは、3個貯留時に、3個目の玉を貯留したら「右打ち」に切り替えて、4個目の玉を右の羽根から拾わせる、という方法である。
こうすると、右の羽根から拾われた4個目の玉が、反対側の上段ステージ左側から落下して、回転盤上の3個の貯留玉とぶつかって、玉突きした玉が中央に流れてV入賞し易くなる、という訳だ。
もし、4個目の玉が上段ステージ右側から落ちると、回転盤の右サイドに落下した玉は、貯留玉に影響を与える事が出来ない。なので、理屈としては非常に有効な打法にも思える。
ただし、この打ち方で確実にV入賞する保証はなく、たとえ継続率が上がったとしても、1ラウンド当りの出玉が大幅に減るという欠点も併せ持っていた。
普通に打ってパンク覚悟で玉を多く拾わせるか、継続率重視で出玉の少ない右打ち攻略を使うか…好みの判れるところではあった。私自身は、何の技も使わずにパンクさせまくっていた。
そんな訳で、ボイジャー2号で常勝する最大の攻略法は、やはりパンクの少ない「ヤクの名機」(←再び田山プロの言葉を拝借)を見つける事ではなかったか。