Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

新しい世界

2014-04-13 00:36:15 | 素敵な現場
こんにちは。2日連続 シニア担当のYokoです。


ちょき ちょき ちょき ちょき 紙を切る

四角い紙が まあるくなった

ちょき ちょき ちょき ちょき 紙を切る

四角い紙が 三角になった

ここも ちょきん こっちも ちょきん

開いてみたら お花になった。。



4月のワークははじめて「お道具」を楽しみながら自分を表現する時間にしました。

お道具は「はさみ」

手の動き 視力 安全を考えて ワークではメインにしたことはありません。

その事を改めて私自身考えてみました。


私たちは日常さまざまな道具を使用しています。

鉛筆・はさみ・包丁・編み棒・針・ドライバー・ハンマー 他にもその行為をする時に必ず必要なもの たくさんあります。

だけれども高齢になると使い慣れたお道具が生活から離れていく・・・・



「はさみ」はみなさんがはじめて出会ったのはいつですか?

幼稚園や小学校低学年の時のお道具箱の中に必ず入っていて、きっちゃいけないものまで切っちゃったりして・・

(私は何か家電のケーブルを切ったような・・・あははは)

そして最近はどうですか? 何かキリましたか? PCやモバイルの「切り取り(カット)」ではなくて。

片手で紙を持って、片方で切る感触 その時の音 変わる形 ・・・



「はさみを日常も使っているわ?という方いらっしゃいますか?」

手をあげられたのはお二人でした。

他の方は・・・うーーん?と首をかしげる

お二人には共通してる事がありました。それは「お裁縫」

なるほど。 そのうちのお一人の方はマイハサミもお持ちです。

そしてそれ以外の方の日常に・・・はさみはないという事でもあります。



確かにしっかり握る力が衰えている方もいますが、それは使えないという事ではない。

また片麻痺の方だとしても、何か支えやサポートがあればチャレンジ出来る。

もちろん全く使いたくないという方もいるだろう。

その時はその事に寄り添っていこう。

私がワークを考えた時に決めたことはこれだけでした。



はさみをお出しすると、もちろんみなさん当たり前に握り、そして目の前の新聞をちょきちょきちょき

丸くきったり、折りたたんでたくさん作ったり、広げてながーーーく切ったり

もうこのはさみと紙だけで みなさんはちょきちょき ちょきちょき 切り込みを細く入れる方も

はさみに慣れた所で 綺麗な和紙をたっぷりとテーブルに広げると

皆さんすぐに折りたたんで ちょきちょき ちょきちょき

マイハサミをお持ちのMさんは「お花!!」と 切り絵を既にはじめていました。

あっちこっちで 私が思ってもみなかった形が まるでハサミの魔法にかかった紙達がテーブルに広がって行きました。



「切るって行為で味わうものはなんでしょうか? 今切ってみてどんな事を感じましたか?」

 あたらしいものになるわね。

 気持ちいい! 楽しいわょ~!!

 変化!!

みなさんの言葉が飛び交います。


「ここにいる全員が共通している「切る」ってなんだと思います?」

 全員?? みなさん うーーんと首をかしげて考えます。

 縁を切る? 爆笑

 ・・・ (これを読んでいるみなさんも一緒です)


答えは「へそのうを切る」

私たちはへそのうを切って(もちろん赤ちゃんが切るわけではありませんが) お母さんと離れて 新しい自分の世界を生きる

「切る」という行為は「新しい世界」にシフトする行為でもあるのですよね。


この日 みなさんが夢中になって作った「新しい世界」 

色とりどり 形もいろいろ 重なりあったり バランスを取ったり 

自分で切って自分で貼って 皆さんはご覧になって何を感じるでしょうか。。。


 
 シンメトリーの美しさ ひたすら場所にこだわっていました。


              
               いつもビーズやキラキラをモリモリする女性
               彼女の中のこんなにも静かで整っている美しさ


                      
                        ずっと笑顔でいたTさん ふふふって 


             
               「切絵のたのしさ」わかわかしさ満載です!



 「富士山はね下から支えているんだよ」大声でわっはははって大喜びのSさん


ねっ。あなたも何かちょきちょきしたくなりませんか??

下絵も見本もない あるのはシニアの皆さんのイメージ力 平均年令85歳のアーティストたち

アートの力 すごい!


そして もう一つ別なお話しがあるんです。

アートだからこその 出来事

それはまた今度。。




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