Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

待つ時間

2016-09-28 21:18:55 | 素敵な現場

 先日、シニアの現場にご参加くださった職員さん、

 「表情が全然違いますね。始まる前と今終わった後と。今のほうが断然やわらかい。」

 平均年齢がおそらく90歳くらい?!の皆さまが子どものころの想い出を活き活きと

 語ってくださる、その時の目の輝きにいつもはっとします。

 身体は昔よりは自由がきかなくなってきている、かもしれないけれど想い出に遊んでいる時、
 皆さまの表情はとても豊か。

 子どもの頃に飼っていた犬やウサギのこと。
 お母さんとの会話のこと。
 家の前に生えていた柿の木のこと。
 故郷の山や川で遊んだこと・・・

 アートに使う自然素材や写真などに触れることで様々な想い出や場面が浮かんでくるのでしょう。

 私たちセラピストは、そんなシニアの皆さまの心、気持ち、想い出に寄り添います。

 その一方で、お話も制作もされない方もいらっしゃいます。
 どうしたらよいのだろう・・・と戸惑うこともありますがそれはその方のペース、ととらえています。

 その方の気持ちに思いを馳せながら待つ時間。

 物理的に待つこともあれば少し離れる等空気を変えたりすることも・・・

 この待つ時間がその方はもちろんのこと、実は自分自身をも大事にしている時間なんじゃないかな・・・
 と思うようになりました。

 作品は素材やセラピストとの関わりを通して、たくさんお話して、気持ちが動いて、通い合ったという結果のようなもの。

 この場を創りだしてくれている仲間たちと一緒に、そんな時間をシニアの皆さまと過ごしています。

 今回のテーマは「手のひらの月」

 久しぶりに粘土を使いました。

 初めてこの場にご参加くださったS様。
 粘土の感触を楽しみながら大きな三日月を作ってくださいました。
 「ちょっと大きかったかしら、でも良い作品ができたわ」と
 はにかむ笑顔は少女のようでした。
 

 うさぎの切り絵から、昔飼っていたうさぎのことをたくさん
 お話してくださったT様
 粘土の三日月の向こうに満月を背景に向かい合う二匹のうさぎ
 「なんだかロマンチックですね」とお伝えすると、
 ふふっと笑みをこぼされ、「そう、ロマンチックなの」と一言。
 

 「寝てても起こしてください」と職員さんにお願いされるほど
 この時間を楽しみにしてくださっているA様
 昨年の作品も覚えてくださっていたそうで(昨年のこの時期も
 テーマは月でした)去年と違う作品にしたいわ、といって
 できたのがこちら。ユーモアあり、可愛さありの作品になりました。
 
 

 シニアアートワークセラピスト  Shikibu
 

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