心に笑顔

「あら、笑っているわね」

「本当ね。こちらからみるとほら笑っているように見えるわね」

「こう帽子を被っているようにも見えるわ」



6種類の色水を雨に見たて、心に鮮やかな彩りを染めていくワーク。



正方形の和紙に何かを描くというよりも

一筆　一筆　たっぷり含んだ色水を

ぽとん　ぽとんと和紙に染み渡らせていく。

その「ぽとん」が「ふわぁ～」に変りゆっくりと色が紙に広がっていく。



「綺麗ね」



ピンク　青　黄色　むらさき　etc・・

たちまち和紙は優しい色に染め上がっていきました。



私たちのアートセラピーの時間ではその方のやりたいことを尊重します。

その方がこうしたいという仕上げにしていく事もあります。

それが満足感や達成感に繋がるからです。



「はさみを貸してください」


男性は和紙をそのまま1枚使うことにしました。

そうして他の皆さんが台紙にしている紙を細かく切って

和紙の周りに額縁のように貼っていきました。



色とりどりの雨が降り、みなさんの作品には紫陽花の押し花が咲いていきます。



「僕は文字を書いたからなぁ～。紫陽花は・・・」



出来上がった作品には　ぽとん　ぽとんと染み渡らせた色の世界の中に

一文字が書かれていました。


「心」


悩まれた挙句　少しだけ紫陽花を男性は飾りました。

それのことでよりその文字を強調したようです。





「こころにえがお」


男性は皆さんの反応に驚かれていました。



雨は大地に生きとしいけるものに潤いを与えます。

私たちは自分たちの気分やその時の様子で時に、

雨が重たく灰色のように感じたり、やわらかい透明に感じたり。

北原白秋の「城ヶ島の雨」ではその時の白秋の気持ちを「利休鼠」という色で詩っています。



ならば色水のような明るい色を心に取りいれてみる。。

ふわっとやわらかく　ふわっとあわく

こころにうるおい


そして


「笑顔が咲いた」


そして


「みんなも笑顔になった」



そんな雨の日のお話しでした。









シニア担当Yokoでした。