Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

言葉で伝わること、言葉がなくても伝わること

2014-02-03 12:20:58 | 素敵な現場
鬼は外、福は内 今日は節分ですね
 
皆さま、こんにちは。

シニア担当のShikibuです。

先日行った高齢者介護施設での今年初めてのクラスでのこと。

・・・の前にまずは遡ること約3年前、私がこの現場にサポーターとして初めて参加したときのことです。


「こんにちはー」と顔は笑顔を浮かべていた(つもり・・・)でしたが、そもそも一度にこんな大勢の高齢者の方と接するのが初めての私は内心ドキドキ、ちゃんとできるだろうか、と不安もいっぱいでした。

そんな私がご挨拶したのは優しい笑顔を浮かべてくださったA様、当時ご夫婦でのご参加で、傍らには元気な旦那様がいらっしゃいます。

A様は初めて会う私を優しい眼差しで見つめ、手をギュッと握ってくださいました。

そこに言葉はありません。

しかし、A様が握ってくださった手から、その優しい眼差しから、じんわり温かい気持ちが流れ込んでくるのを感じたのです。

言葉が無くても、伝わるもの、通じ合うものってあるんだ・・・

実はこの時ちょうど311(東日本大震災)の2週間後位で、私自身まだ動揺しており気持ちが定まらないまま日々過ごしていた時でもありました。

そんな中でA様から言葉はなかったけれど「大丈夫よ」と声をかけていただいたような、安心感を感じたことを思い出します。

この時の体験が私自身にとてもとても、大きな影響を与えてくれています。

+ + + + +

そして先日行った今年初めての現場、

タイトルは、

「鬼は外、福は内! 2014年福を呼ぶアート」

調べるともともと節分とは各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のこと。「季節を分ける」ことをも意味していて立春(毎年2月4日ごろ)の前日が「節分」を指すようになったのは江戸時代以降だそうです(Wikipediaより引用)
季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられており、豆まきはそれを追い払うため、厄除けの意味があるそうです。

年の始まりに厄を払い、皆さまがますます健康で幸せな年となりますように、という想いを込めたワークを実施しました。

「鬼は外、福は内」として実際に鬼が皆さまの間を練り歩き、「鬼は外」の掛け声で退散してもらい(厄払い)、次に福の神がやってきて、皆様に福を告げる御札を配って歩く、というウォーミングアップで皆さまのテンションがぐんとアップ!

その流れで用意した松竹梅やマンリョウといった植物、早咲きの桜、そしてトッピングとしてお出しした鶴亀、富士山、招き猫、七福神、だるま、等々からお好きなものを「ますます○○になる」という意味を持つ縁起物の「枡」に入れていただきました。
いつもお元気で皆の人気者のM様、ご自身で作られた作品に向かって「ありがたい感じがするね」と手を合わせてくださいます。
サポーターも一緒に手を合わせました。

そんな中、今回ご参加のM様
自らお話してくださることは無く、こちらが話しかけると視線を合わせて下さるなどわずかな反応を示してくださいます。

普段、キャッチボールのような双方向のコミュニケーションに慣れている私たちにとって、こちらが何かお話しても反応が無い、あるいは薄い・・・という状況に、最初は戸惑いを感じます。

「お話してもどこまで判っていただけているのだろうか」

「お返事難しいと頭では分かっていてもなんだかさみしい・・・」

「M様がお好きなものを選ばせていただけているか不安」

そんな想いがサポートする私たちの頭の中をぐるぐる渦巻いている状態・・・

とはいえ何とかM様の気持ちと繋がることができないかと一生懸命お声がけします。

が、不思議なことにそんな風に私たちサポーターの頭やココロの中と言葉が一致していないとき、M様は困ったような、戸惑ったような表情をされるのです。

逆に、先々月、M様はほぼ最後、皆さまの作品をご覧いただく段階からの参加だったのですが先月は最初からご参加くださいました。それが私にはとても嬉しくて「M様、今日は最初から一緒にご参加いただけて、とおっても嬉しかったです」とお声がけすると、ぱあっとお花が咲いたような笑顔を見せてくださいました。

今回もサポーターのFさんがM様との関わりの中で試行錯誤を重ねた挙句、「M様が感じていること、思っていらっしゃることを私は知りたいです」と彼女が心から思ったことを伝えたところ、M様の表情が変わり、すっと視線を合わせてくださったとのこと・・・

表面的な言葉だけではなく、私たちの気持ちや想いと言葉が一致した時、M様に届いている、ということではないか・・・

考えてみるとこのことはM様に限ったことでは無いはずなのです。

普段キャッチボールのコミュニケーションの気軽さの中でつい鈍ってしまっているかもしれない、けれど大切なこと、にこの現場では気づかせていただいています。

言葉を通して、また言葉以外で触れ合い、関わり合いながらサポーターとして、今はファシリテーターとして、この現場を皆さまが心から安心して楽しめる場を作ろう、という想いは約3年前の私の原体験から発していて、今もそれに変わりありません。

いつも「みんな可愛い~」と明るく賑やかなN様がクラスの最後に「ここにいるとラク・・・」と素の表情でお話くださっていたと聞き、ますますその想いを新たにした今年初の現場でした。

最後に皆さまの作品をご紹介いたします。

M様の作品です。 ご自身で手を動かされることが少ないため、サポーターがM様の目や表情のかすかな動きからトッピングや配置など探ってゆきます。簡単ではありませんが、言葉以外のつながりの奥深さを感じます。



一度お席を離れてしまわれたH様。しばらくすると戻ってこられたのでタイミングを見計らい、再度お席へご案内。「美」のお札を引かれて笑顔を見せてくださいました。作品はサポーターの声がけで早咲きの桜がひと枝。
H様にとって、お花が咲くような、美しい一年になりますように。


皆さまの作品です。
お一人お一人、ユニークで豊かな「今年一年の福を呼びこむ枡」が生まれました。
皆様がますます健康、ますます豊かでますます幸せな一年になりますように。

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