泉心堂治療院

せんしんどうちりょういん

ウイルスと情報:道の医学

2020年05月27日 | Weblog
古来より、人と人が会う、人々が集うことは情報伝達の重要な手段でした。

人と人が会うことで友情や愛情がはぐぐまれ、

人々が集うことで社会が成立しました。

同時に負の側面として、人と人が会う・集うことで感染症も広がり、

これまでにも幾度となく人類を危機に陥れました。


ウイルスは、感染した生物の細胞内で遺伝子とその乗り物となるたんぱく質の殻を増殖・生成し、

別個体の細胞へと移動するという感染・増殖・伝播を繰り返します。

遺伝子は情報です。

遺伝子によって前の世代から次の世代に情報は引き継がれます。

つまり、ウイルスの伝播・流行とは、情報の伝播・拡散でもあると思います。


今回の新型コロナウイルスのように、

本来、動物にしか感染できなかったウイルスが、突然人間にも感染できるようになることがあります。

これは、ウイルスの増殖の際に遺伝子の変異が起こり、偶然に人間にも感染できる能力を獲得するためです。

つまり、遺伝子という情報は、偶然とはいえ変革することによって、新たな世界へ拡散が可能となるのです。


今、そのウイルスによって人と人が会う、集うことが制限されています。

つまり、ウイルスの流行という負の情報拡散によって、我々の貴重な情報伝達手段が脅かされているのです。

我々が元のように人と会い、集うためには、ウイルスを撲滅するか、集団で免疫を獲得するか、

ワクチンが開発され万人に行き渡るなどされなければなりません。

つまり、社会からウイルスという負の情報を排除するか、ブロックできるようにする必要があるのです。


もちろん、人と人とが接することなく情報を伝達する手段は古来よりあります。

例えば古くは太鼓などの音を使った手段。のろしなどの視覚での手段。

手紙、電報、無線、電話、FAX、新聞、ラジオ、テレビ・・・

そして現代にはネットがあり、業種によってはリモートワークも可能です。

これからは人と人が接しない情報伝達の機会が更に増えていくのでしょう。


必要に迫られてとはいえ生活や仕事のスタイルを変えてみると、

これまでに当たり前と思われていたことへの様々な矛盾が浮き彫りとなってきています。

ウイルスの遺伝子が変異し、新たな生物種の細胞への感染・増殖という適応が可能となるように、

ウイルスという情報によって、我々の生活スタイルも大きな変革と適応を求められています。


「道」も古来から情報伝達に重要な役割を果たしました。

道を通って誰かに会いに行く、集会に参加する。

道によって手紙が運ばれる。

そして道が塞がると、情報が伝わらない、伝えられないことになります。

人間の身体も同じです。

身体には様々なルート、つまり道があって情報が駆け巡り、生命を維持しています。

古の人々は、この情報を「気(正気)」と総称しておりました。

しかし同様に、ウイルスのような負の情報もその道を通って広がってしまいます。

古の人々はそれを「邪気」と呼び、病気の原因と考えておりました。

邪気を追い出し、気(正気)を滞りなくめぐらせる。

つまり、必要な情報伝達を妨げないこと。

負の情報は直ちに遮断・排除すること。

これによって生命・健康の維持が保たれると古の人々は考えたのです。


我々人間は、「病(やまい)」を得ることによって、

これまでの生活、生き方、健康の価値などを見直すきっかけなることがあります。

つまり「負の情報」によって、これまでの道の矛盾や誤りに気づき、

「正しい道」に修正する機会を得ていたのです。

新型ウイルスという負の情報によって、社会の様々な矛盾が浮き彫りとなったように・・・

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夢と現実 | トップ | 「無用の用」と「道の医学」 »

Weblog」カテゴリの最新記事