あれも、これも途中で、気づけば何年もたっていた作品たちを、一気に引っ張り出しました。
来月の写本装飾展に向けて、仕上げるぞ~!と意気込んだものの、仕事でも目を使い、趣味でも目を使い、装飾でももちろん目を使い・・・昨日は、かすむ目で出かけたら段差に気づかず、見事に尻餅ついて、今日は変な筋肉痛。
背は丸まり、目はかすみ・・・と中世写本の奥付に書かれた言葉が頭をよぎります。
ところがどっこい!この奥付の日本語訳を見つけてしまいました。
1091年4月18日、黙示録注解の写本を書き終えたスペインのシロス修道院の修道士ムーニウスによって書かれた奥付。
「筆写の仕事は、結局それを読む人々を啓発しようとするものです。(読者のなかには)肉体に躓くものもあれば、精神において優る者もあります。あたながそのどちらであろうと、あなたによかれと思って仕事をする者の作に注意をはらってください。・・・もしあなたが、写本がどのように書かれているのか、それについて知るところがないなら、それを辛いこととは考えないでしょう。しかし、あなたが詳しい説明をお望みなら、それは厳しい労働だといいましょう。(筆写していると)目はかすんできますし、背は丸まります。肋骨は軋みます。胃は圧迫されます。感情は乱れ、体全体が弱まります。ですからこれを読む人々に申し上げます。これらのページを丁寧にめくってください。文字を指でなぞりながら読まないでください。というのも、大地の豊かな実りを雹が台無しにするように、心無い読み手(の指)が文字も写本も損なってしまうからです。船人が最後の港を喜ぶのと同じように、私たち写字生は最後の一行を記す時に喜びが増すのです。常なる神の御加護がありますように。」安發和彰訳『世界美術大全集』より
ただの筆写の愚痴ではなく、本の扱い方を書いたんですね。
それにしても、昔の人の文章は、なんと詩的なことでしょう・・・見習わなきゃ。
Moo