Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

ロマン・ポランスキー監督「ゴーストライター」

2013-09-23 18:35:53 | 日記
 ラスト・シーンの秀逸さ。うーんと唸ってしまいます。直接カメラを向けなくても何が起きたか
ハッキリ解かります。こういった撮り方であるから余韻が生まれ、画面がフェードアウトしてエンドロールが始まっても席を立つことが出来ないのです。この様に100%監督のセンスとしての画面を観られるのが映画のもうひとつの楽しみ方です。全篇どんよりとした空の暗いトーンの画面で物語を暗示してサスペンス感を盛り上げます。少しずつ謎に迫っていく主人公がそれと同時に危険な領域に入っていく緊迫感のある演出の確かさ。
 ポランスキー監督の手腕が全篇に溢れているミステリー映画です。
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トマス・H・クック「緋色の記憶」

2013-09-23 14:20:06 | ミステリ小説
老弁護士の回想から物語りは始まる、とても綺麗な文章のミステリーです。ある夏の日緋色のブラウスを着た若い一人の女性がバス停に降り立ちます。校長を父に持つ少年ヘンリーの住む小さな村。その村の学校に新任教師としてやって来たミス・チャニング。やがて同僚の英語教師と親密になり間に挟まれた少年ヘンリーは、チャニングと尊敬する教師だが妻子ある身でチャニングと噂になる彼に複雑な思いを抱きます。そのヘンリーが彼の住む黒池のそばのボート小屋に彼の手伝いで云ったある日見たもの。それはナイフとロープとビンに入った砒素です。やがて起きる悲劇。関係者の証言や裁判の様子を織り交ぜながら老弁護士ヘンリーの回想は続きます。あの日本当はいったい何があったのかと・・・。1997年度MWA最優秀長編賞受賞作です。
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スコット・スミス「シンプル・プラン」

2013-09-23 13:35:46 | ミステリ小説
ある日思いがけない大金を手に入れたら、それまでの日常はどう変わっていくのだろうか?兄とその友人との三人で雪道を両親の墓参りに向かっていたハンク・ミッチェル。
偶然見つけた小型飛行機の残骸。中にはパイロットの死体と440万ドルの現金が詰まった袋。誰も知らない440万ドル。
直ぐ分けることを主張する二人に反対したミッチェルだが、誘惑に負け一定の期間金を保管して様子を見て、その後三人で分けると云うごくシンプルな計画を二人に提案する。だが、この日からミッチェルの日常は狂いだしていく。平凡で善良な一人の男が、妻をも巻き込んで後戻りの出来ない深みにはまり込んでいく様子が、人の本性や欲望が周囲の関係を壊していく残酷さが静かなタッチで綴られていく。血で汚れた手をしたハンク・ミッチェルに作者のスコット・スミスはこう云う。悪人になろうとして悪事を働くものはいない。
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ナオミ・ワッツの「イースタン・プロミス」

2013-09-23 07:26:14 | 日記
10月公開予定の「ダイアナ」に主演しているナオミ・ワッツが出ているこの映画。サスペンスとリアルな背景の脚本で衝撃を受けた作品です。もともと、ナオミ・ワッツという女優さんが好きです。「フェア・ゲーム」や
「ザ・バンク堕ちた巨像」、「21グラム」、「マルホランド・ドライブ」などの彼女の演技の巧さに酔い知れます。

この映画もフイルム・ノアールの様相から、後半一転して観る者を驚かせるヴィゴ・モーテンセン演じるニコライの秘密が明らかになったり、続くショッキングなアクション・シーンも怖くて正視できないほどのリアルな演出によるアクション・シーンで観るものを圧倒します。マフィアの実態を描きただのアクション映画にはない雰囲気とサスペンスがこの物語を盛り上げます。見逃している方にはおススメしたい映画です。
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「情婦」このタイトルってどうなの・・・?

2013-09-23 05:45:21 | 日記
日本公開が1958年3月の映画です。笑ってしまいますがこのタイトルのせいで、よくある大人の男と女の愛情のもつれなどを描いた、つまンない物語と勘違いしていました。知ってビックリです。尊敬するアガサ・クリスティ女史の「検察側の証人」が原作の映画化とは。これまで観なかった自分が悪いのか、このタイトルが悪いのか。これまでの時間を返せー!と声を大にして叫びたい気分です。 監督 ビリー・ワイルダー 出演 タイロン・パワー
チャールズ・ロートン
マレーネ・ディートリッヒ


最後のドンデン返しまで充分に楽しみました。さすが巨匠ビリー・ワイルダーです、ムダのない演出と俳優たちを際立たせる撮り方で観る者を魅了します。マレーネ・ディートリッヒという女性は名前だけは知っていましたが、声や姿を拝見するのはこれが初めてです。美しい女性でこの役どころも彼女にピッタリでした。スリリングな法廷劇ですがいま観ても少しも古臭く感じません。良作は時を経ても鑑賞に堪えうるという証拠なんでしょうか。そう云えば「スター・ウォーズ」などは今でも何回観ても飽きずに楽しめますもンね。
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