Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

長沢 樹の「消失グラデーション」

2013-09-17 13:29:59 | ミステリ小説
屋上から転落した少女が忽然と消えた。その謎を追うバスケ部員の椎名と放送部員の樋口。
トリック自体は目新しいものではなくミステリーとしては弱い部分でしょう。でも物語、つまりお話として読ませるところはなかなか上手いと感じさせる作家です。
それは第一に登場人物の性格付けの上手さです。探偵役の椎名とワトソン役の樋口。この二人の距離がとても面白く感じますが、それにはある秘密が隠されています。
そういったものや他の登場人物にしても愉快な連中ばかりで楽しく読めます。
謎解きとスポ根物語のようなバスケットについての熱い情熱を感じさせ、全体にブレの無いストーリーの構成でよく出来たミステリーと評価出来ると思います。





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夏を殺す少女 アンドレアス・グルーパー

2013-09-17 10:17:58 | ミステリ小説


妻に先立たれ娘と過ごす時間を優先したため州刑事局からライブッイヒという町の刑事警察の機動捜査官となったヴアルター・プラスキー。そして暗い過去の出来事を引きずっている金髪の美人弁護士エヴェリーン・マイヤース。オーストリアの弁護士とドイツの刑事それぞれが別の場所で一見事故と思われる出来事を調べていくと一本の線で繋がることに気付く。点と線の解明と云うミステリーとしてはオーソドックスな手法だけれど、人間味溢れる二人の人物設定とスピーディな展開に引き込まれます。
最後には二人に微笑ましいエピソードも用意されていて読後感もなかなか良いものでした。周りの意見に妥協せず自分を信じて突き進む二人の行動力が事件を解決する大きな要因で、この辺もテレビのミステリードラマみたいで読みやすく感じるところなんでしょう。
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依井貴裕の「夜想曲」

2013-09-17 09:50:35 | ミステリ小説

正統派ミステリーです。仕掛けに凝った本格モノで、読者への挑戦状としたページまでさまざまな伏線を張り巡らしてあります。
謎解きの回答篇でも整合のとれた回収で驚きの真相が待っています。山荘での連続殺人モノですが本格ファンにとってこの上ないシチュエーションの舞台で、さて犯人は?
とくる上質のパズルミステリーです。好きな音楽をバックに美味しいcoffeeを飲みながら秋の夜長を楽しむにはピッタリの一冊でしょう。
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初野晴の「退出ゲーム」

2013-09-17 09:18:16 | ミステリ小説
よくある青春ミステリーと云った体裁だけれども、軽いチャラチャラした
内容と思ってはいけません。一般的にはコージーミステリーと云えるでしようがその中身は本格モノです。ミステリーのアイテムとしても意外な物を使って深い話を見せてくれます。作者のスタンスと切り口の爽やかさに唸ります。高校生が主役のミステリーですが甘くはありません。謎解きと感動と彼らの学園生活に一種のノスタルジーを感じます。結局は作者のセンスです。そう感じる楽しくて面白い一冊でした。
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貴志祐介の「青の炎」

2013-09-16 12:46:57 | ミステリ小説

完全犯罪を考え実行するひとりの少年の動きを

追う展開のミステリーです。

しかし、他人とのコミニュケーションが上手く取れない

人間として未成熟な幼さをもった彼に

あまり共感できずにいたので

読み終えた感想は虚しさが残るばかりです。

逡巡しながらも決行した彼ですが罪の意識に苛まれて

完全犯罪の計画も思わぬところから綻びが生じます。

後戻りの出来ない道に足を踏み入れた彼の最後は

予想通りでした。

少年らしい潔癖さと正義感。心の中に青い炎を燃やして母親と妹を守ろうとした彼の

行為は、彼の抱える問題をきっちりと描写することで納得させますが

友人の言う「瞋恚は三毒の一つなんだよ」という言葉が結局彼の運命を表わしています。

倒叙形式のミステリーですが本格ファンにすれば少し物足りないかも知れません。
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