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遠江・青田山砦と杉谷城 今川氏真が籠る掛川城攻めに徳川家康が築いた付城

2019-02-17 | 歴史
青田山砦と杉谷城は静岡県掛川市にあります。杉谷は「すぎや」と読むようです。
 どちらも徳川家康が今川氏真が籠城する掛川城攻略のために築いた付城です。杉谷城は都市化により完全に消滅して、遺構を見ることができませんが青田山砦は遺構が残ります。
 青田山砦は塩の道が通る東曲輪と大堀切を挟んで西曲輪が残ります。今回は時間の都合で東曲輪のみ訪れました。
青田山砦は徳川家康が陣を敷いたので陣場峠と呼ばれるようになったようで、主郭には「陣場峠」の案内板が立っていました。


青田山砦から2km北に掛川城が見える。 遮るものはない!
掛川城は独立した山の上に築かれているため、いくつもの付城によって外部と遮断されました。青田山砦からも丸見え状態でした。


青田山砦 東曲輪主郭の削平地
主郭部を塩の道が通っていましたが一部道が通行困になり迂回路が整備され「塩の道」とされています。そのモニュメントと陣場峠の案内板が立っています。


杉谷城も眼下に見えるが、都市化で所在地跡の確認しかできない
『静岡県の中世城館跡』を参考に現地を訪れてみたが商業施設と住宅になっていて、遺構は消滅し残念ながら城郭の面影は少しもありませんでした。


主郭西側下に今は茶畑となった曲輪が見えている 塩の道はここを通っていたようだ


青田山城の見どころは、なんと言っても大堀切です!
東曲輪と西曲輪の谷を掘り込んで堀切を設けています。自然地形の谷を利用したものだと思われます。古くは峠道として塩の道がここを通っていたという説もあるようです。今は峠の下をトンネルが抜けて、車が走ります。
 谷筋は一面が茶畑となりましたが、往時の地形を残しているように思いました。


茶畑を登って大堀切に達しました。堀の面と茶畑の面との段差が気になります。
 帰宅してから『静岡県の中世城館跡』を見直してみると、この部分は枡形だったとなっていました。不自然な段差の理由が判りました。大堀切が築かれて両端に枡形の段差ができたので、塩の道が陣場峠に移ったのかと想像してみました。


大堀切の核心部 堀の両側の岩盤が削られているが、崩落した土砂でかなり埋まっている
大堀切が機能していたときには、堀の両側の法面は垂直に近い状態に整えられていたのではないかと思いました。今はかなり土砂で埋まっていましたが、圧巻のスケールです! まさに見どころ。

青田山砦は塩の道の探訪と同時に訪れましたが、思ったよりも見どころが多く不十分な見学になったのが少し心残りでした。