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柏尾城 美濃 その2 畝状竪堀群と謎の長大な竪堀地形を見学

2023-05-23 | 歴史

柏尾(かしわお)城は岐阜県養老郡養老町柏尾にあります。城主・城歴の詳細は不明のようですが、山麓にあった柏尾寺(柏尾廃寺)が信長によって焼かれたと伝わり、同時期に柏尾城も落城したと考えられます。その2では、山上の柏尾城の城郭遺構に残る石垣造りの小曲輪、畝状竪堀群や東側山腹に残る長大な竪堀地形などを見学します。今回の参考資料は「岐阜県中世城館跡総合調査報告書 第一集」岐阜県教育委員会2002 などです。
※柏尾城 その1は→こちら


柏尾城 畝状竪堀④⑤⑥など竪堀地形が多い  ※Ⅰ郭 Ⅱ郭と堀切Aは、その1にて
 柏尾城は東側と西側は、這って登る急角度の岩場とガレ場ですが傾斜の緩い西側と尾根続きの南側は竪堀や大きな堀切で厳重な備えが設けられていました。Ⅲ郭とⅣ郭はガレ場と岩盤の急斜面に無理やり造ったような小平場でした。


柏尾城 左に竪堀① 右に竪堀②  西側の堀切Aから
 南尾根からの侵入を防ぐのに大きな堀切Aだけでは心もとないと考えたのでしょうか、竪堀①と②の2条の竪堀も加えて守りを固めていたと思われます。竪堀地形⑦と⑧は後述します。


柏尾城 竪堀④と⑤ 手前に通路 東上から
 斜面の角度が比較的緩い西側斜面には3条の竪堀が設けられていました。東側斜面は急角度の岩場とガレ場で通路は設けられないので西側に通路を設けたと思われます。


柏尾城 竪堀⑤ 東上から
 斜面の角度は緩いとはいえ西側斜面も岩の多いガレ場で、そこに竪堀が設けられていました。
 

柏尾城 竪堀⑥  東上から
 西側斜面の竪堀は④⑤⑥の3条の竪堀群が設けられ、西側からの侵入と南からの回り込みに備えていたようです。


柏尾城 小平場③ 北から 奥に3条の竪堀群
 小平場③はⅠ郭西下の通路の起点となっている幅の狭い平場で輪郭が不明瞭な地形でした。


柏尾城 Ⅲ郭  南から
 岩山を削り、東辺は石を積んで造り出した平場で、資料になければ気付かなかった遺構でした。東側は岩とガレ場で侵入が困難な地形ですが、念のため備えた郭でしょうか。


柏尾城 北尾根中腹のⅣ郭 西から 
 北尾根は急角度の岩の多いガレ場が続きますが、その途中にⅣ郭が在りました。尾根を削り北側に石垣を積んで平場を造り出していました。往時はこの方面に城道があったのかもしれませんが確認は出来ませんでした。ここも資料を見なければ気付かない遺構でした。


柏尾城 長大な竪堀状地形a、b、c
 カシミール3Dのスーパー地形機能でもa、b、cの竪堀状地形はある程度見えています。


柏尾城 竪堀地形⑦  西上から
 東斜面の下方迄続いている。


柏尾城 岐阜県CS立体図で竪堀地形⑦⑧と長大な竪堀状地形a、b、cを見る
 尾根の堀切、竪堀に見える⑦と⑧は下の方迄続いている様でした。堀底を辿ると東側の斜面の山下まで続いている様でしたので帰宅してから岐阜県CS立体図を見てみました。竪堀地形⑦は竪堀状地形bに⑧はcに繋がっているようでした。


柏尾城 竪堀状地形a 西上から
 下山途中に竪堀状地形aも確認しました。b、c同様に山下まで伸びているようでした。
竪堀状地形a、b、cは城郭遺構と関連津けるのはむずかしそうで、ガレ場の山腹で見かける伐採した木材を運び出した「ずり出し(ずらし)」の跡の様に考えましたがどうでしょう。※参考「ずり出し(ずらし)」佐久間城

柏尾城は滑り落ちる危険性に注意が必要でしたが、山下の柏尾廃寺と併せて、地山の傾斜や地質を考慮して築城された興味深い山城見学が出来て良かったです。