宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

シェリー酒

2006-06-02 12:08:07 | 酒のこと
我が家の庭に成っている、これ「へびいちご」って言うのでしょうか?




コミュニティサイトを通じて知り合った友達に、話の流れでシェリー酒のことを取り上げました。
すると、存外認知度の低いことに気づきました。
そこで、私の「シェリー酒履歴」のような雑感のようなことを書き留めておこうと思い立ちました。

教科書的なことは、サイトの各所にあるでしょうから、ここではごく卑近な実生活に即したお話にしたいと思います。


酒屋でも、大概の酒屋は、情報収集にさほど熱心ではありません。
私で中の上くらいだと思っています(ちょっとだけ謙遜・・・)。

ましてや、実際にあれこれ飲んでみる酒屋はそう多くは存在しません。

多分私も酒屋のオヤジしかやってなければ、こんなに色々飲み倒してこなかったと思いますが、幸か不幸か「ちょっとバー」のマスターという顔も持ち合わせますので、それなりにやってきました。
お客さんにゴチになったことも多々あり、それがまたアンテナが広がる要因であったりします。

そんな訳で、シェリーも最低限の一通り?やりました。

ちょっとだけ、その概要を述べます。
おおまかに言うと、スペイン特産のワインです。
ただ、その昔(大航海時代)、長い船旅に耐えられるように、ブランデーを加えて強いワインにしました。
ですから、酒のカテゴリー的には酒精強化ワインと言われています。
これが、酒税法的には、甘味果実酒の範疇に入ります。
(単純な果実酒=スティルワインとの区別の為かと思われます。)

二大特徴として、「フロール」と呼ばれる白い膜が出来ることと、「ソレラシステム」という独特の熟成方法があります。

熟成法によって「フィノ」と「オロロソ」に大別され、酒精強化時にフロールの成育限界(アルコール度数16%)を超えないように調整されたものがフィノ、超えるように調整されたものがオロロソとなります。
熟成法は試飲のもとに分けられ、やさしく、繊細な味のものはフィノ用に、ボディのしっかりしたものはオロロソ用などにまわされるようです。

フロールによって表面を覆われたままのフィノは酸素と遮断されるため薄い色調で繊細な味わいになるのに対し、オロロソはフロールが無くなる事により酸素と触れるため、色は琥珀色になり独特の芳香を持つようになります。

樽に移されたシェリーはソレラシステムという独特の方法で熟成されます。
段々に積まれた樽は、上にいくほど新しく、下に行くほど古いものです。
そして、出荷するときには一番下の樽から取り出し、減った分は上から補充します。
決して一度に大量に抜いたりはせず、少しずつ取り出され、少しずつ補充されるため、味は常に一定となるようです。
一番下の樽には焼き鳥屋のたれの原理で、かなり古いものが少量混じっていることになります。
因みに、最下段の樽をソレラといい、最上段の樽をクリアデラと言います。
熟成期間は最低でも3年、長いものでは100年以上に及ぶ事もある非常に長命なワインです。

これは、泡盛のクースの熟成法である仕次ぎと良く似てますね。

細かい製造法・熟成法の違いにより上記の二種類の他にも、「アモンティリャード」「マンサニージャ」「クリーム」など約25種類製法、1000種類ものラベルがあり、甘口、極甘口、辛口に大きく分類されますが、日本人に一番なじみがあるのは辛口のフィノタイプでしょう。



つい長くなりましたが、そんな中から、やはり代表的なティオペペから私は入りました。
カクテルにもそこそこ使いますので、必需品だったのです。

その良さに開眼したのは、もう10数年前の、高知市のとあるイタリアレストランでのことでした。

ちょっと自慢入ります。
その日の昼間に新阪急ホテルで開催されたカクテルコンペで優勝した私は、主催者の方々に連れられてそこで食事をしました。

「チャンピオン」と持ち上げられて有頂天だった私は、食前酒のつもりでティオペペを注文しました。
やがて出てくる料理、特にピリ辛の蛸の料理に抜群の相性を見出して、そのまま食中もそれで通しました。
これによって、辛口シェリーは食前酒という私の固定概念が取っ払われました。
しっかりとした辛口ですから、しっかりとした料理と良く合います。

ティオペペ 750mlティオペペ


甘口ならこれ、ハーベイ ブリストル クリーム。
世界で最も人気の高い甘口シェリーの傑作です。
よく冷やして食後かナイトキャップにいいでしょう。
まあ、梅酒を食前に飲むくらいですから、食前でもいいでしょうが、私は個人的には、食前に甘い物を口にするとその後の食事の繊細さが損なわれる様な気がしますので、やりません。

私はこいつと、イギリスのブルーチーズであるスティルトンとやるのがこの上なく幸せだったりします。

ハーベイブリストル クリームハーベイ ブリストル クリーム


さうさう
紹興酒の上等な奴は、シェリーと似た香りがします。
日本酒の古酒もそう。
特に日本酒の古酒は、その酒質や熟成法によって、フィノっぽくなったり、オロロソっぽくなったりに分かれます。
それはなかなか面白い味に仕上がるのです。

ですから私は決して日本酒を捨てるような馬鹿な真似はしません・・・




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2 コメント

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勉強になるなあ (Julie)
2006-06-02 21:41:24
同業の輩として一通り、中の中程度には知識欲にかられてかじったのですが、シェリーはなかなか飲む機会に恵まれず、3種類しか飲んだことがありません。

もっぱら、文字の知識だけでテイストを想像していました。

もともと、日本酒の古酒、紹興酒は好きでしたのでシェリーもいろいろチャレンジしたいのですがねえ。

いやあ、羨ましい。



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どうも (チュー太郎)
2006-06-03 13:37:36
酒好きの年寄りの結露です。

末路ではないですよ(笑)
返信する

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