宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

例えばこんな【13】

2023年09月08日 09時07分15秒 | つくりバナシ
例えばこんな【13】


 ケイにフラれたから、リコとは、それはなかったことにして継続。
そんな訳にはいかないだろう。
いくら【都合のいい女】でも、そういう訳にはいかない。
なので、リコにも事情を明らかに。
それが、僕という男のせめてもの矜持だ。

 すると、
「わかった。でも、最後にお願いがあるの。その人に会わせてほしい」
「え?でももうオレ、フラれてるんだよ」
「いいじゃない、そのフラれた人に私、もう一回フラれるんでしょ」
「・・・」
「西村さんにはそうする義務があるんじゃない?」
「だって、相手がどういうか」
「そこを知りたいの。でなきゃ、私は許さない」

 リコは、セックス上手だけでなく、突っ込み上手にもなっていた。
しかし、フラれてるとは言え、恋敵同士を会わせるなんて、アリか?

 でも、実を言うと内心【きっかけ】が出来たと思った。

「・・・ということになったんだけど、ケイ、どう思う?」
「どう思うって、シュンはどう思ってるの?」
「うん、望みは叶えるべきかと、でも、ジョーシキ的には・・・」
「そのジョーシキってなに?常識ある人が女を両天秤にかける?」
「いや、決してそんなつもりはなく・・・」
「いいよ、セッティングして」
「わかった・・・」


 どうも、僕は両方の女性の僕(しもべ)になったような。
そんなこんなで、中間点の井之頭公園で鼎談することになった・・・



「初めまして」
「初めまして」
「私が西村さんについては先輩に当たります。なので、一言訊きたい」
「ハイ」
「もう、いいんですか、西村さんのこと、別の人に乗り換えるんですか」
「乗り換えるって・・・」
「言い方が直截的ですみません、でも、私も真剣なので」
「真剣というのは」
「あなたが西村さんを捨てるのなら、私が西村さんを拾います」
「おいおい、オレは荷物か」
「あなたは黙ってて」
「そう黙ってて」

「今あなたにそれを明言する必要はあるかしら」
「それは卑怯です。私はいつもまっすぐに西村さんを求めてきました。それだけは自負できます」
「わかりました。あなたの覚悟に応えます。私はシュンが今でも大好きです」
「え?え?え?」


 ちょっとまて、そんな感じでいいのか?







「最後に西村さんに送ってもらってもいいですか」
「わかりました」

 そう言ってケイは帰って行った。


「リコ、ごめん」
「西村さん、飲ませて」
「え?」
「最後に。これが最後」
「わかった」


 公園を出てすぐの場所にある、昼間からやってる居酒屋に入る。
これまで何度かリコと訪れたことのある店だ。

「良かったね、ヨリがもどって」
「いや・・・」
「私の2年はなんだったんだろうね」
「ごめん」
「もういいよ」

元々酒に弱いリコが、その日は中ジョッキを二杯空けた。
そして、グラグラになった。
抱えるようにして電車に乗り、アパートまで送る。
部屋まで送り届けたら踵を返すつもりだった。

「気持ち悪い」
「大丈夫か」
「横になりたい。ベッドまで連れてって」
「・・・」

ベッドに寝かせると
「気持ち悪い、ブラはずして」
「え?」
「そのくらいしてくれてもいいでしょ、最後なんだから」

万歳をさせてポロシャツを脱がし、背中に手を回してホックをはずすと、綺麗な乳房が露わになる。
リコの胸は張りがあって、大きすぎず小さすぎない釣り鐘型で、小さめの乳輪の上に桃色の乳首がとんがっている。
いつ見ても綺麗だ。

「舐めて、そして吸って、いつものように」
「悪い、それはできない」
「なんでよ、いつもいっぱい舐めてくれるじゃない」
「でももう・・・」


 そこでリコが泣きじゃくり始める。
これ以上ここに居てはいけない。

「ホントにごめん」


 泣き続けるリコを残して部屋を飛び出す・・・


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