わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

テッド・チャン作品映像化を祝う

2017-07-31 | 映画・ドラマ・本
 今時最高のSF作家は、グレッグ・イーガンとテッド・チャン!と、思っているSFファンは多いと思いますが、私もその一人です。テッド・チャンの「あなたの人生の物語」を大胆にアレンジした映画「メッセージ」にもいたく感心して、私にとってのオール・タイム・ベスト映画の一つ(私の感想)ですが、同じ短篇集からの「顔の美醜について」が、「メッセージ」の脚本を書いたエリック・ハイセラーで、新作テレビドラマを準備しているというニュースが!

 アメリカのケーブル・ネットワーク、AMCが「Liking What You See」が、来年放映に向けて始動したとか。元が短編なのに、単発作品ではなく連続もので、余計な設定を付けてズルズル長引いたら嫌って、気もするけど、とりあえず楽しみです。プロットは:

Description: Set in a near future saturated with advertising and media images of beauty, the exception being the community of Saybrook, whose residents have all voluntarily adopted calliagnosia, a reversible, non-invasive procedure that eliminates their ability to perceive beauty. Once you have calliagnosia, no one looks prettier or uglier than anyone else; the people of Saybrook judge each other purely on their merits. But is this something the rest of the world is ready for?(Deadlineより)
 メディアや宣伝が美に溢れる近未来、セイブルックに住む人々だけは自発的に、脳が美醜の区別する機能を抑えるカリアグノシアという施術を受けていた。非侵襲性で、元に戻すことも可能な美醜失認処置のカリーだが、これによって美醜の判断がつかなくなり、セイブルックの人々は、純粋に人間性だけで相手を見極めることができる。だが、セイブルック住民以外の人々は、その準備はできているだろうか?

 原作は、カリー導入を訴える大学を舞台に、黒澤映画「羅生門」のように、「様々な人物が、この一件を語るドキュメンタリー」という方法を取っています。だから、TVのプロットとは既に外れていrのですが、「メッセージ」も「あなたの人生の物語」を見事にアレンジしていたので、根底に流れるテーマは変えずに、どう料理してくれるのか、カレー作ってるキッチンの横で待ってるみたいなワクワクですよ。

 Yahoo!Japanによると、「見た目問題」を取り上げた「顔ニモ負ケズ」という本が話題だとか。そんな日本で、タイムリーな内容だと思います。紹介を見て思い出したのが、なぜか山中守氏の作品群だったりしますが…

 先週末、やっと見たBBCの「シャーロック」第二話は、慈善家として有名な大金持ちが、実は連続殺人犯だという妄想(?)に取りつかれたシャーロックという内容でした。この話、トランプを揶揄してるって、アメリカには話題になったけど、この実業家の醜怪な容貌(俳優さん、ごめんなさい)が、露骨に不気味だった。

 原作の話に戻ると、結局は、大衆は、デジタル処理で最高に好感を持たせる声の抑揚やしぐさに、「美」同様にコロッと行っちゃった。要は、人は見た目の印象が第一、ってことね。この頃はトシ取ってきて、割とどうでもよくなったけど、元々、容姿には劣等感があり、美人は絶対に得してる!と、思う私にとっては、すると、声や話し方、動作の訓練次第で「トクする人間」になる可能性もあるけど、結局は「人は見た目より中身」なんてキレイごとだよな~、という感想でした。新番組、楽しみ。

 どうせ、なんやかんや言っても映像化したら、美男美女ばっか出てくるんだろうけど!