・・猪瀬直樹(転用)
猪瀬直樹 ism 最後に・・・
ここで猪瀬氏の考え方の検証で三冊の本を見てきた。この三冊は、三冊とも猪瀬氏の寄って立つ経験や考え方、発想なるものに、近づくものであるようだ。そして三冊とも、彼の代表作とは見られていない。
代表作の検証は、一つぐらいは出来ないこともないが、そこに使われている硬質の言葉は好きでないのでやるつもりはない。それでは、片手落ちで偏るのではないかと、誹りの声も聞こえてくる気がする。
でも、それでいいと思っている。少なくても単眼的でない彼の特質は抽出出来たと思っているからだ。完璧な複眼的な評価など、だれにも出来るはずが無く、人間は少なからず矛盾の多い生き物なのだ。
猪瀬氏が、マスコミから袋だたきに遭っていた時に、辞任を促す言葉を書いて、このブログにアップしようと思っていた。矢先、彼が辞任を発表したので、その文はお蔵入りになった。
それを、ここに蔵出しします。
・・・
都知事が周囲から袋だたきに遭っている。
マスコミも、都議会も、ブログも、こぞって猪瀬知事たたきだ。
・・・追求や質問に答える度に矛盾を露呈し、疑念疑惑は大きくなってきている。
・・・・まさに、大きな疑獄事件のように・・こんな猪瀬は見たくない。
はやく都知事を辞職すればよいのに・・・と思う。
彼の業績は、振り返ってみてみると、拍手を送っているものも多い。都知事になる前の業績は、多くの人の賛同を得ていたようにも思う。共感を覚えるものも少なくはなかった。
都知事になってからの業績も、概ね賛同をしながら眺めていたように思う。が、こちらは都民ではない。そんな自分が、手のひらを返すような思いを抱くとすれば、自分に対しての冒涜だとも思える。
でもそんなに、疑獄事件のように複雑かと言えば、そうでもなく、至って単純のようだ。
これを、流れを辿って確認してみると
徳田虎雄というひとから猪瀬に、¥5000万の金が渡った、という事実だけである。
・・1,猪瀬氏が石原後継として、都知事選に出場が決まった副知事時代であること。
・・2,猪瀬氏支持の関係者に挨拶回りの時、徳田虎雄に挨拶に行った・・何故?
・・3,猪瀬氏が選挙というものが初めてで、資金に不安を持っていた。
・・4,その後、経緯があり、虎雄の子徳田毅より金銭授受が行われた。
・・5,・・・・・領収書など
・・6,その後実際の知事選に入ると、世論調査などから、猪瀬氏が圧倒的有利に知事選は推移し、予定した選挙費用も余る様な選挙活動で当選というストーリーだったと思う。
振り返って、この件に関しての、猪瀬氏の最初の会見を思い出します。
・・・初めての選挙と言うこともあり、資金面で不安もあり、5000万の金を借りました・・・使った言葉は、正確には覚えていないが、要旨はこの通りだったように覚えています。
・・このことは、正しいか否か別にして、納得出来る説明でした。
・・このことで、選挙運動費用収支報告書に不記載あるいは記載漏れの指摘と違反の可能性が出てきます。
・・・ここで、違反行為であれば素直に処分を受ける旨を述べて謝ってしまえば良かった。
猪瀬氏の都知事選の選挙運動を見て見ますと、・・記憶ですから詳しくはないが・・あまり街頭演説はしない、あまり選挙カーにも乗るわけでもない、政見発表と討論会はまめに出席のようで、金が掛かったのはポスターぐらい、あと少々のように見えました。あとで聞くと、石原伸晃の選挙事務所を借りて、石原伸晃の協力が大だったようです。
要するに、あまり金の掛かるような選挙はしてこなかった。
・・そうすると5000万の金は使わずに済みます。準備した3000万の金も余ったのかも知れません。
次の会見では、(選挙とは関係なく、)個人的に借りた金だ、といい始めました。
・・正直、”おや”と思いました。選挙費用の報告書の不記載という選挙違反の回避の言訳だと思いました。・・・ここから輪をかけて、流れが変化します。
徳田虎雄氏が、なにかを思って金を出した(貸した)のは事実だと思いますが、都政で見返りに、便宜を図ったとすれば証拠が必ず残ります。その立場にないものが動けば目立ちます。ここでは都知事が言うように、見返りはなかっただろうと思いますが、いまや、贈賄や収賄を既成事実とする論調も見られます。もし本当なら、この部分も問題だと思いますが。
個人的に借りた金、の会見以来、次々と矛盾が出てきます。恐らく本人が、事実でないこと、確信していない事柄の弁明ですから、見苦しい、覇気のない会見になってしまうのでしょう。一般の人の生活感覚と乖離した内容が続きます。・・・弁舌鋭く、切り込んでいく猪瀬氏の姿は、どこへいってしまったのだろうか。
最近の新聞と都議会の追求は、何を問題にしているのか、よく分かりません。鞄だとか帯封だとか貸金庫だとか・・・何のための証拠立てで、問題にしているのでしょうか。
最近の会見はもっと悪い。
・・都知事としての給与を一年間分返上して謝罪する・・なんて、言語両断です。人間は生きるのに糊口を凌がなければなりません。都政の仕事を半分ぐらいにして文筆業に精を出すのですか。それでは、都知事に投票した都民も納得しません。
・・・
あのとき、最初に謝ってしまい、罰があるなら受けて、辞任して、再度都民に信を問うてみたら・・・の思いがありました。
上記に書いてある言葉は、猪瀬氏が辞任会見をする直前まで、このブログにアップしようとしていた内容です。この直後に、猪瀬氏は辞任会見をして、この内容はアップしないようになりました。
敢えてここに蔵出ししたのは、やはりお金の遣り取りの部分は、疑問が残ります。疑問は疑問として、潔い説明を聞きたいと思います。この思いは、自分だけでしょうか。
その上で、自分が今でも評価している実績と考え方と姿勢を、お金の遣り取りの疑問と、秤にかけてみて、猪瀬氏の評価をしてみたいと思います。人は様々ですが、人の評価も様々です。全ての人が、平面的短略的な形で評価はしないと思います。猪瀬氏のプラスの部分が多いと思う人は、猪瀬氏の再登場を願うのかも知れません。反対に、マイナスの方を強く感じる人は、辞任を喜んでいるのかも知れません。
時折走ることのある高速道路の、最近のサービスエリアは、昔のと全く違ってきました。場所により”コンビニ”もあります。おいしい”パン”も焼きたてです。この頃は、ドライブ疲れの”休憩所”から、エリア内のしゃれたショップ目的の方も多いと訊きます。道路公団民営化のあとの競争の原理が働いて進化しているように思えます。恐らく、経済的規模も、昔とは比較にならないくらい大きくなっているのでしょう。これは、明らかに猪瀬直樹のお陰でしょう。猪瀬氏本人が言えば、自慢話で嫌みになりますが、ほとんどの人がそう感じていると思います。
時は流れて、既に次の都知事の選挙に動き出しています。元首相が”原発中止”で、立候補するようです。自分には、”脱原発”と”原発中止”の違いがよく分かりませんが、とにかく”危険な原発に電力を依拠しない”世の中になって欲しいものだと思っています。
最後に、暁仙和尚の「親父の小言」から三連発。
・「人には馬鹿にされよ」
・「物を拾わば身につけるな」
・「借りて使うな」
・・・何れも「明日も夕焼け」猪瀬・著の中から・・