元警察官の濱中辰司が、隅田川で死んだ。当初は事故と思われたが、側頭部に殴られた痕がみつかった。真面目で正義感溢れる辰司が、なぜ殺されたのか?息子の濱中亮輔と幼馴染みで刑事の芦原賢剛は、人間関係を中心に死の謎を追い過去に関係があった人を訪ねる。亮輔は賢剛の父・芦原智士の自殺とのつながりを疑う。時を経て二人とも隅田川で死んだのだ。やがて、昭和の終わり大喪の礼の警備の手薄な時を利用した未解決小学生誘拐事件との関連が浮かぶ。辰司と智士、亮輔と賢剛、男たちの「絆」と「葛藤」を描いて、儚くも悲しい結末が辛い。しかし読んでいて心理描写や感情表現は読ませるのだが動機と犯罪の納得性、リアリィテーの欠如が気になり最後まで感情移入出来なかったのは残念。バブル期の理不尽な不動産会社の地上げや警察とヤクザの癒着など昭和生まれの自分は理解できたがバブル期未経験者には理解しづらいかも。
2019年9月実業之日本社刊
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