読書備忘録

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貫井徳郎著「邯鄲の島遥かなり」中卷

2022-05-02 | 貫井 徳郎
戦中・戦争末期編。波乱の第二巻! 一ノ屋の流れを汲む一橋産業は隆盛を誇り、島の人々の暮らしも少しずつ豊かになっていた。初の男子普通選挙が行なわれ、曰くありげな少女が一橋家を訪れる。火口への投身心中の流行を奇貨に、本土からの観光客も増えた。そうした人々の営みと繁栄の裏側で、平和な島にも戦争が影を落とし始めていた。
第8部 第一回男子普通選挙・・・ただの会社員なのに、島のため政治家になろうと帝国議会議員選挙に立候補したイチマツ孫世代の孝太郎。対立候補の小学校教員との一騎討ちとなり、戸別訪問のお土産買収作戦がエスカレートしていき、住民の要求も上がっていく政治小説。第9部 ご落胤騒動始末・・・島で唯一の大会社一橋産業を創った平太の死後に、死んだ母親から平太の子だと言われたという九歳の女の子が東京から一人で島に来て、平太の屋敷に訪ねてくる。女の子には肘にイチマツ痣があった。第10部 人死島・・・島での心中がブームになって、年間100人以上の自殺者が出る。その後、幽霊がブームになって観光客が増えるが、実は・・・。一方で、島の造船所で軍用艦を作る計画が実現するがのちの島の空襲につながる。第11部 超能力対科学・・・予言予見透見のできるひ孫世代の超能力少女ハルのカルタ千里眼芸。第12部 勝ってくるぞと勇ましく・・・崖から落ちて片膝を痛めた孫世代の幸吉は杖なしでは歩けない。妹の友達の姉で本土出身の清楚な美少女高梨小百合に恋をする。膝のため徴兵検査に落ちるが、友人は出征して戦死する。母はこっそりと幸吉が死ななかったことがうれしいと告げるのだが。第13部 子供たち・・・孫世代で子供のいない雑貨屋おかみの征子から見た、いとこの子供たちの話。昆虫学者になる夢を持つ創平は幸運の象徴のタテハモドキを捕まえられないまま、出征する。征子は山でタテハモドキを捕まえようと奮闘し・・・。メイ子は幼い頃から男女同権を主張する女の子で、幼馴染みの大樹にままごとで母親役をさせている。学校の女教師にも男女同権を主張して、居残りとなってしまう。それでも出征する大樹から懇願されると夫婦に。1945年2月、造船所のある島は爆撃され、征子はメイ子たちと、火と熱風と煙の中を逃げ回るパニック小説。
2021年9月新潮社刊


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