鉄道・旅情の絡む片倉・柳井刑事シリーズ第5弾。
東京の石神井公園の三宝寺池で不可解な水死体が発見される。死体の肺から発見場所と異なる水質の水が検出されたことから、片倉康孝刑事は事件を他殺と推定する。池にいるカミツキガメにより損傷が激しい遺体は最初身元不明で捜査が難航したが、幼い少女からの電話で身元がフリーライター赤塚史則と判明し、その被害者の男が残したSNSの写真を調べると青い服の女と静岡県の大井川鉄道が浮かび上がる。どうやら新興宗教と関係しているような事柄と、さらに片倉の元妻、智子の「スピリチュアルなものを感じる」という言葉を発端として、事件はさらに意外な方向へと迷走をはじめるが・・・・。大井川鉄道の旅情をかき立てる風景描写と地元での実況見分が、謎を深める青い服の女が興味を持たせる展開で面白かった。幼い少女の将来が気に掛かる終わり方が気になったが片倉と元妻との関係が気になる続編が楽しみだ。
2022年6月光文社刊
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