読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

朝倉かすみ著「 感応連鎖」

2010-05-21 | あ行
膨張し、肥満し続けるわたしのからだ。やり切れぬ思いを解き放つのは、誰だ。
体重100キロの16歳が「夢の娘」になるまで・・・。
『女たちの内側で、何かが蠢く。』登場人物4人 墨川節子/秋澤初美/佐藤絵里香/新村由季子
の女の心の動きを追いながら、それぞれの人生が交差し、思いもよらない話へと展開していく連作短編風に展開される。
母親が自分に寄せる「夢」で肥大していく為肥満を異形とする節子。
幼いときの経験から性的な歪みを持ち悲観趣味の教師の妻初美。
他人の心が読めて人の弱点をつい喋ってしまう絵理香。
誰が見ても美しく賢く幸福に見える自意識に悩む由希子。
登場する男も皆ユニーク 肥満フェチの女子高教師、助平な町内会長、不倫する私学理事
交錯する視点、ぶつかり合う思惑。『私の放った”思いの丈”は・・・他者に投影され反映する仕組み』(68P)
そして、10年後由希子へ感応し生まれてくる娘に連鎖する・・・。
女性から見た同性の心理描写が面白い。展開が予想できずにオチは何処にと興味が尽きなかった。
2010年2月 講談社刊


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