読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
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佐々木譲著「沈黙法廷」

2017-07-22 | 佐々木譲

警察小説と法廷小説が融合。東京・赤羽で絞殺死体で発見されたひとり暮らしの初老の男性。親譲りの不動産を所有する被害者の周辺には、多くの捜査対象が存在した。地道な鑑取り捜査の過程で、家事代行業の女性が浮上した。しかし彼女の自宅に赴いた赤羽署の捜査員の前に、埼玉県警の警察車両が。彼女の仕事先では、他にも複数の不審死が発生していたのだ。ワイドショーは「またも婚活殺人か?」と騒ぐ。やがて舞台は敏腕弁護士と検察が鎬を削る裁判員裁判の場へ。一方、この事件を知った仙台市の工務店で働く弘志は、ある理由から会社も辞めてまでもこの裁判を傍聴する。やがて無罪を訴える彼女は証言台で突然、口を閉ざした。有罪に代えても守るべき何が、彼女にはあるのか。彼女は何を守ろうとしたのか。

有力な物証がなく、ほぼ状況証拠で展開される裁判員裁判、検察はこの法廷闘争を前提に事件を組み立てているのかのよう。裁判を通じて、一人の女性の人生を浮き彫りにする展開に、裁判もリアリティがあり事件の真実の謎解きと十分楽しめた。

2016年11月新潮社刊


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