改変歴史小説「抵抗都市」に続く第2弾。日露戦争に負けた日本、ロシアの属国と化した東京。日露戦争終結から12年たった大正6年。敗戦国の日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許し、欧州戦線に日本軍を派遣していた。3月、ロシアとの「二帝同盟」の下、主人公・特務巡査新堂は連続強盗事件の容疑者を捕らえるが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまう。新たに女性殺害事件の捜査に投入された新堂だったが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられ・・・「もうひとつの大正」新藤は、警察官の矜持を貫けるのか。国家を背負いながら、二国間の軋轢の中、捜査を全うしようとする新堂には前作でも登場したロシア・コルネーエフ大尉の「侠気」が国家を超えて描き込まれています。平行世界の東京の風景が圧巻。あり得ない世界が、現実と置き換わっていくような感じがして、露国のウクライナ侵略の現実と重ね合わせて読んで楽しかった。
2021年12月集英社刊
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