読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

佐々木譲著「抵抗都市 Resistance city」

2020-12-05 | 佐々木譲
歴史改変警察小説。舞台は日露戦争に「負けた」日本。終戦から11年たった大正5年、ロシア統治下の東京で、身元不明の変死体が発見された。警視庁刑事課の特務巡査・新堂裕作は、西神田署の巡査部長・多和田善三と組んで捜査を開始する。だがその矢先、警視総監直属の高等警察と、ロシア統監府保安課の介入を受ける。どちらも、日本国内における反ロシア活動の情報収集と摘発を任務とする組織だった。身元不明の変死体は誰?何故、殺害されたのか?そして、その死体は・・・一体何を「この国」にもたらそうとするのか?ひとつの死体の背後に、国を揺るがすほどの陰謀が潜んでいることをやがて二人は知る。「今の日本への問題意識を示すために」というのが作者のモチーフだが、まぜ日露戦争に負けた後のロシア統治下を舞台にしたのか、よく分からない。天皇制は保たれているものの、警察権力も統治者であるロシアの監視を受け、これに逆らえば日本そのものが失われてしまうという極めて危うい亡国の状況の下で、反ロ派、親ロ派、日本軍、ロシア軍の間で、民族主義も織り交ぜた複雑な主導権争いが繰り広げられるのだが、最後まで違和感が邪魔して楽しめなかった。 
2019年12月集英社刊

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