読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

吉田修一著「平成猿蟹合戦図」

2012-07-29 | や・ら・わ行
新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、すべての始まりだった。
長崎の離島から上京した子連れのホステス、彼女の旦那で冴えないホスト、事件現場を目撃した下働きのバーテン、世界的な人気チェロ奏者と、その秘書、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、自殺した夫婦の母親である秋田県大館に一人住む老婆…一人ひとりの力は弱くても心優しき八人の主人公が、少しの勇気と信じる力で、この国の未来を変える“戦い”に挑んでゆく群像劇。
長崎の離島にから、福岡、東京へと繋がって行き秋田大館に、事件、出来事が錯綜するうちに、歌舞伎町のバーテンが秋田県選出の国会議員に立候補・・・。
ある夫婦からとことんまで甘い汁を吸い取る男たちに対する復習劇?題名の猿蟹合戦では結末は解っているしどう平成の今に当てはめるのかしか興味が持てなく何より主人公たちの行動の必然性が希薄で読んでいて胸に響かないのが残念だった。
「人を騙す人間にも、その人間なりの理屈がある・・・だから平気で人を騙せる・・・結局人を騙せる人間は自分のことを正しいと思える人なんです。逆に騙される方は、自分が本当に正しいのかといつも疑うことが出来る人間なんです。本来ならそっちの方が正しいと思うんです。でも、自分のことを疑う人間を、今の世の中は簡単に見捨てます。すぐに足を掬われるんです。正しいと言い張る者だけが正しいんだと勘違いしているんです」(P479~)
2011年9月朝日新聞出版刊

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 米映画「リンカーン弁護士」 | トップ | 今野敏著「防波堤 横浜みな... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

や・ら・わ行」カテゴリの最新記事