読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

天野節子著「氷の華」

2011-04-08 | あ行
小説家デビュー作。2006年に自費出版されてのちミステリーが評判になり2007年 米倉涼子・ 舘ひろし・ 堺雅人らでTVドラマ化された。
結婚12年の隆之と恭子は、子供が出来ないまでも誰もが羨むセレブな夫婦生活を送っていた。
ある日夫の海外出張中、恭子のもとにかかってきた関口真弓という夫の愛人と名乗る女からの電話。
そこで告げられた真弓が隆之の子を妊娠しているという驚愕の事実と子供もできない上に家事もろくにできない女に妻の資格はない、と罵られはらわたが煮えたぎる思いのまま逆上した恭子は、夫が出張中の今の内に、と関口真弓を毒殺する。
犯行は完璧だったはず。証拠も一切残さなかった。
しかし、事件の報道には、関口真弓が妊娠していたという事実はなかったし、夫は彼女との関係を認めたが、何かしっくり来ないものがあった。
自分は一体誰を殺したのか、あの電話の主とは別人だったのか。
自分は嵌められたのではないかと疑心暗鬼になる恭子だが、執拗な戸田刑事等の捜査の手は確実に迫っていきていた。
トリックも犯人も最初から示され刑事のアリバイ崩しの過程の面白さもあり、女の意地と虚栄が作り上げた完全犯罪だったはずが二転三転して最後に意外な事実と終焉を向かえる松本清張ばりのミステリーでした。
女性で1946年生まれのデビュー作とは思えないサスペンスでした。
『犯人であることは確信していた・・・。その裏にもう一つ、極めて悪質な犯罪が隠れていることは間違いない。』(P321)
2007年3月幻冬舎刊

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